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Japan

ビール単体のトップメーカーから総合酒類トップメーカーへ事業拡大

このページの情報は、2008年に掲載されたものです。
最新情報は、GLOVIAトップページよりご覧ください。

「GLOVIA/Process C1」原価管理の導入により、全16工場の原価管理システムを統合し最小製品単位の精緻な製造原価計算、原材料価格の高騰等未来コストの発生に俊敏に対応するための決算見込みシミュレーションを実現

アサヒビール株式会社様 導入事例


酒類メーカー各社は多様なアルコール飲料の登場で味と価格の競争を繰り広げている。「アサヒスーパードライ」でビール市場のシェアNo.1を誇るアサヒビール株式会社は、こうした変化の中で多様な市場ニーズに対応する酒類事業の多角化を推進。2001年にニッカウヰスキー営業部門、翌年には協和発酵、旭化成の酒類部門を統合し、ビール単体事業から総合酒類メーカーへと領域を拡大した。大きな課題となったのはビール、ウイスキーなど異なる酒類の製造会社(アサヒビール株式会社、ニッカウヰスキー株式会社、旧アサヒ協和酒類製造株式会社)毎に原価管理システムが異なっていることだった。いかにして全16工場の原価管理システムを統合して原価管理を「見える化」することに成功したのだろうか。

[ 2008年9月16日掲載 ]

アサヒビール株式会社様 導入事例 (1.29 MB )

導入事例概要
業種: 酒類製造販売
ハードウェア: アプリケーションサーバ(PRIMERGY×2台)
データベースサーバ(PRIMERGY×1台)
ソフトウェア: GLOVIA/Process C1

事業多角化を目指してM&Aを進めたアサヒビールは、「GLOVIA/Process C1」で全16工場(ニッカウヰスキー社7工場を含む)の原価管理の見える化を進め、高収益体質強化を図った

「GLOVIA/Process C1はパッケージでありながら、汎用性の高い仕組みとなっており、実際原価・予算原価の把握・決算見込みシミュレーションの実現が可能である点はもとより、最終的な分析に活用されるべく、予算・実績・決算見込み等シミュレーションの原価管理のメッシュ(管理粒度)を一致させるような構造及び簡便機能が用意されている点に注目しました。また、プロジェクトの初期の段階で、「GLOVIA/Process C1」によって具体的にどのように計算されるかをあらかじめ確認することができる「試計算」という原価計算事前検証フェーズも高く評価しています。「製造原価計算」という領域において業務面とシステム面に精通しているSEが多数いたという点も重要なポイントでした」。

課題と効果
1 より細かいメッシュの原価計算データを算出することによって、原価低減活動の活性化に繋げたい。また、予算、実績、決算見込みなど、それぞれ必要に応じて、原価計算のシミュレーションを実施したい。 今回のシステム刷新を契機にグループ内の原価計算の考え方の統一を図ることができ、また、詳細な製造原価計算が可能になったため、その比較データや分析結果を各工場の収益構造改革の新しい切り口として活用できるようになった。また、予算、実績、決算見込み作業時はもちろんのこと、必要に応じて原価計算シミュレーションを実施することが可能となった。
2 製造原価計算分析データや製品別原価計算データを用いた分析結果について、経営層への報告のスピードアップを図りたい。 「GLOVIA/Process C1」の実績データの複写機能や計算結果等のダウンロード・アップロード機能により、決算締めの翌日には、製造原価決算分析データや、製品原価データが作成されるため、分析・報告を3日間スピードアップすることが可能となった。
3 従来の原価計算システムは、構築より長期間が経過し、帳票については、紙ベースであったために製品原価データの活用をすることができなかった。また、新たな酒類の製造に対応するために、システムの制約から、改造を余儀なくされることが多くコスト増となっていた。 全てのデータを簡単にExcelでダウンロードできるので活用の幅が広がった。また、「GLOVIA/Process C1」の導入により、汎用的な原価計算の仕組みが構築できたことで、新たな酒類の製造時にも、マスタの修正で即座に対応が可能となった。

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導入背景と経緯

ビール業界トップランナーから総合酒類メーカーへ

アサヒビールは1889年(明治22)に朝日麦酒の前身、大阪麦酒会社として創立、119年の歴史を持つ。1958年には日本初の缶ビールを発売し新たな流れに先鞭をつけ、1987年には日本初の辛口生ビール「アサヒスーパードライ」を発売し、革命的なヒット商品に育てビール業界トップの道を歩む。また第3のビールと呼ばれる低価格帯商品「クリアアサヒ」は市場の高い評価を得ている。

