岩崎通信機株式会社様
情報通信機器、産業計測機器、電子製版機器と、3つの事業分野のパイオニア、岩崎通信機株式会社(以下、岩崎通信機)。同社は独創的な技術をベースに、ハードウェアベンダーからソリューションベンダーへと新たな展開を進めています。さらなる飛躍を目指す同社では、コンピュータルームの移転をきっかけに、ITインフラの再構築を決断。VMwareによる仮想化と富士通のブレードサーバ 「PRIMERGY BX620」を活用し、サーバの段階的統合の基盤を確立しました。約半年間という短期間移行の成功のポイントは、ワーキンググループに富士通SEも参加し、週一回のミーティングによる綿密な計画ときめ細かな連携の積み重ねでした。
[ 2010年4月6日掲載 ]
導入事例概要 | |
---|---|
業種: | 情報通信機器、産業計測機器、電子製版機器の製造・販売 |
ハードウェア: | ブレードサーバ PRIMERGY BX620、ストレージシステム ETERNUS2000 |
ソフトウェア: | 仮想化ソフトウェア VMware、サーバリソース制御ソフトウェア
Systemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition |
課題と効果 | ||||
---|---|---|---|---|
1 | 短期間移行とともに、サーバの段階的統合の基盤を確立したい。 | ![]() |
VMwareの仮想環境上にできる限り従来システムをそのまま移行。ブレードサーバ 「PRIMERGY BX620」をベースとする段階的統合の基盤を約半年間で構築。 | |
2 | 新たなサーバの導入を迅速かつ柔軟に実現したい。 | ![]() |
新規サーバの導入の際、VMwareにより設定のみで物理的にサーバを増やす必要がなく、導入までの期間の大幅短縮、コスト削減を実現。 | |
3 | サーバ増大による運用管理の煩雑化やスペース不足を解消したい。 | ![]() |
仮想化とブレードサーバによりサーバ統合を推進。これにより統合的な運用管理が可能となり作業負荷を大幅に軽減。さらに省スペース化や消費電力の削減にも大きく貢献。 |
川口 佳秀氏
岩崎通信機株式会社 情報システム部 部長
戦後、電話機の製造を通じ、電話普及の一翼を担ってきたのが岩崎通信機です。1938年8月に設立された同社は、電話やインターネットの分野を中心に日本の音声通信技術をリードしてきました。現在、次世代ネットワーク(NGN)を利用した高音質伝送技術の開発・応用など新しいサービスの創出に取り組んでいます。
また、電気機器の設計開発に使われる電子計測機器や、軽印刷業界をリードする電子製版機器のパイオニアとしての顔もあります。デジタル化、IP化の流れが加速する中、同社では、ハードウェアベンダーからソフトウェアの提供や納入システムの運用サポートなどを含むソリューションベンダーへと新たな展開を進めています。
さらなる飛躍を目指す同社にとって、ビジネス基盤を支える次期ITインフラの構築は重要なテーマです。同社が抱える課題について情報システム部 部長 川口佳秀氏はこう話します。「現在、ITの取り組みとしてサーバ、通信、LAN、会計、生産と、5つの重点テーマがあります。会計は会計基準への対応、生産は市場の変化やお客様への対応の迅速化を目的に取り組んでいます。残りの3つの要素については、移転に伴う移設と合わせて取り組む必要がありました。業務を行う中で安全、確実に移設を実施することに加え、大きな目的としていたのが、システムの老朽化への対応とサーバの段階的統合でした」。
高橋 利光氏
岩崎通信機株式会社 情報システム部 副部長
移設のタイムリミットは2009年12月。1年余りを残すのみとなった2008年の秋、同社では現状を把握し次期ITインフラ像を描くために既存システムの整理を行いました。「部署ごとに必要に応じてシステムの導入を進めていった結果、サーバ台数の増加による運用管理の煩雑化が課題になっていました。まず実際にどのサーバがどのような業務で使われていて、サポート期限はいつなのか。富士通や富士通のパートナー会社であるミツイワにも協力していただき、約半年間かけて整理、検討を重ねました」と、情報システム部 副部長 高橋利光氏は語ります。
業務やアプリケーションの関係から今回は統合が難しいシステムの洗い出しはもとより、業務継続性の観点からシステムのサービスレベルをきめ細かく把握できたことで、将来の標準化に向け、ブレードサーバと仮想化、SAN Bootを活用した統合の全体像を描けたことは大きな収穫でした。
