NTTアドバンステクノロジは研究開発用仮想サーバの配備や運用において、サービス提供に多くの時間と手間を要するなどの課題を抱えていた。そこで、ICTリソース管理ツールとして、富士通の「FUJITSU Software ServerView Resource Orchestrator」を導入。サービス提供時間を5分の1以下に短縮し、クラウド基盤の最適化を果たしている。
[ 2013年5月10日掲載 ]
業種: | その他 |
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製品: | ソフトウェア
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1 | 研究開発用仮想サーバの配備を効率化したい | ![]() |
ツールによる効率化で配備時間を5分の1以下に短縮 |
2 | 手作業や属人性を解消して管理精度を高めたい | ![]() |
リソース管理のシステム化でミスを最小化 |
3 | 開発環境利用者の利便性をより高めたい | ![]() |
利用者向け操作画面の提供でサービス品質向上 |
NTTグループの技術系中核企業であるNTTアドバンステクノロジ(以下、NTT-AT)。
ネットワークや画像・音声など多岐にわたる分野にて、NTTグループをはじめ、世界の先端技術を商品/ソリューション化し、お客様の価値に変えて提供。近年はクラウドをキーワードに、プロバイダーからバリューパートナーへの変革に取り組んでいる。
その取り組みの一つに、「1.5次保守」がある。ハウジングからリモート監視運用まで幅広いサービスを提供する「ICT-24オペレーションセンタ」。ここでは、障害発生時におけるベンダーへのエスカレーション率を下げることで、コスト削減やお客様へのサービス向上を図っている。
NTT-ATでは、NTTグループ企業の研究開発用サーバの管理も担っている。
もともとツールを使わずにクラウド環境を構築しており、ICT-24オペレーションセンタの管理者が利用者からの要請を受けて仮想サーバを配備していたが、その中でいくつかの課題に直面していた。
NTTアドバンステクノロジ ネットワークソリューション事業本部 ICT-24オペレーションセンタ センタ長 大村 弘之 氏は「仮想サーバは利用者からメールでオーダーを受けると、その都度手順書を作成してレビューを行った後、コマンドラインを用いて手作業で払い出していました。そのため、多くの手間と時間を要していたのです」と明かす。
大村 弘之氏
NTTアドバンステクノロジ株式会社
ネットワークソリューション事業本部 ICT-24オペレーションセンタ センタ長
井上 三男氏
NTTアドバンステクノロジ株式会社
ネットワークソリューション事業本部 ICT-24オペレーションセンタ 担当課長
同社では仮想サーバ配備や運用はITILに基づいて実践していたが、それでも手作業に伴うミスのリスクや業務の属人化が問題視されていた。
同センタ 担当課長 井上 三男 氏は「各仮想サーバに割り当てるICTリソースは、表計算ソフトなどを別途用いて手作業で管理していました。それゆえ、異なる仮想サーバに同じIPアドレスを払い出してしまうなどのミスを犯すリスクが高まっていました」と振り返る。
しかも、配備後の運用でも悩みを抱えていた。
同センタ 主任 浦西 慶規 氏は「CPU / メモリなど仮想サーバのICTリソース使用状況確認や再起動などは、利用者の依頼を受けて管理者が毎回対応しなければなりませんでした。他業務との兼ね合いなどから、即対応できないケースもあり、サービス品質の低下を引き起こしていました」と話す。
また、その対応には毎回15分から20分程要するが、積み重なると無視できない量にのぼり、業務効率に悪影響を及ぼすこともあった。
浦西 慶規氏
NTTアドバンステクノロジ株式会社
ネットワークソリューション事業本部 ICT-24オペレーションセンタ 主任
現状の手作業による運用に限界を感じた同社は、ICTリソース管理ツール導入が不可欠と考えた。複数製品を比較検討した結果、採用したのが富士通の「ServerView Resource Orchestrator」である。
製品選定の際は、クラウド環境の運用に欠かせないICTリソースの使用状況確認をはじめ、仮想サーバ再起動などの操作が管理者のみならず、利用者もGUI環境から行えることが必須条件であった。それを前提に、直感的で分かりやすい操作性で同製品を高く評価した。
