株式会社シーエスラボ様
株式会社シーエスラボ 工場
株式会社シーエスラボ様(以下、同社)は、スキンケア、ヘアケアなど化粧品や医薬部外品の製造を手掛けている。同社の創業は2004年(平成16年)、この10年間で同社を取り巻く環境は大きく様変わりした。創業当時は、化粧品メーカーからの注文に応じるOEMが主体だったが、ここ数年で異業種から化粧品業界に参入する企業が急増、少量・多品種・短納期だけでなく、オリジナルの企画・デザイン、製造、物流までをワンストップで提供することが求められる、いわゆる「ODMカンパニー」としての役割が増大している。
同社は富士通の生産管理システム「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA smart PRONES」(以下、プロネス)を導入、生産体制の基盤を強化し、デザインやマーケティングの人材育成にも注力。変化と競争の激しい化粧品業界において日々イノベーションを起こしつつ売上拡大と新たな挑戦を続けている。同社の代表取締役社長 林雅俊氏、システム導入の陣頭指揮を執った取締役 工場長 今泉肇氏、生産管理課 課長 中村泰明氏にお話を伺った。
[ 2014年5月13日掲載 ]
業種: | 化粧品・医薬部外品の設計・開発及び製造 |
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ソリューション: | 生産管理システム |
製品: | FUJITSU Enterprise Application GLOVIA smart PRONES |
1 | 工場、倉庫、本社で別々に管理していたデータを一元化したい。 | これまでは帳票でおこなっていたロット管理をシステム化。本社、工場、倉庫でデータ共有できるようになり、どこからでもリアルタイムで状況判断が可能になった。 | |
2 | 原材料を調合する際、人間が目視で確認していた品番・分量のチェックを安全に行いたい。 | 秤量システムの導入により、ヒューマンエラーをシステムで未然に防ぐことができるようになり、品質管理がさらに向上した。 | |
3 | 少量・多品種・短納期に応える生産体制に加え、「売れる化粧品」を生み出す企画開発力を備えたい。 | 生産管理が効率化され、あわせて秤量システムによって原材料の誤投入防止による作業スピードが向上。生産計画に関わる時間を従来の約3分の1に短縮でき、余剰時間を製品の開発・設計に活用できる体制が整った。 |
林 雅俊氏
株式会社シーエスラボ
代表取締役
同社の顧客企業数は、現在は約250社。創業当初の数十社からここ数年で急増し、しかも、その約半数が異業種からの参入を含む新規顧客となる。「新規のお客様の中には、作りたい化粧品のコンセプトはあるが、実際に企画・デザイン(設計)し、製造するまでのノウハウを充分にはお持ちでないところもあります。そんなニーズに応えるため、化粧品の『青写真』さえいただければ商品化できる、という力が求められています」(林氏)。OEMからODMへのシフトを目指した体制の強化が急務となっている。
また、新規顧客の中には、その企業のブランド戦略やキャンペーンの一環として化粧品を"試しに"作って市場投入するケースも多く、小ロット・短納期での対応も求められる。「国内の化粧品市場は飽和状態と言えます。その上、インターネットでの口コミが売れ行きを大きく左右する時代。少量・多品種・短納期に応える生産体制に加え、『売れる化粧品』を生み出す企画開発力、これらが今、弊社に求められているのです」(今泉氏)。
もともと同社には、創業時に少量・多品種向けの生産管理システムが導入されていた。ところが、当時は化粧品メーカーからのOEMが多くを占めていたこともあり、実際の現場では、大ロットでの生産が中心。システムと現場の設備との乖離を埋めるため、顧客ごとにExcelシートを作成し、原材料データをAccessで管理するといった対応をしてきたが、当初から問題もあった。「担当者が手作業で管理していたため、その担当者以外には正確な状況がわからなくなっていました。また、工場、倉庫、本社で別々にデータを管理していたため、倉庫での原材料の在庫数量を本社がリアルタイムで把握できないといった問題もあったのです」(中村氏)。現場の実情に合わせた新たな生産管理システムの導入が不可欠になっていた。
今泉 肇氏
株式会社シーエスラボ
取締役 工場長
システム導入に際しては、林氏が提示した条件は2つ。ひとつが「10年間で人員を増やすことなく生産能力を倍増すること」。もうひとつが、将来を見越して大ロットでの生産にも、少量・多品種の生産にも柔軟に対応でき、「10年以上使い続けられるようなシステムであること」だった。もちろん、そのほかにも、本社、工場、倉庫のどこからでも状況判断が可能なシステムであること、原材料の在庫を一元的に管理できること、"属人化"せずに誰もが使えるシステムであることも重要な要求項目だった。
これらの条件をクリアするために、当初はシステムをスクラッチで作ることも検討したが、最終的には、化粧品業界での導入実績などから富士通マーケティングを含む2社に絞り込んだ。化粧品や医薬品製造システムに特有のロットトレーサビリティの機能が標準で備わっていること、また、実際の製造現場では製造から充填までに検査で48時間程度の時間が必要といった製造工程における独特なルールがあらかじめ生産管理システムに組み込まれていたことなどを理由に、プロネスに決定した。
中村 泰明氏
株式会社シーエスラボ
生産部 生産管理課 課長
