共創事例:ローソン×富士通

レジがない!?ニューノーマル時代の新しいコンビニとは

新型コロナウイルスはグローバルに多大なインパクトをもたらしています。小売業界においては、非接触、非対面のキャッシュレス決済やレジなし店舗が注目されるようになり、また、ECへの追い風の中で実店舗にはリアルならではの魅力の創出が求められています。ローソンは最新のデジタル技術を活用したレジなし店舗の実用化に向け実験店舗をオープン。AIによる動体分析や、新しい顧客体験、省人化オペレーションなど、様々な実証実験が進行中です。ここでは、その取り組みの一部をご紹介します。

ニューノーマル時代のコンビニは「手ぶらでお買い物」

2020年春、ローソンは富士通新川崎テクノロジースクエアにレジなしの実験店舗をオープン。店舗スタッフの負荷軽減と、レジに並ばずに買い物ができる来店客の利便性向上を目的とした実証実験を行っています。ここでは、店舗スタッフは商品の品出し作業を行うだけで、レジ業務はありません。お客様はウォークスルー形式で品物を手に取って退店するだけで、レジを介さない新しいお買い物体験ができます。店舗にとっては、レジ対応の省人化による生産性向上やピーク時間帯の機会ロスの削減につながります。

実験には、主に富士通社員が利用者として参加しています。来店客は、専用のアプリに表示されたQRコードと生体情報を紐づけ、生体認証を経て入店します。店内には複数のセンサーとカメラを配置。店内のカメラでとらえた人・商品・手の動きと、商品棚のセンサーの重さと位置などの情報から、お客様が何を買ったかをAIが認識し、退店時にクレジットカードで自動決済される仕組みとなっています。購入履歴は、アプリ上に表示されるレシートで確認することができます。

入店時の生体認証には富士通研究所が開発したマルチ生体認証を世界初導入。手のひら静脈と顔の認証を組み合わせることで、あらかじめ100万人規模の本番展開を想定した認証速度を実現しています。また、カメラ、センサー、AIによる購⼊商品の認識、在庫管理、決済機能などを備えたレジなし店舗システムには、先進的なスタートアップ企業である⽶国VCOGNITION TECHNOLOGIESの「Zippin」を使⽤しています。汎⽤のカメラ、センサーを既存設備に設置するため低コストに導⼊でき、⾼いプライバシーへの配慮とAIの学習機能により継続的な精度向上が図れるなどの特⻑を備えています。ローソンはこの「Zippin」にいち早く目をつけ、日本での実験店舗をオープンしました。

入店から購入までの流れ

  • ① ゲートで手のひらをかざす(マルチ生体認証)
  • ② 商品を手に取る(重量センサー+カメラ)
  • ③ 退店時に決済、電子レシート配信

ストレスのない買い物体験に新鮮な驚き

利用した社員からは、「エレベーター待ちの間に買い物が済んでしまう」というコメントがあるなど、スピーディーで簡単なことに驚きの声があがりました。
富士通 時田社長は、「想像以上に面白かった。レジに並ばない、財布やスマホを出さない、そのような今まで特に負担に感じたことがなかった動作がなくなると、こんなにも楽なのかと新鮮に感じました」と感想を述べています。

実験店舗を体験する富士通 時田社長

コロナ禍で変わる小売業のありかた

コロナ禍における小売店舗では、スタッフのマスクの着用やレジで透明シートを利用するなどの対応をしていますが、レジなし店舗では、店舗スタッフとお客様との接触がなく、レジに並ばずに済むことから密集を回避することができるため、感染リスクの抑制を期待できます。また、手のひら静脈と顔によるこのマルチ生体認証は、非接触かつマスクをしたままで利用することが可能です。こうした取り組みは、お客様に安心・安全を提供するともに、従業員を守ることにもつながり、ニューノーマル時代に適したソリューションと言えるでしょう。
小売業ではこれからも、時代と共に変わっていく価値観やライフスタイルに合わせてお客様のニーズをくみ取り、新たな購買体験を提供していくために、今回のような、手ぶらで買い物ができる便利さの追求や、スタッフの負荷軽減によってお客様対応を強化するなどの実験的な取り組みが求められるでしょう。
ここで培われた技術をベースに無人店舗が実現すれば、これまでコンビニが出店できなかったような場所への展開も可能となり、より多様な形での価値の提供、購買体験へと可能性が広がります。

ローソンは、今回の実証実験の結果を活かし、来店客の動き・時間・購買動機・再来店意欲などを調査・分析し、売上増につながる効果検証や来店客目線での課題整理を行った上で、一般顧客向け実証実験店舗のオープンを目指します。

ページの先頭へ