2001、2002年のM&Aによりビール単体事業から総合酒類メーカーの体制づくりを進めた同社は、ウイスキーや低アルコール飲料(酎ハイ)など新規領域の酒類を生産することになった。アサヒビール9工場とニッカウヰスキー7工場の計16工場の製造に関する思想や業務プロセスは全く異なっており、そこで課題となったのは、業務プロセスとシステムの統合であった。

例えば、数十日で製造するビールと、数十年も貯蔵してブレンド、出荷するウイスキーでは、発酵させてお酒を造るという部分では同じだが、その製造に関する思想や業務プロセスは異なっていた。

また「アサヒスーパードライ」と同じ工場で生産される発泡酒や新ジャンルの酒類・非酒類の飲料など新製品のコストをどう把握するかの課題もあった。

業界No.1のビールメーカーとして、また幅広い製品を供給する総合酒類メーカーとしての収益力を高めるために同社が取り組んだのが、すべての工場で従来比約1千倍のデータを用いて粒度の細かい実際原価を計算、また各種のデータをもとに多様なシミュレーションを可能にする原価管理システムの導入だった。

導入のポイント

事業拡大にも耐えうる、製造列別かつ、最小製品単位での原価算出や比較、シミュレーションが可能なシステム

原価管理システムの再構築にあたり、生産本部長をトップにしたプロジェクトチームと事務局が編成された。事務局には生産企画部、財務部、業務システム部(以上、アサヒビール社)、経営企画部(ニッカウヰスキー社)をはじめ、各部署のエキスパートが参画。さらにシステム担当グループ会社が技術的立場からサポートする体制が取られた。

新原価管理システムに求められたポイントは

  1. 製造列別や最小製品アイテム単位で細かいメッシュでの原価計算ができる
  2. 予算・実績、決算見込みなどのシミュレーションができる
  3. 原価データ分析と経営層への報告のスピード化
  4. データを自由に加工することができる
  5. あらゆる酒類・非酒類の製造にも対応できる汎用性

である。

真弓 良祐
アサヒビール株式会社 生産企画部 チーフプロデューサー(取材当時)

ベンダー数社が応札する中、富士通は、周辺既存システム(手組みシステム、導入済みのパッケージシステム)をそのまま活かし原価管理機能のみの単独導入が可能で、実際原価計算にも対応可能なパッケージ「GLOVIA/Process C1」原価管理の導入を提案。プロジェクトチームメンバー1人1人による詳細な評価を総合し、導入決定の運びとなった。

原価管理システム導入において事務局を務めたアサヒビール株式会社生産企画部チーフプロデューサー、真弓良祐氏(取材当時)は導入理由について次のように語る。「富士通『GLOVIA/Process C1』はパッケージでありながら、汎用性の高い仕組みとなっており、実際原価、予算原価、シミュレーションの実施が容易、インターフェースとアウトプット以外はほとんどアドオン不要でした。また、原価計算結果は最終的には外部公表される数値につながる重要なデータですので、プロジェクトの初期段階で『試計算』を実施し、実データを用いて計算過程及び計算結果をあらかじめ検証できた点も高く評価しています。また、製造原価計算の領域において業務面とシステム面に精通しているSEが多数いたという点も重要なポイントでした。弊社原価計算に対する理解力の速さが富士通は他社より抜き出ていましたからね」。

システムの概要

各工場の製造列・最小製品アイテム別の製造コストを比較することも可能

原価管理システムは、「GLOVIA/Process C1」原価管理をベースに、工程別、製品別、製造列別、原価要素別など多面的な原価分析ができるよう構築された。

「GLOVIA/Process C1」原価管理は以下の各機能を備える。

  1. 予算、実績、シミュレーション等の原価計算機能
  2. 豊富な配賦機能
  3. 会計システムや生産管理、計画・調達システムなど周辺システムとの連携の際の標準インターフェース
  4. シミュレーション時等のデータ加工を支援するExcel連携機能

齋藤 宏樹
アサヒビール株式会社 業務システム部 チーフプロデューサー

「導入に際して、アサヒビールとニッカウヰスキーの生産系システムを統合したトータルプロダクションシステムの他サブシステムとリンクさせることで、より競争力を高める環境が整いました」、と語るのは同社業務システム部チーフプロデューサー、齋藤宏樹氏だ。

