富士ゼロックス提供
富士ゼロックスは複合機等の生産拠点の受発注システムにおいて、国内外のサプライヤーへ帳票のPDFファイルを作成・配信する帳票基盤を構築しました。
帳票基盤として富士通の「Interstage List Creator」を導入することで、中国語、韓国語への対応、PDFデータの軽量化を達成。さらに同基盤のクラウド化に際し、既存の帳票資産に手を加えることなく、短期間での移行を果たしました。
[ 2013年5月31日掲載 ]
業種: | 製造 |
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製品: | ソフトウェア
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1 | 既存の帳票を多言語に対応させたい | ![]() |
帳票作成・設計ソフトウェアで容易に多言語対応 |
2 | 通信が不安定な地域でも、必要な時に帳票を即活用したい | ![]() |
PDF軽量化で通信負荷を抑えリアルタイムに帳票を参照 |
3 | 既存の帳票をクラウド環境に短期間で移行したい | ![]() |
帳票資産をそのまま利用し、約1ヶ月で移行 |
複合機をはじめとするオフィス機器の製造販売を柱にビジネス展開する富士ゼロックス。海外にも生産拠点を有し、中国3拠点と韓国1拠点、タイに1拠点、加えて2013年11月にはベトナムにも新工場を開設予定である。
横内 清氏
富士ゼロックス株式会社
生産本部 情報プロセス改革グループ チーム長
生産拠点のICTは同社生産本部が中心となって企画し、グループ会社の富士ゼロックス情報システムが構築・運用を担当している。
富士ゼロックス株式会社 生産本部 情報プロセス改革グループ チーム長 横内 清 氏は「以前は生産拠点ごとにシステムを構築・運用していましたが、2002年頃から全拠点での業務標準化とシステム共通化に着手し、リードタイム短縮や原材料の在庫圧縮、ICTコスト削減を進めています」と話す。
生産拠点で利用する調達の受発注システムでは、サプライヤーとの取引に帳票が欠かせない。
2005年以前は、データベースソフトウェアを使った独自開発のクライアントツールを国内数百社のサプライヤーに配付し、サプライヤーが帳票を作成・印刷していたが、サプライヤーごとのクライアント環境の違いから、エラーや印刷ずれなどのトラブルが頻出し、その対応や動作検証といった保守に工数が割かれていた。
そこで、全生産拠点共通となる帳票基盤を構築し、データセンターで生成した帳票のPDFファイルをインターネット上で各サプライヤーが参照するように運用を切り替えた。
2012年にハードウェアの老朽化に伴い、受発注システムをリニューアル。クラウド環境に移行し、OSはSolarisからLinuxに変更。帳票基盤も更改し、国内のサプライヤーはもちろん海外のサプライヤーもPDFを活用して、必要な時に必要な帳票をWebブラウザで参照、出力できる環境にして、2013年1月より稼働を開始した。
「中国、韓国のサプライヤーとは従来、帳票のやり取りにファックスを利用していました。それら海外のサプライヤーを含め、全生産拠点で共通の運用が求められていました。その実現のためには、システムの共通化に合わせて帳票基盤の多言語対応が必須でした」と横内氏は振り返る。
海外のサプライヤーに対しては、多言語対応とともに、PDFファイルのサイズも肝要であった。地域によっては現地のインターネット回線状況が悪く、途中で切れる事態もしばしば起こる。
「回線が不安定でも、必要な時に帳票を素早く着実に活用できなければなりません。その施策として、通信負荷を抑えるために、PDFファイルのサイズを極力小さくしたいと考えていました」と横内氏は述べる。
富士ゼロックスが求める帳票基盤構築のために採用した製品がInterstage List Creator(以下、List Creator)である。2005年の構築時に導入し、2012年の更改ではバージョンアップした。
List Creatorは中国語、韓国語、ベトナム語など、アジア圏に加え、欧州、北南米を含む13言語に対応。また、独自技術によって、PDFファイルの容量は他社比2分の1に抑えられる(当社調査)。
「List Creator は当社海外拠点の国の言語すべてに対応しています。さらにPDFファイルが軽量であり、私たちが求める帳票基盤に最適でした」(横内氏)
