茨城県を中心に地域密着型の金融サービスを提供する常陽銀行は、「ATM宝くじサービス」を開始した。
宝くじセンターと接続するために、FUJITSU Software Interstage Application Serverを基盤とする富士通の「ATM宝くじサービスゲートウェイシステム」を導入。マルチベンダーの勘定系システムやATMシステムに影響を与えることなく、高品質・高信頼なゲートウェイシステムを構築し、収益金納付を通じた地域貢献および顧客口座はじめ営業店業務の活性化を実現した。
[ 2015年1月9日掲載 ]
業種: | 金融・保険証券 |
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製品: | ソフトウェア
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1 | マルチベンダーの現行システムに影響なくサービスを実現したい | ゲートウェイシステムで現行システムへの影響を極小化 | |
2 | 宝くじ販売を通じて地域貢献と顧客接点を強化したい | ATM宝くじサービスで地域貢献に寄与、顧客口座も活性化 | |
3 | 高品質・高信頼なATM宝くじサービスを構築したい | ATM宝くじサービス構築実績とノウハウでトラブルゼロの安定稼働 |
常陽銀行は茨城県を地盤とする地域密着のリーディングバンクである。
茨城県内では預金残高・貸出金残高1位、預貸金シェア4割超であり、預金高は全国地銀の上位に名を連ねる。
東日本大震災からの復旧・復興にも継続的に取り組んでおり、現在は「円滑な資金供給による課題解決」「地域経済活性化・産業振興による事業創造」「地域の未来への社会貢献」を3本柱とする「未来協創プロジェクト『PLUS+』」を推進中だ。
田中 正樹氏
株式会社常陽銀行
営業統括部 統括グループ 主任調査役
同行は「地域の未来への社会貢献」の一環として、「ATM宝くじサービス」を2014年8月11日から開始した。
ロトやナンバーズといった数字選択式宝くじがATMからキャッシュカードで手軽に購入できるサービスである。
同行 営業統括部 統括グループ 主任調査役 田中 正樹 氏は同サービスの目的を「宝くじは売上代金の約40%が収益金として、茨城県などの発行元に納められます。当行はATM宝くじサービスによって、宝くじの収益金納付を通じて地域に貢献します。同時にATMを営業チャネルとして活用し、個人顧客口座の活性化も図ります」と説明する。
同サービスでは、マルチベンダーで構築された現行の勘定系システムおよびATMシステムと宝くじセンターを接続し、購入や入金などの制御が必要となる。
同行 システム部 副部長 平野 隆司 氏は「口座照会や引き落とし、入金など、勘定系システムやATM業務への影響を極小化しつつ、ATM宝くじサービスのシステムを構築したいと考えました。そのためには、現行システムに手を加える開発コストやシステムリスクを最小にしなければなりません」と振り返る。
平野 隆司氏
株式会社常陽銀行
システム部 副部長
このプロジェクトは、同行がかつて経験したことのない大規模なマルチベンダーのプロジェクトとなり、勘定系システム同等の高い品質も求められたため、適切なプロジェクトマネジメントが不可欠であった。
顧客接点強化、口座活性化も課題であった。ATMは個人顧客が最も利用する取引チャネルである。
「多様化する顧客ニーズに応えるには、ATMのサービス拡充が必須です。そこで、ATMを営業チャネルとして有効活用し、顧客接点を強化して、個人顧客口座を活性化しようと考えました。ATM宝くじサービスはそのための有効な方策です。既存口座を利用した購入代金自動引き落としや当選金自動振り込みなどのキャッシュレス取引により、利便性を向上できます。また、当行では現在、ATM宝くじサービスを店舗内ATM専用サービスとしていることから、顧客の来店誘致とATMの活用促進によって、店頭営業の強化にもつなげることができます」(田中氏)
綿貫 哲氏
株式会社常陽銀行
システム部 開発運用グループ 調査役
無論、安定したサービス提供のためにはシステムの安定稼働が大前提である。
同行 システム部 開発運用グループ 調査役 綿貫 哲 氏は「システム障害が原因で、お客様が購入期間の終了間際に宝くじを買えなかったなどの事態は絶対にあってはなりません」と述べる。
