食品卸流通の三井食品はDWHを長年にわたり有効活用している。サポート切れなどを契機にスピードアップなどさらなる最適化を求め、移行に着手。高速性やコスト面の優位性などから同社が選んだ製品が「FUJITSU Software Symfoware Analytics Server」である。
DWH移行という難易度の高いプロジェクトを確実に完了し、月次バッチ80%以上、日次バッチ1時間以上短縮など、大幅な処理速度向上を実現。さらに、運用コストを年間約800万円削減し、データ精度も向上した。
[ 2016年9月7日掲載 ]
業種: | 製造 - 食品
流通 - 卸売 |
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製品: |
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1 | 基幹システム並みに重要なDWHの最適化を図りたい | DWHの移行を確実に完了した上、データ精度も向上 | |
2 | 画面検索やバッチの処理時間を短縮したい | 画面検索は最大60%、月次バッチは80%以上短縮 | |
3 | DWHの運用保守コストを削減したい | ライセンス料低減など年間約800万円削減 |
食品卸流通業の大手である三井食品。小売とメーカーをつなぐイベント「三井食品フードショー」を毎年開催し、近年は国内ローカルの優良商品を小売に紹介する貴重な場としても注目されている。
同社は、2015年4月からは中期経営計画「NSP2017~MoveForward~」をスタート。3つの指針「カスタマー戦略元年」「物流No.1卸」「需要創造型卸」を掲げ、新たな需要創造に取り組んでいる。
輸入開発商品「シメイ・ブルー」
水谷 幸雄氏
三井食品株式會社
常務執行役員 情報システム本部 本部長
同社は業界内でも早期にDWHを導入し、長年利用している。
販売管理を中心とする基幹システムの膨大なデータを分析してレポートを作成し、経営層が経営判断の根拠にしたり、現場の営業担当者が提案の裏付けとなるデータに用いたりするなど日々活用している。
これまでDWHは海外ベンダー製品を使ってきたが、サポート切れが控えていただけでなく、ハードウェアの老朽化も重なっていた。
同社 常務執行役員 情報システム本部 本部長 水谷 幸雄 氏は「DWHは成熟し運用も安定していましたが、デジタル化社会に適合するためのインフラとして、さらなる最適化を目指し、移行しました」と話す。
流通卸業にとって、データは業務の要である。顧客のニーズを把握し、自社の強みを活かした提案を行うために欠かすことはできない。
それだけに、DWHは同社の日常業務に欠かせないシステムであり、基幹システム同様に重要な存在である。
DWHの移行はそもそも技術的に難易度が高い上に、扱うデータ量はTB単位と大量であることからリスクは取れない。
同社 情報システム本部 システム統括部 部長 内山 洋 氏は「DWHの移行は従来と同等以上の品質を保ちつつも、安全かつ確実に完了させることが必須です。当時は並行して基幹システム再構築にも取り組んでおり、人的リソース不足なども懸念されていました」と振り返る。
内山 洋氏
三井食品株式會社
情報システム本部 システム統括部 部長
小池 洋平氏
三井食品株式會社
情報システム本部 システム統括部 基幹システム室
処理速度については、従来のDWHでも要件は満たしていたが、プロジェクトを進めるにあたってはさらなるスピードアップを求めていた。
同社 情報システム本部 システム統括部 基幹システム室 小池 洋平 氏は「特に夜間の日次バッチは翌朝のオンライン開始の直前まで時間を要しており、基幹システムからのデータ受信が遅れるなどのトラブルでバッチ開始が少しでも遅れると、オンライン開始が遅れる恐れがありました」と振り返る。
一方、システムのコスト削減は恒久的な命題であり、DWHでもさらなる運用コスト削減を目指していた。「従来のDWHはライセンス料が運用コスト押し上げの大きな要因となっていました」と水谷氏は語る。
さらに、従来はDWHと基幹システムでベンダーが異なり、運用保守が統一されていなかった。
窓口が分かれており、トラブル時の対応に時間を要してしまうなどの課題も抱えていた。
同社は2015年4月、DWHの移行に取りかかった。そして、従来のDWHと比較検討した結果、富士通の「Symfoware Analytics Server」を採用した。
決め手の一つがカラム型データベースならではの高速性である。
「事前にベンチマークを実施した結果、検索のレスポンスをはじめ、処理速度の向上が見込めました。なかでも、処理の重い主要なプログラムの解析で、かなりの好感触を得たことが大きかったですね」(内山氏)。
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高速性に加え、基幹系システム再構築で富士通の「FUJITSU Software Symfoware Server」を導入済みであったことから、データベースおよび運用保守の統一といったシナジー効果も期待できた。