また、システムの老朽化に伴う更改は極力工数をかけずに済ませる必要があったが、バージョンアップした際、旧版で作成した帳票資産をそのまま使えることも採用の大きな決め手となった。
クラウド環境への移行では、既存の帳票資産の継続利用性も重視した。
富士ゼロックス情報システム株式会社 システムデリバリ&サービス第1統括部 生産システム開発部 エンジニア 依知川 龍一 氏は「移行期間を短縮するために、帳票基盤がSolarisからLinuxに変わっても、既存の帳票には極力手を加えずに利用し続けられることを望んでいました」と語る。
依知川 龍一氏
富士ゼロックス情報システム株式会社
システムデリバリ&サービス第1統括部 生産システム開発部 エンジニア
帳票基盤の運用の現場では、List Creatorの使い勝手に満足している。
依知川氏は「List Creatorはデザイナの操作がわかりやすくて助かりますね。帳票ナビやプレビュー機能を使って、専任者でなくても、帳票を容易に作成できました」と、作業を効率化できる点を評価する。
富士ゼロックスでは、帳票を素早く手軽に修正できる仕組みも用意し、さらなる業務効率化を進めている。「サプライヤーがWebブラウザから、日付など帳票のデータを直接編集できるようにしました」(依知川氏)
【富士ゼロックス株式会社様導入事例 システム概要図】
富士ゼロックスはList Creatorで帳票基盤を構築し、帳票をデータセンターで一元的に作成・配信する運用に改善したことで、サプライヤーの環境ごとの動作検証やトラブル対応などが不要となり、保守の工数を大幅に削減できた。
そして、帳票基盤の多言語対応の実現により、海外のサプライヤーも帳票を活用できるようになった。
「List Creatorによって、帳票の中国語と韓国語対応が容易に実現できました。今後のベトナム工場での運用を見据え、帳票のベトナム語対応を先行して検証した結果、問題なく運用できることを確信しています」と横内氏は強調する。
「List Creatorならば、PDFファイルのサイズが小さく、通信負荷を抑えられます。そのおかげで、現地のインターネット回線が不安定な海外のサプライヤーでも、必要な時に帳票を素早く着実に参照・活用できるようになりました」と横内氏は続ける。
また、帳票基盤のクラウド環境への移行においても、期待通りの成果が得られている。
「Linuxに変わり、かつ、List Creatorをバージョンアップしても、帳票定義情報など既存の帳票資産は一切手を入れることなく、そのまま利用できました。そのため、正味1ヶ月という短期間で、クラウド環境に移行できました」と依知川氏は目を細める。
他にも、以前帳票はまとめて週次でしか出せなかったが、必要な帳票を必要な時にリアルタイムで出せるようになったなど、様々な効果をもたらした。
帳票基盤を含めた受発注システム全体の最適化を進めた結果、リードタイム短縮や原材料の在庫圧縮、ICTコスト削減をさらに推進できている。
同社生産本部は今後、開設を控えたベトナム工場の運用体制整備とともに、BCP( 注1)や品質管理の強化などの目的で、2次サプライヤーをはじめ、多層のサプライヤーを含めた管理体制整備を考えている。
横内氏はそのなかで帳票について、「2次サプライヤー以降の生産拠点にも帳票を配信し、現場で直接出力できる仕組みをList Creatorで構築したいですね」と構想を抱いている。
これからも生産体制の最適化を通じて、競争力を高めていく富士ゼロックス。その帳票基盤はこれからもList Creatorが支えていく。
富士ゼロックス株式会社ご担当者様と富士通営業/SE
社名 | 富士ゼロックス株式会社 |
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本社所在地 | 東京都港区赤坂九丁目7番3号 |
設立 | 1962年2月20日 |
資本金 | 200億円 |
代表取締役社長 | 山本 忠人 |
従業員数 | 45,282名(2012年3月期 連結) |
事業概要 | カラー複合機 / 複写機やプリンターなどのオフィス機器製造販売が中心。近年はソリューションビジネスをもう一つの事業の柱にすべく注力している。2012年2月に創立50周年を迎えた。
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