開発の責任者が語る:Enterprise Postgresのビジョン
PostgreSQLインサイド

当社では2018年9月18日にPostgreSQLを富士通の技術とサポートで強化したデジタルビジネスを支えるデータベース「FUJITSU Software Enterprise Postgres」をエンハンスし、最新バージョンとなる「10」を販売開始しました。戦略的ビジョンを開発の責任者である当社 データマネジメント・ミドルウェア事業部 第一開発部 部長 金子 温が語ります。

Enterprise Postgresとは

Enterprise PostgresはOSSデータベースである「PostgreSQL」を富士通の技術でセキュリティ・性能・信頼性を強化したデータベース製品です。加えて定評ある当社の24時間365日サポートを提供することにより、「ビジネスユースで安心してご利用いただけるPostgreSQL」がコンセプトです。

Enterprise Postgres 10のエンハンスポイント

2018年9月18日に販売開始したEnterprise Postgres 10では、よりビジネスユースで安心してご利用いただけるPostgreSQLを目指し、以下をポイントにエンハンスしています。

  • 周辺OSSの追加による運用性強化
  • ミッションクリティカル向けに信頼性の強化

周辺OSSの追加による運用性強化

Enterprise Postgresでは、従来よりPostgreSQLの活用に必要な各クライアントドライバーや運用ツールなどの周辺OSSを取り込んで一括提供してきました。
Enterprise Postgres 10では、これをさらに進め一括提供する周辺OSSの数を増やすことで連携性や運用管理を強化しています。PostgreSQL上で全文検索ができる「pg_bigm(ピージーバイグラム)」、バックアップの世代管理ができるバックアップ/リストア管理ツール「pg_rman(ピージーアールマン)」など、お客様から要望の多いものを中心に追加しています。

周辺OSSも含めて富士通がワンストップサポート

Enterprise Postgresをお使いのお客様からは『周辺OSSのツールを活用している』といった声をよく聞きます。しかし『もっと活用したいが自社でサポートしていくには心配』といった声も多いのです。
このようなお客様の声を受け“もっと多くのOSSを安心して使っていただきたい”という思いから、お客様の期待するシステムを「ワンストップ」で提供、サポートをしていきます。
PostgreSQLにはデータファイルや商用DBなどとの外部データ連携、GUI管理ツールなど機能を補完するツールが充実しており、現在384種(2018年10月現在pgFoundryで公開されている数)も存在します。今後もお客様のご要望を受け、周辺OSSのサポートを拡大していく計画です。
“世の中の良いものはどんどん製品に取り込み富士通がサポートしていく”という構図を強化することで“お客様と一緒に成長していきたい”と思います。

ミッションクリティカル向けに信頼性の強化

Enterprise PostgresはOSSのニーズが高い海外でも販売しており、海外では金融系の基幹システムをはじめミッションクリティカルなシステムにも採用されています。このようなミッションクリティカルなシステム向けにバージョン 10では信頼性を強化しています。
主な強化ポイントを以下に挙げます。

  • ディザスタリカバリー(災害対策)運用
  • 不正アクセスや権限濫用などのセキュリティの脅威に対抗する監査ログ機能
  • 高速データロード機能(COPY FROMコマンドの並列実行)
  • ユーザー出口を使用したバックアップ/リカバリー

当社はPostgreSQL開発コミュニティーに参加し、セキュリティ・性能・信頼性を高める機能を開発し、フィードバックを行っています。PostgreSQL 10ではコミュニティーの中で議論しながら、新機能としてpg_hba_file_rule view機能を追加し、クライアント認証の定義を安全に管理できるようにしました。
また、性能向上に向けた改善および、障害修正をコミットすることでPostgreSQL開発コミュニティーを支えています。

富士通株式会社 ソフトウェア事業本部 データマネジメント・ミドルウェア事業部 第一開発部 部長 金子 温

コミュニティー活動の中でPostgreSQLを強化している理由

世の中の流れとして、従来のライセンス販売型ビジネスからサービス販売型ビジネスにシフトしています。当社も、富士通独自の機能を価値にライセンスを売るビジネスから、富士通の技術力(人)を価値としたサービスビジネスにシフトしています。
私たちが長年にわたりPostgreSQLを色々な場面で研究・利用し、蓄積してきた「技術力」は、システム構築を担当しているSEさんから高い評価を得ています。ここに着目し、以下のように舵を切りました。

  • 当社は、技術力(人)を価値としたサービスを強化・提供
  • 製品の機能強化は独自機能として差別化するのではなくベースとなるPostgreSQLを開発コミュニティーの中で実現

すべてを当社だけで実現するのではなく、PostgreSQLとコミュニティー活動、当社のサポートサービスでエコシステムを形成し、お客様が必要とする価値を共創していくのです。

富士通のサポートサービスで“あんしん”して製品を使用いただけます

進化の早いPostgreSQLにおいても当社の長期サポートサービスでは、製品の販売終了後5年間のサポートを基本としており、お客様の要望に応じてサポート期間の延長が可能です。また、PostgreSQLだけではなく周辺OSSも含めて、ワンストップでサポートします。これにより、万が一の障害発生時にお客様が問題の切り分けを行うといった面倒がなくなります。

さらに、設計構築時のサービスも充実させていきます。例えば、データベースの移行とアセスメントを含めたアプリケーションの移行といった他のデータベースからの移行サービスも用意しています。

技術者育成への取り組み

富士通では「PostgreSQL」技術者の育成にも力を入れています。
Enterprise Postgresの技術者拡大に向けたトレーニングや認定制度を用意しており、当社データベース製品の概要を学ぶ教材や、受講者の知識に合わせて学べる教材、例えばOracle Databaseとの違いを比較しながら学べる「Oracle Database 技術者のための富士通のデータベース適用」など、多彩なトレーニングを提供しています。
また、学んだ知識を証明できる認定資格「FUJITSU Certified Middleware Professional データベース Standard」を取得すると、LPI-Japanの「OSS-DB Silver」資格を同時に取得することができます。

形態 コース名
eラーニング 富士通のデータベース概説【無料】
ITスペシャリストのためのデータベース
ITスペシャリストのためのSQL開発
PostgreSQL技術者のための富士通のデータベース適用
Oracle Database技術者のための富士通のデータベース適用
実習で学ぶPostgreSQL DB構築と運用操作
集合教育 PostgreSQL導入トレーニング
PostgreSQL運用管理トレーニング
PostgreSQLクラスタシステム構築トレーニング

このような、当社が提供するサポートサービスと技術者拡大のためのトレーニングを活用いただくことで、"あんしん"して製品をご使用いただけます。

Enterprise Postgresの今後

冒頭にご説明したように、「ビジネスユースで安心してご利用いただけるPostgreSQL」 をコンセプトは変わらず、大規模基幹システム向けのエンハンスも行っていく予定です。
また、IoTやAIなどのデジタル技術が進み、取得できるデータは多彩で大量になってきています。このデジタルデータの活用を見据えて、NoSQL領域の機能も強化していきたいと思っています。コミュニティー活動の中で進めているのが、Pluggable Storageです。PostgreSQLから、用途に応じたストレージを使い分けることができる機能で、PGCon(毎年カナダで開催されるPostgreSQLのユーザーと開発者のためのカンファレンス)Developer Unconferenceでも議論しています。
私どもはオープン性が高く定評があるPostgreSQLを非常に評価しています。当社がメインフレーム時代から長い年月をかけて培ってきた高性能・高信頼性を実現するためのノウハウや技術を提供することで、もっとPostgreSQLの世界が広がると良いと思っています。

2018年10月15日公開

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