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Fujitsu

Japan

高度な樹脂加工技術を武器に世界へ羽ばたく、上場へ向けた足場固めを生産管理システムで実現

このページの情報は、2008年に掲載されたものです。
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組立現場

株式会社浅野研究所様 導入事例


株式会社浅野研究所様は、カップラーメン等の食品容器や自動車の内外装、冷蔵庫の内箱、バスタブなどのプラスチック製品を作る真空圧空成形機のパイオニアである。この分野では日本トップクラスの地位を誇り、米国GE社からも表彰されるなど、その技術力は折り紙つき。中国、韓国、東南アジアを中心に海外への輸出も多く、「ASANO LAB」として世界的にも知られる存在だ。

システム投資も積極的に行っており、このほど生産管理システムを全面的に入れ替えて、設計・生産の現場から調達、原価管理、さらに経理へと情報が一気通貫するシステムを構築した。システム刷新の背景と効果について、生産、技術、管理、経理など各部門のマネージャクラスの方々に話を伺った。

[ 2008年8月7日掲載 ]

導入事例概要
業種: 真空圧空成形機の製造
ソリューション: 生産管理システム、会計システム、人事給与システム
製品: 個別受注型生産管理システム「rBOM」(GLOVIA smart連携商品)
会計パッケージ「GLOVIA smart 会計 BP」
人事給与パッケージ「GLOVIA smart 人事給与 BP」

1953年の創業以来、株式会社浅野研究所様は工場の拡張や増設を繰り返しながら、日本国内はもちろん、ワールドワイドにも事業を拡大させてきた。しかし株式上場を見据える中で、旧来の生産管理システムでは業務をトータルにとらえきれないという悩みが生じていた。そこでシステムを抜本的に改革。それまで生産や設計、会計など部門ごとにバラバラになっていたデータを一元管理し、全社的に情報が円滑に流れる仕組みを整えたのだ。

これにより顧客情報に紐づけて購入履歴や部品、受発注、在庫などの情報が把握できるようになったため、部門を超えた連携が可能となり、高品質・低コスト・短納期を実現するモノ造りの基盤が強化された。また上場を控え、信頼性の高い会計管理体制も敷くことができた。

課題と解決策
1 個別受注生産に対応したシステムを構築したい GLOVIA smart連携商品「rBOM」および
「GLOVIA smart 会計 BP」、
「GLOVIA smart 人事給与 BP」
導入により解決
2 受注、設計、生産、発注・仕入、会計まで情報の流れを一気通貫させたい
3 上場へ向けて信頼性の高い財務会計の体系を整えたい
4 ユニット発注など将来的な事業構造の変化にも対応できるシステムを構築したい

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導入の背景

信頼できるシステムの構築を目指して

天白 昌宏
株式会社浅野研究所 執行役員
総務部長

成瀬 広高
株式会社浅野研究所 総務部
総務課長

納豆やカップラーメンの食品容器、自動車の内装・外装、冷蔵庫の内箱、バスタブやサニタリーなど、私たちはさまざまなプラスチック製品を日常的に利用している。株式会社浅野研究所様は、こうしたプラスチック製品を作る真空圧空成形機の開発・設計・製造を手がけるメーカーである。

生産台数は年間100~120台ほどで、そのほとんどはオーダーメイドだ。中には全長40メートルに及ぶ超大型機械もある。取り扱う部品点数は1台あたり4000~5000点に達するという。これら膨大な数の部品を管理する生産管理システムを1998年に構築したが、アプリケーションのバージョンの旧型化や処理の不安定さ、経理とスムーズに連動しないといった問題が目立ち、システムの全面的な刷新を決断した。

執行役員で総務部長の天白昌宏氏は「旧システムの問題を解消するとともに、株式上場を控えて信頼性の高いシステムに改めようと考えたのです」と説明する。

経理・財務処理を統括する総務部総務課長の成瀬広高氏は、「以前のシステムでは会計基準を満たした開示資料を作ることができず、上場を控えて大きな課題となっていました。そこで生産管理や会計に特化したシステムでなく、基幹業務システムを構築して上場のための管理体系を整えることを目指しました」と語る。