「さらにはリーズナブルなライセンス料といったコスト面での優位性、データ圧縮をはじめとする機能の充実に優位性がありました。加えて、対象を変えてのベンチマークにも短時間で対応できた富士通の技術力も含め、総合的に判断して決めました」(水谷氏)。
2016年1月に本稼働し、ピーク時で1日約3000アクセス、1日平均で約900ユーザーが利用している。移行データはTBレベルと大量だった。
「DWHの移行は難易度の高いプロジェクトでしたが、富士通SEの高い力量のおかげで乗り切れました。例えば、DWHは何年も前に構築したため、設計書の存在を含め様々な情報がブラックボックス化していたなど、移行中に予期せぬ問題が何度か生じましたが、着実な現場力で解決してくれました」と内山氏は評価する。
また、実際に業務データを用いて検証したところ、従来のDWHに比べて精度の高いデータを得ることができた。
例えば、数値の除算で割り切れない場合、従来のDWHは小数点以下をカラムの精度に応じて自動で四捨五入するため、演算が複数回行われると計算結果の精度が落ちてしまう。
その点、Symfoware Analytics Serverでは小数点以下をデータベース上で可能な精度まで保有するので、より正確な計算結果の獲得が可能となる。
【三井食品株式會社様導入事例 システム概要図】
同社は品質を保持しDWHの移行を達成できた。
その結果、処理性能で狙いどおりの効果が得られた。
「日次バッチ処理の短縮時間は1時間をゆうに超えました。今までは翌朝のオンライン開始直前まで時間を要していましたが、1時間以上も余裕ができたのは大きいですね。もしトラブルが発生しても、あわてず落ち着いて適切に対応できるようになり、DWHの可用性向上にも寄与しています」と小池氏は満足げに述べる。
データ販売月次バッチの処理や月報の作成処理などの時間も80%以上短縮できた。
さらに、画面検索の所要時間は最大60%短縮。レスポンス向上によって使い勝手が向上した結果、DWH利用がより促進され、データ活用による競争力強化を推進できた。
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「I Love Superfoods」
データ精度の向上も達成。同社では社内の業務に加え、顧客サービスの一環として、データを抽出・加工して取引先に渡す機会もあることなどから、データの精度が問われる。
「Symfoware Analytics Serverへの移行によって保持可能な小数点以下の桁数が増えたため、データの精度が向上し、より正確なデータの活用が可能となりました。お客様にサービスの一環としてお渡しするデータも精度が高まり、顧客満足度向上につながっています」と水谷氏は強調する。
また、圧縮機能ではデータ容量を従来の約2分の1に削減。ストレージにも余裕ができた。
「データ量は年間1割増を見込んでいますが、将来もし取引拡大や合併などでデータが増えても、ディスク容量を拡張せずに対応できます」と内山氏は話す。
コスト面においても大きな効果が得られた。
「高速なカラム型の採用など、最新技術を備えたDWHを導入できました。さらに、ライセンス料が大幅に抑えられ、運用保守コストを年間約800万円削減でき、ICT投資最適化に大きく貢献しています」と水谷氏は語る。
運用についても、「基幹システムとDWHの運用保守が統合されたことで、障害発生時の対応時間短縮や問い合わせなどへの作業負荷軽減など、最適化が図れました」と小池氏は手応えを感じている。
同社は今後、DWH活用の幅をさらに広げていく。
「特に小売様やメーカー様に対して、DWHの分析結果に基づいた攻めの提案を行うなど、マーケティングのICT活用を推進したいと考えています。並行して、基幹システム再構築によって倉庫内の実績データをより詳細に収集可能となったので、DWHで分析して改善するなど、『物流No.1卸』の達成にも役立てたいですね」(内山氏)。
三井食品株式會社様と富士通営業/SE
社名 | 三井食品株式會社 |
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本社所在地 | 東京都中央区八重洲2丁目7番2号 |
創業 | 1928年7月 |
資本金 | 120億3,100万円 |
代表取締役 | 社長執行役員 藤吉 泰晴 |
従業員数 | 1,106名(2016年4月1日現在) |
事業概要 | 酒類、飲料、食品などの卸流通を軸に事業を展開。オリジナル商品開発も手がける。小売やメーカーとの関係深化による営業力強化、少量多品種への対応力を高める物流改革に注力。顧客目線に立った提案型営業で、海外産クラフトビールなど独自商品を活かした異質化戦略を加速する。
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ホームページ | 三井食品株式會社様 ホームページ |
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