ただし、今泉氏は富士通マーケティングに決定した理由をそれだけではないと指摘する。「じつは、当初はもう1社のシステムを導入することで決まりかけていました。ところが、双方の担当者と話をしていく中で、その判断が大きく変わっていったのです」(今泉氏)。「もう1社は、言ってみれば完璧な生産管理システムでした。それだけに使う我々がシステムに完全に合わせないとならない。一方、富士通マーケティングは、『まず、現場のことを教えてください』と、私たちの目線に立ってくれました。プレゼンでも『もう一回、説明してください』というしつこいくらいの質問にも嫌な顔ひとつせず、丁寧に説明をしてくださった。そんなことの積み重ねから現場から『富士通のシステムなら使ってみたい』という声が聞こえてきたのです。それが決め手になりました」(中村氏)。
プロネスの導入により、これまでは帳票で行っていたロット管理がシステム化でき、また、本社、工場、倉庫でデータ共有できるようになるなど、その効果は目に見える形で表れた。あわせて、同社では2013年に、新たに「秤量(ひょうりょう)システム」を導入。これは原材料を調合する際、品番と分量がレシピと正確に合っているかをチェックするシステムである。化粧品の原材料は極めて細かく分類されており、十数桁もある品番の下一桁を見分けなければならなかったり、人間が目視で確認するだけでは避けられないリスクがあった。秤量システムの導入によりヒューマンエラーをシステムで未然に防ぐことができるようになり、同社の品質管理がさらに向上した。
秤量システム
「化粧品業界では、今、原材料の明記を含む品質保証が求められています。今後、もっとシビアに『どういう方法で原材料が秤量されているか』の証明が求められてくるでしょう。そのための先行投資でもあります。プロネスと秤量システムで生産効率向上と品質保証を両立できようになってきたと実感しています」(今泉氏)。
また、生産計画に関しては、新規商品も多く扱うことから、実際には必要な部材の手配に手間がかかることもあり、見直しが多く発生する。顧客数の増加、少量・多品種化により製品の種類も増えている中で、プロネスによって生産管理が効率化され、あわせて秤量システムによって原材料の誤投入防止による作業スピード向上も図られた。"その結果、生産計画に関わる時間を従来の約3分の1に短縮でき、余剰時間を製品の開発・設計といった工程に有効活用できる体制が整った"と言える。
プロネス導入から4年、秤量システム導入から1年が経過し、その間に見えてきた新たな課題もある。それは、プロネスによって蓄積されてきた生産実績データの活用である。生産実績を詳細に解析すれば、どういったカテゴリーの製品が開発され、新たに商品化されたのかを把握することが可能。「今後は、それらのデータを活用し分析することで、ある分野の新規商品は多く開発されているが、この分野は弱いというように、開発の方向性を検討・判断する材料として活用していきたいと思います」(今泉氏)。
一方、プロネスで管理しているのは、開発から製造に至った工場のデータであり、開発段階で止まってしまい、実際に製造、商品化されなかった製品のデータまでは管理されていない。また、同社は開発商品のモニター試験のデータを集計し、顧客企業の求めに応じてエビデンスとして提供できる体制も整えているが、それらのデータも現状では管理されていない。プロネスを使って活用できるデータは社内に資産としてまだまだ存在しているのだ。「当社を取り巻く環境が大きく変化している中、今、まさに開発、デザイン、企画、売るための仕掛け、アイデアといったソフトウェアの領域に注力していく時期にきたと感じています。そのために不可欠なのは生産実績やモニター試験のデータなどを含めた"ライブラリー"の充実です。そのライブラリーがあってこそ、顧客の要求に応じた製品を迅速に提案、開発、製品化することが可能となります。プロネスでデータを活用する土台はできました。ライブラリーをますます充実させ、さらにそれらをプロネスの上で走らせていく、そこが次のステップに向けた課題と言えます」(林氏)。
変化と競争の激しい化粧品業界において挑戦を続けるシーエスラボ様。プロネスはICTを研究開発(R&D)にまで拡大し活用していこうとする同社を支えていく。
(注1) 当システム導入前との比較。各企業様のご利用状況により数値は異なります。
株式会社富士通マーケティング
産業営業本部 産業第一統括営業部 装置産業営業部
新徳 豪輝
この度は、株式会社シーエスラボ様の生産管理システム及び秤量システム構築のお役に立つことができ光栄に思っております。
『GLOVIA smart PRONES』と『秤量システム』の導入により生産現場の効率化と品質向上を両立できました。この背景には、お客様のプロジェクトメンバーが高い意識で臨まれ、生産現場の改善という課題に一緒に取り組めた事だと思っております。今後も富士通マーケティングはビジネスパートナーとして、一緒に将来を見据え、次のステップである研究開発(R&D)に役立てて頂ける生産実績データの活用をご支援させて頂きます。
所在地 | 〒171-0033 東京都豊島区高田3-32-3 |
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代表者 | 代表取締役 林 雅俊 氏 |
設立 | 2004年7月28日 |
資本金 | 3,000万円 |
年商 | 20億円(2012年8月末) |
社員数 | 117名(2012年7月現在) |
事業所 | 本社、館林工場、千代田工場、物流センター(館林) |
事業内容 | 基礎化粧品・医薬部外品・化成品のOEM、マーケティング、コンサルタント |
ホームページ | 株式会社シーエスラボ様 ホームページ |
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