「個別受注生産の対応」と「情報の一元管理」が要件

秋田 裕章
株式会社浅野研究所 執行役員
工場長

新システムの要件としては、第一に個別受注生産に対応できること、第二に受注から設計、生産、発注・仕入、そして会計まで情報がトータルに追えることという2点が重視された。執行役員で工場長の秋田裕章氏は、「我々の事業は受注産業ですから、業務は顧客からスタートします。これをシステムでも実現するため、顧客情報から過去の購入履歴や製品情報、部品情報などを紐づけて一元管理し、なおかつどのセクションでも情報を共有できる環境作りが狙いでした」と振り返る。

そこで10社ほどのシステムを検討し、最終的に株式会社NTTデータ三洋システムが提案したGLOVIA smart連携商品「rBOM」と「GLOVIA smart会計 BP」の導入を決めた。

経営企画室担当部長の中根文夫氏は、「会計への流れは強化しつつ、生産管理の基本機能は旧システムの仕組みを踏襲してもらいたいと思っていました。NTTデータ三洋システムは当社の要求に丁寧に耳を傾けてくれたので信頼できましたし、rBOMは個別受注生産に対応できるだけでなく、柔軟なカスタマイズも可能な点が評価できました」と語る。

システム概要

リアルタイム統合部品表でデータを全社的に共有

中根 文夫
株式会社浅野研究所 経営企画室
担当部長

rBOMは大興電子通信株式会社が開発する個別受注型生産管理システムである。装置製造業・金型製造業・量産製造業の試作部など、顧客の要望に応じて受注生産を行う個別受注型企業の生産管理システムにマッチするイージーオーダー型のパッケージだ。

「r」=リアルタイム、「BOM」=部品表という製品名が示すとおり、設計部品表と製造部品表を連携させた「リアルタイム統合部品表」の実現により、設計部門が作った部品表を製造・営業・資材・経理など他部門でも活用できる。設計変更情報や発注・受入・検収といった手配進捗情報を全社的に共有できるため、部門や担当者ごとの主体的な判断と柔軟な対応が可能となるわけだ。

設計変更履歴管理機能や原価の予実を把握するリアルタイム予算進捗管理機能、さらに生産量の増加に伴う中間ユニットの標準化など、個別受注生産ならではの課題を支援する機能も備えている。

また浅野研究所様では会計・財務および人事給与の管理体制強化を目指して、「GLOVIA smart 会計 BP」と「GLOVIA smart 人事給与 BP」を導入した。rBOMと連携することで、全社的なERPを実現させることができた。

浅野研究所様のシステムは2006年4月に稼働を開始している。その全体像は下図のとおりだ。

導入の効果

原価の数字が追いやすくなった

システム刷新の効果について秋田工場長は、「営業、設計、資材など各セクションで情報が一気通貫したため、発注先や発注単価を一括管理して原価管理を行い、さらにその結果を会計へスムーズに回せるようになりました」と説明する。

成瀬課長も「生産管理システムと会計システムを連携することにより、経理としても原価などの数字を追いやすくなりました。上場へ向けて情報基盤を改善できたと思います」と評価している。

発注状況の可視化で合理的な設計・生産が可能に

堀田 興
株式会社浅野研究所
技術部
技術二課

情報が一気通貫したことで、設計の現場にも変化が表れた。技術部技術二課の堀田興氏は、「設計の変更履歴を記録することで設計プロセスが客観的に把握できるようになりました。顧客の要望、設計の成功や失敗の事例、部品を変えることによる影響など、さまざまな情報を共有できるのでノウハウも蓄積できます」と述べる。また、部品情報と原価情報が紐づくので、コスト意識も向上したという。

さらに、「今まで基幹系と設計は別に動いていたので、例えば資材部に発注を依頼しても、間違いなく発注されているのか、いつごろ入荷するのかという状況が分かりませんでした。それが自席にいる状態で見えるようになり、時間のロスが減りました」と堀田氏。秋田工場長も「今まで人づてだった情報伝達がシステムで実現して、製造の現場でも迅速かつ正確な情報が得られるようになりました。発注や仕入れのタイミングを細かく把握できれば人員や生産ラインを合理的に動かせるので、生産計画で先手が打てます」と、rBOM導入で得られたメリットを説明してくれた。