具体的には次のような環境が整備された。

  1. 製造経費、固定資産、受払等を製造列・最小製品アイテム別に作成、計算することで、どの工場のどの製造列の製造コストが高いか安いかを把握できるようにする
  2. 実績、予算、決算見込み等シミュレーションの原価管理のメッシュ(管理粒度)を同じにすることで、前年実績対比、予算・実績対比、予算・見込み対比など、見たい切り口を見たいメッシュで抽出し加工できるようにする

などが整備された点である。

導入の効果と今後の展開

メッシュの細かい製造原価データの算出が可能

新原価管理システム導入前、各工場の原価は醸造部門と、醸造後の半製品を瓶、缶、樽に詰めるパッケージ部門の4部門で把握されているに過ぎなかったが、導入後は、様々な工夫により生産実態に即した精緻な原価計算を行えるようになった。例えば、製造列毎に原価部門を設定することにより、従来は全製品のコストに配賦されていた生産装置について、新システムでは該当する製品アイテムに対し必要に応じて直課ないし配賦されるようにした。従って、包装資材なども、どの製造列のどの製品アイテムにどれだけ投入され、ロスがどれだけ発生しているかといった細かい単位まで把握することが可能になる。言い換えれば、同じ最小製品アイテムについて、どの工場のどの製造列の製品アイテムが最も低コストで製造できているかといった製品原価をより生産の実態に近い形で把握することができるようになったのである。

予算・実績、決算のシミュレーションを必要に応じて行えるようになったことのメリットも大きい。また、全てのデータを簡単にExcelでダウンロードできるので、製造列別から全社合計まで、同じ製品でもいろいろなメッシュでデータ加工が可能となり、工場経営から全社原価管理までさまざまなシーンで活用できる。実際、決算見込みのシミュレーション結果を財務部にて経営会議の報告に活用している。

今後の展開について真弓氏は次のように語る。「原価管理システムが本格稼働して半年。今後は工場収益構造改革のため、生産体制の最適化を進めるツールとして活用していきたいと考えています。具体的には、工場毎のコスト改善施策の立案・実施、取り組みに対する評価基準としての活用を検討しています」。また齋藤氏は、「ミントタブレットの『ミンティア』シリーズ、バランス栄養食『バランスアップ』シリーズを製造販売するアサヒフードアンドヘルスケア社ではすでにGLOVIA/Process C1をベースとした原価管理システムが展開導入されており、今後グループ内でのさらなる展開を検討していきたい」と語る。

富士通は、今後もアサヒビール様のビジネスを支えるパートナーとして、トータルなビジネスソリューションを提供していく。


パートナーメッセージ

営業
流通ビジネス本部
商社・卸第一営業部
飯沼 学

SE
産業・流通ソリューション本部
ERPソリューション事業部
竹村 直哉

アサヒビール様・ニッカウヰスキー様の原価管理システムに「GLOVIA/Process C1原価」をご採用頂き御礼申し上げます。また担当として本プロジェクトに参画できた事を大変光栄に思っております。

導入途中で様々な環境変化があり、少なからず影響を受けましたが、貴社と共に知恵を絞り、どのように機能を活用すれば良いか、またコストを抑えるためにどうしたら良いか、一致団結して取り組んだ結果が、スムーズな稼動に繋がったと確信しております。

今後は本システムを利用する事で細かいメッシュでの『原価の見える化』が可能となり、貴社としても益々の原価低減の取り組みが行われる事と存じます。弊社としては、アサヒビールグループ様の益々のご発展に少しでも寄与できるよう、これからも営業・SE一体となってご支援させて頂きたいと考えております。

【アサヒビール株式会社様 会社概要】

本社 〒130-8602 東京都墨田区吾妻橋1-23-1
資本金 182,531百万円(2007年12月31日現在)
従業員数 3,725人(2007年12月31日現在)
代表取締役社長 荻田 伍 氏
創業 1889年(朝日麦酒株式会社の前身、大阪麦酒株式会社)
設立 1949年9月1日
売上高(連結) 1,464,071百万円(2007年1~12月)
売上高(単体) 1,030,736百万円(2007年1~12月)
事業内容 ビール、発泡酒を中心とする総合酒類事業。飲料、食品・薬品、チルド事業の展開
ホームページ
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