BtoBデジタルマーケティングは
「リード獲得」以外も重要(第1回)

デジタルマーケティングに取り組む企業が増えています。先行している消費者向けのBtoC企業だけでなく、法人向けのBtoB企業にも取り組みが広がり、MAツールの導入ブームが起きています。ただ、ツールを導入したものの成果が挙がっていない企業が多いようです。

BtoBデジタルマーケティングの目的は「新規見込み客獲得」が多い

富士通総研が年商上位企業のマーケティング担当を対象として実施したアンケート調査結果によると、デジタルマーケティングに取り組んでいる企業は全体の35.3%でした。デジタルマーケティングはまだ行ってはいないものの、「今後取り組む予定」は12.1%、「取り組むかどうか検討中」が26.0%となっており、企業の関心の高さが伺えます。

業種別に見ると、やはりBtoC企業の取り組み比率が高く、小売・外食業は57.6%に達していました。一方、BtoB企業ではサービス業が38.1%、製造業が30.6%と、BtoC企業と比べると少し低くなってますが、取り組みが広がっている様子は伺えます。

デジタルマーケティングに取り組んでいる企業に目的を聞いたところ、「新規見込み客(リード)獲得」が44.6%で一番多く、「コミュニケーション・情報収集」の24.3%が続き、「既存顧客へのリピートセル・クロスセル」は17.5%とやや少なくなっています。業種別では、BtoBサービス業やBtoB製造業で「新規見込み客獲得」が半数を超えているのが特徴的です。このBtoB企業の新規見込み客獲得の手段としてMAツールが導入されているのです。

業種別デジタルマーケティングの目的

新規見込み客獲得に効果的なMAツール

MA(Marketing Automation)ツールは、個別メールの配信やアクセス分析など、マーケティング活動において手間のかかるルーティン作業を効率化するツールです。BtoB企業でデジタルマーケティングがブームになると多くの企業が導入しました。

従来の訪問型営業活動は、販売支援部門などが開催する展示会などで名刺情報を集め、営業担当者がアポを取って説明や商談をする形が一般的でした。見込み客の中には情報収集の人も含まれているので全てが商談対象ではありません。なので、営業担当者の中には一部の有名企業だけアポを取り、残りは放置してしまうケースがあるようです。

この営業プロセスにデジタルマーケティングを適用すると次のように変わります。展示会やWebサイトで集めた新規見込み客に対しては、マーケティング部門がMAツールやインサイドセールスを使ってコミュニケーションします。見込み客がアクセスしたコンテンツやコミュニケーションの反応から確度をスコアリングして、得点が高くなると案件として営業に渡します。

新規見込み客獲得におけるマーケティングオートメーション活用

このようにマーケティング部門で案件を絞り込むことで、営業担当者は効率的な営業活動が可能になります。例えば、新製品を販売した電子機械製造会社では、ターゲットが今までの顧客層と異なっていたので営業効率が悪く苦労していました。そこで、Webサイトやセミナーなどで見込み客を集め、MAツールで絞り込んでから営業に案件を渡すデジタルマーケティングを導入することで効率的な営業体制に変えることができました。

MAツールは新規見込み客獲得で効果的なツールです。ただ、成熟した市場が多い日本では、市場における認知率が高く、新規見込み客獲得の余地が少ない製品・サービスが多いかもしれません。

既存顧客の維持も重要なテーマ

冒頭で紹介したアンケート結果では、デジタルマーケティングに取り組んでいる企業のうち、「成果を挙げている」のは全体で37.0%でした。業種別では、BtoB製造業で成果を挙げている企業は22.6%に留まります。

成果を挙げていない企業にその理由を聞いたところ、「ブームだからMAツールを導入したが、導入対象のビジネスは既存客中心で見込み客獲得はほとんど出来なかった」との答えがありました。実際、新規見込み客獲得のためにMAを導入した後で、自社には既存顧客維持の方が重要だったことに気付き方針を変えた会社もあります。

デジタルマーケティングを実践する際は、適切な目的設定を行う必要があります。一般に売上の8割は上位2割の優良既存顧客からもたらされ、新規顧客獲得には既存顧客維持の5倍のコストがかかるといわれています。成熟市場では、新規顧客の獲得より既存顧客の維持の方が重要になります。

MAよりCRMが適しているビジネスは多い

デジタルマーケティングには、様々な手法とツールがあります。日本の代表的なツールを紹介している「マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN 2017」には、10分野272のツールが掲載されています。これだけ多様なツールがあるのは、デジタルマーケティングの目的や用途が各社によって違い、最適なツールが異なっているためです。

ある製造業のマーケティング担当マネージャーも、「BtoB製造業と一口で言っても、業種やサプライチェーンでの位置付けで、マーケティングや営業のやり方が異なる。他社で成果を挙げたツールを導入するのではなく、自社独自の方法論を見出してからツールを選定している」と取り組みの考え方を説明してくれました。

デジタルマーケティングに取り組むにあたっては、自社のビジネス環境を考慮した上で目的を明確にして最適な手法を選択することが重要です。新規見込み客獲得のMAより既存顧客との関係性を構築するCRM(Customer Relationship Management:顧客との関係管理)の方が優先度は高い、という会社も多いはずです。

株式会社富士通総研 田中 秀樹

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