なぜCRMで効果を挙げられないのか?
(第2回)

顧客との関係を管理するCRM(Customer Relationship Management)システムは多くの企業で導入されています。導入されているものの、利用されてない、もしくは利用されていても効果を挙げていない企業が多くあるようです。

CRMシステムの導入比率は約8割に達するが利用状況は・・・

国際IT財団の「IT活用に関する企業研究報告書」によると、「顧客情報管理・営業支援システム」の導入比率は78.5%でした。ほぼ100%近くの企業が導入している「経理・会計処理」や「人事・給与管理」には及びませんが、「経営戦略サポート(56.3%)」や「市場分析・顧客開発(54.3%)」よりシステム導入比率は高くなっています。

ただ、せっかく導入されたCRMシステムが、使われていないか、単なる顧客リストや問合せ履歴の管理でしか使われていない場合が多くあります。会計や給与などの業務システムは利用目的が明確で事前に効果も推測できます。これに対して、CRMシステムは導入すればそれだけで顧客とのリレーションを構築してくれるものではありません。

CRMシステムは、あくまでも「顧客とのリレーションを構築する手段」です。CRMシステムの効果を挙げるには、「CRM=顧客とのリレーションを構築する戦略」として「顧客との関係構築のためには何が必要か」を具体的に定義して、現場できちんとデータが入力されて活用される必要があります。

他人事だと積極的なデータ入力や活用は望めない

CRMシステムの導入には手間と費用がかかります。導入した多くの企業では、CRMシステムの導入自体が目的となってしまい、データ入力や活用など導入後の運用定着化に力が入っていないことがあります。

実際にCRMシステムが利用されない理由を調べると、検索精度や使い勝手が悪いといった不満も挙げられますが、多くの場合は、データが入力・メンテナンスされていないので必要な情報が得られないからです。

CRMシステムで必要な情報は、営業プロセス(SFA: Sales Force Automation)やコールセンターを中心として収集することが多く、担当者は決められた項目のデータ入力を求められます。しかし、「データ入力が面倒」、「業務システムと連携していないので二重入力しなければならない」と現場でおざなりにデータが入力されることが多く、これでは効果を挙げられるはずはありません。

CRMシステムが利用されない理由

自分事として利用してもらうために

CRMシステムに入力するデータは、マネージャーが営業担当者を管理するためや、マーケティング部門の誰かが活用するためだと思われていると、現場での積極的な入力は望めません。しかし、顧客満足度向上やビジネス拡大につながることが理解されれば、きちんとデータは入力されます。

例えば、あるBtoBサービス業の会社では、CRMシステムにデータを登録すると自分達の引継ぎが楽になることが理解され、活用が進むようになりました。この会社では担当する会社が定期的に変わるのでその都度引継ぎが発生します。その際、以前提示した値引き条件や注意事項がきちんと引継ぎされていないと、顧客からのクレームの原因になります。

それまでは、自分のノートや業務システムを遡って引継ぎ事項をリストアップしていたので引継ぎに手間がかかりました。CRMシステムにきちんとデータが入力されていれば、それを見せながら短時間で済みますし、スムーズな引継ぎは顧客から高く評価され関係性向上に貢献しています。

CRMの価値

CRMで顧客情報を見える化することで、適切なタイミングで最適なアプローチをする戦略的な営業活動が可能になります。このことは、顧客にとっても価値があり、自社の状況に合った提案や情報を受けることができます。

さらに、個別企業との関係維持以外の効果もあります。例えば、顧客を初めて訪問した際に、以前他部署からアプローチされたことを聞かされて初めて知った、という経験をした人もいるでしょう。他部署の取引状況が共有できれば、そのようなことを防ぐだけでなく、他部門が聞き出した顧客の事情を踏まえて、より適切な提案ができるようになるかもしれません。また、その会社から調達していれば、取引実績を活用するアプローチも考えられます。

単に製品を売り込むのではなく、顧客との関係を構築してビジネスを推進することが求められています。現場が自分事としてCRMを実践するようになれば、様々な側面でビジネスに貢献するはずです。

社内での情報共有の価値

株式会社富士通総研 田中 秀樹

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