同サービスのシステム開発は2013年9月にスタートした。
宝くじセンターとの接続には、複数のソリューションを比較検討した結果、富士通のアプリケーションサーバ「Interstage Application Server」を基盤とする「ATM宝くじサービスゲートウェイシステム」を採用した。
「ゲートウェイの形式で、既存のシステムと完全に切り離して導入できる点を評価しました。他ベンダーの提案は勘定系システムに大きく手を入れる必要がありましたが、富士通のATM宝くじサービスゲートウェイシステムなら、少ない開発ですみます」と平野氏は利点を述べる。
続けて田中氏も決め手を語る。
「富士通はこのATM宝くじサービスゲートウェイシステムで他行のATM宝くじサービスをマルチベンダーで構築し、安定稼働を続けています。その実績と品質の高さも決め手となりました」。
ATM宝くじサービスゲートウェイシステムは、他ベンダーの勘定系システムおよびATMシステムと宝くじセンターの間に、ゲートウェイとして介在する構成。
基盤には、標準技術と豊富な実績による高信頼な多重制御や予兆監視といった実用化技術を搭載したInterstage Application Serverが導入され、同サービスの安定稼働を支える。
オープンな標準技術により、OSや各種言語を含めたアプリケーションの実行環境に依存せずシステム連携を可能にするなど、マルチベンダー環境での構築に最適なアプリケーションサーバである。
ATM宝くじサービスは2014年7月の一部試行を経て、同年8月11日に163店舗のATMでサービスインした。「富士通の営業とSEは対応が迅速・的確かつ親身で、大変心強かったですね」と綿貫氏は語る。
【株式会社常陽銀行様導入事例 システム概要図】
常陽銀行は富士通のソリューションによって、狙い通りの形でシステムを構築できた。
「ATM宝くじサービスは勘定系システムやATM業務と完全に切り離した形で導入できました。そのため、現行のシステムおよび業務に影響を与えることなく、宝くじセンターと接続できました」と平野氏は強調する。
プロジェクト全般についても、「大規模なマルチベンダープロジェクトは不安もありましたが、システム連携やベンダー間の調整など、富士通の適切なプロジェクトマネジメントによって、高品質なシステムを予定通り構築できました」と平野氏は評価する。
綿貫氏も「宝くじセンターとの接続テストは未経験でしたが、ノウハウが豊富な富士通に任せて非常に助かりましたね。期限内にテストを完了でき、品質向上にも寄与できました」と続ける。
ATM宝くじサービスの利用者数は順調に伸びており、顧客の評判も上々だ。
「収益金納付を通じた地域貢献、顧客接点力強化の大きな原動力になっています。ATMの活用促進が、新規取引や口座の活性化にもつながっています」と田中氏は手応えを感じている。
サービスの安定提供についても、綿貫氏は「サービスイン以来、小さなトラブルすら起きておらず、安定稼働を続けています」と満足げに話す。
常陽銀行は今後、ICTの有効活用によって競争力を強化していく。
「タブレット端末など新たな製品や技術を活かしつつ、お客様の利便性向上や行内の業務効率化をより進めていきたいですね。同時に、セキュリティ向上や反社会的目的での利用防止など、より安心・安全に銀行サービスを利用できる体制を強化していきます」と平野氏は構想を語る。
株式会社常陽銀行様と富士通営業
社名 | 株式会社常陽銀行 |
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本店所在地 | 茨城県水戸市南町2丁目5番5号 |
創立 | 1935年7月30日 |
資本金 | 851億円 |
頭取 | 寺門 一義 |
従業員数 | 3,671名(2014年3月31日現在) |
事業概要 | 茨城県を地盤とする銀行。関東地方を中心に福島、宮城、大阪に店舗網を持つ。2014年度より、目指す姿を「地域の未来を協創するベストパートナーバンク」とする「第12次中期経営計画」を展開。総合金融サービスの提供を通じて、社会・経済構造の変化に伴う地域の課題を顧客や地域とともに解決する。
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ホームページ | 株式会社常陽銀行様 ホームページ |
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