顧客情報から全ての情報が見通せるようになった

顧客管理の精度も高まった。rBOMのカスタマイズで実現した機能の1つに顧客情報を集約した「カルテ機能」がある。「顧客コードを入れれば顧客情報から取引履歴、受注状況、部品情報、発注情報、原価情報まで全てが見通せるので重宝しています」と中根部長は語る。以前は紙ベースで記録を残していた顧客からの問い合わせもシステムで管理するようになったため、検索スピードが上がり、全社的な情報共有も促進された。

また、rBOMは引合情報に売上・受注予測を紐づけるため、入力の手間が省けるだけでなく、営業面でのサポートも享受できていると中根部長は見ている。

今後の展開

システムと連携して柔軟な生産体制を築く

事務所外観

浅野研究所様では今後さらにシステムの拡充を図る方針だ。その1つがユニット生産の展開である。部品1つひとつを仕入れて自社で加工や組立を行うのでなく、パーツや半完成品の状態で仕入れるというものだ。秋田工場長は「生産ラインの負荷が高いときは加工賃が上乗せされたとしてもユニットで仕入れ、負荷が低いときは仕入コストを抑えて部品から作るといった柔軟な仕組みを整えていきたい。仕入先の対応にもよるため一朝一夕には実現しませんが、こうした試みを積み重ねていけば収益にも反映されていくでしょう」と展望を語る。rBOMは中間ユニットの標準化機能を持っているため、将来的にユニット発注できる下地ができたことは今後の事業展開にも大きなプラスとなりそうだ。

天白部長は「経理は信頼性が高まり処理も早くなったので、全体的には旧来のシステムより改善できたと評価しています。」と語る。中根部長は「システムは絶えず進化します。1つの機能が実現すれば新たなニーズも出てくるので、今ある課題を新しいものを生み出していく原動力にしていきたい」とコメント。

浅野研究所様のビジネスは上場を機に一層加速していくはずだ。付加価値あるモノ造りで顧客満足を高め、業界トップクラスのメーカーとして国内外での地位をさらに強固なものにしていく。そのための基盤がrBOMであり、GLOVIA smartなのである。

【株式会社浅野研究所 会社概要】

所在地 〒470-0151 愛知県愛知郡東郷町大字諸輪字北山158番地247
従業員数 110名
代表者 取締役社長 横地純雄
設立 1953年10月7日
売上高 48億5200万円(2008年3月)
事業内容 真空圧空成形機の製造
ホームページ 株式会社浅野研究所

SEからの一言

株式会社 NTTデータ三洋システム 下平 岳伸

今回、rBOM、GLOVIA smartによる浅野研究所様新基幹システムを構築しその効果を出すまでに安定稼動させることができた要因として、以下の3つが挙げられると考えています

  1. 今までオーダメイドのシステムを使用されていたお客様にパッケージを導入するということで現場の担当の方々との多くの調整事項が発生しましたが、お客様事務局の中根担当部長、成瀬課長が中心となって社内をまとめていただき、我々と一体となって、お互いに知恵を絞り、ひとつひとつ解決することができました。
  2. 今回採用した生産管理パッケージrBOMが、個別受注生産に必要な生産管理機能に加え、引合から受注、売上から入金まで殆どの機能を備えておりカスタマイズを最小限に抑えることができました。また、どうしても必要なカスタマイズについてもPowerBuilderを使用した生産性の高い開発手法により、柔軟に、かつリーズナブルな費用で実施することができました。
  3. 今回の導入については、当社が企画フェーズより参画させていただき、お客様と一体となって現状の分析から、新システムの「あるべき姿」を描いて実装、保守まで一貫したサービスをご提供することができました。その中で、「カルテ管理」等、当社がこれまでに培った考え方を盛り込んでいくことにより当社としてのオリジナリティを出すことができました。

なお、お客様である浅野研究所様はじめ、大興電子通信様、富士通様と多くの方のご協力を得て本システム導入を成功に導くことができましたこと、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

【ご紹介した商品】

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