「仮想サーバを払い出す場合、作業の出発点が明確であり、その後の流れも画面上で的確にナビゲートしてくれます。このわかりやすさは、純国産ならではですね」と話す井上氏。充実した承認機能、課金機能が実装されている点も採用の後押しとなった。
そして、大村氏が実際に利用シーンを見学した富士通の沼津ソフトウェア開発クラウドセンターも決め手の一つであった。「当社が求める形態とほぼ同じ運用を富士通が社内実践しており、具体的な運用イメージがつかめました。また、実践の中で長年培われた知見やノウハウが、製品に取り入れられているところに信頼感を覚えました」(大村氏)
NTT-ATの研究開発用クラウド基盤では、仮想化ソフトウェアにはコスト削減を目的に、Red Hat Enterprise LinuxのKVM(Kernel-based Virtual Machine)を使用している。その環境にServerView Resource Orchestratorを導入し、仮想サーバの自動払出し、ICTリソースの使用状況確認など、管理者向けと利用者向けにWebブラウザで使える画面を使用した運用を行う。
「導入開始から約1カ月でカットオーバーできました。大きなトラブルもなく、短期間でスムーズに構築できて助かりましたね」と目を細める浦西氏。現在は約1000台の仮想サーバを管理している。
【NTTアドバンステクノロジ株式会社様導入事例 システム概要図】
NTT-ATはServerView Resource Orchestratorの導入によって、従来の課題を解決できた。まず挙げられるのが、手作業の解消による管理の効率化である。「仮想サーバの払い出し作業はGUIの管理画面によって簡素化されました。加えて、一度配備したサーバは登録しておけば、以降は迅速に払い出し可能となりました。承認プロセスの効率化などもあわせると、仮想サーバ配備をはじめとするサービス提供の所要時間を5分の1以下に短縮できたのが大きいですね」と大村氏は強調する。
手作業の解消は運用の品質向上にもつながっている。「仮想サーバのICTリソースはRed Hat Enterprise Linux-KVMと連動して管理可能となりました。手作業による管理データの入力や確認が不要となり、IPアドレスの重複などの人的ミスを防げるようになりました」と井上氏は笑みを浮かべる。同時に、ツール導入による業務の標準化で属人性も解消できた。
利用者向けに操作画面を提供することによりサービス品質も向上。「仮想サーバのICTリソース使用状況確認や再起動などは、利用者自身が必要な時にGUI画面から直接行えるようになり、サービス品質を向上できました。以前管理者が対応に費やしていた時間も一切不要になりました」と浦西氏は話す。
NTT-ATは今後、研究開発用クラウド基盤の最適化を進めていく。たとえば、よく利用される仮想サーバの構成を何種類かあらかじめテンプレート化しておくことで、払い出し作業のさらなる効率化を図る。ほかにも、「ServerView Resource Orchestratorの機能をより活用して、サービスメニューを拡充したいと考えています。Red Hat Enterprise Linux-KVM以外の仮想化ソフトウェアの利用も視野に入れています。また、富士通のSystemwalkerシリーズと連携させ、ITILに基づく運用管理のさらなる品質向上にも取り組みたいですね」と大村氏は構想を膨らませる。
NTT-ATはこれからも富士通の支援のもとに、研究開発用クラウド基盤などによって、お客様へのソリューション強化とNTTグループへの貢献を加速していく。
エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社ご担当者様
社名 | エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 |
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本社所在地 | 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル |
設立 | 1976年12月17日 |
資本金 | 50億円 |
代表取締役社長 | 花澤 隆 |
従業員数 | 2,000名(2012年3月31日現在) |
事業概要 | NTTグループをはじめとした世界の先端技術と連携し、顧客の課題に合わせて多彩な技術を組み合わせて提供している。インフラ系事業、ソリューション系事業、プロダクトセールス系事業を3本柱として、成長戦略に取り組んでいる。
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