仮想化ツールとしてVMwareを採用した理由について高橋氏は「以前、システムの延命を目的に導入経験があったということがポイントになりました。サーバ群は複数OSを利用しており、維持管理やアプリケーションのバージョン管理などのライフサイクルも異なっています。これらを短期間に効率よく統合するために、本格的にVMwareを活用することにしました。また、VMwareの活用により新しいサーバの導入も容易かつ迅速にできるという点も重要視しました」と、説明します。
秋山 展久氏
岩崎通信機株式会社 情報システム部 担当課長
短期間での安全な移行、サーバの段階的統合とともに、ソリューションベンダーへと成長していく同社の戦略的な側面から、実践を通じた構築技術やノウハウの修得も重要な目的の1つでした。こうした課題に対して総合的に判断した結果、同社は今回のプロジェクトのパートナーに富士通を選択しました。
「富士通には長年お付き合いいただいており、当社のことを一から十まで理解していただいています。また今回のサーバ統合に先立ち、一部、ブレードサーバに置き換えた際にも協力していただきました。私たちの立場に立ち、一緒に課題の解決に取り組んでいただけるという信頼感もポイントになりました」と、川口氏は採用の理由を語ります。
2009年7月にワーキンググループを立ち上げ、実質半年という短期間移行を実現。情報システム部 担当課長 秋山展久氏は綿密な計画ときめ細かな連携が成功のポイントだったと語り、こう続けます。「ワーキンググループは当社の情報システム部、グループ会社の岩通L&A、そしてミツイワ、富士通のSEにも参加していただきました。週一回、金曜日にミーティングして課題の共有と対応策の検討を行い、新システムで動作を確認した後、業務が休みとなる土曜日、日曜日に移行作業、翌週の月曜日に切り替えを実施しました」。
新インフラでは、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX620」でサーバを統合。VMwareの仮想環境上ではWindowsNT、Windows2000、Windows2003、Redhat、CentOSなど複数のOSが動いており、その上で従来システムが稼働しています。また、基幹であるメールサーバとデータベースサーバは万一のサーバ障害発生時に高速復旧を可能にするSAN Bootで構成、さらにファイアーウォールや負荷分散装置の二重化など業務継続性の強化も図っています。
VMwareによる仮想化の導入効果について高橋氏はこう語ります。「仮想マシンの情報がすべてイメージバックアップできるので、障害復帰がしやすく、新たなサーバへの移行も容易です。また構築段階でリソースの最適配分を決めることができ、リソース使用率の向上も実現できました。今後、新規サーバを導入する際も、設定のみで物理的にサーバを増やす必要がなく、システム導入までの期間の大幅短縮やコスト削減効果も期待できます」。
サーバの統合により運用管理の効率化も実現できました。「従来、個別にバックアップをとっていましたが、グループに分けて対応可能となり作業負荷も大幅に軽減できました。グループ分けではVMwareで対応できないWindowsNTや業務アプリケーションでバックアップをとる必要があるケースなどに応じてバックアップの手順をつくり、運用上の工夫をしています」(秋山氏)。
省スペース化の効果も驚くべきものでした。統合したサーバをラック5台分に収納。さらに省電力化にも大きく貢献しています。
今後について高橋氏は「スタンドアロンで残っているサーバの集約、OSやアプリケーションの整理などインフラの標準化を計画的に進めていきたい。そのための基盤は確立できました」と、将来を見据えて語ります。
さらに川口氏は事業展開と絡めて展望をこう話します。「インフラを運用していく中でスキルを蓄積していくことはもとより、これからはいかに蓄積した技術やノウハウを事業展開の中で活かしていくかが重要になります」。
独創的な技術で新たな時代を切り拓く同社のビジネス基盤を、これからも富士通は先進技術と総合力でしっかりと支えてまいります。
ミツイワ株式会社 営業本部 第一営業部
鎌田 満
岩崎通信機株式会社(以下岩通様)と弊社は2007年の部門サーバをご採用いただいた時からのお付き合いとなります。
今回、『インフラ最適化』を主眼に「ハードウェアの老朽化対策」と「現行システムの継承」 の観点から【仮想化によるサーバ集約提案】をご採択いただきました。
短期間の構築及び移行ではありましたが、岩通様の全面的なご協力と綿密な進捗管理によりスケジュール通りに作業を完了することができました。
今後も富士通様とともに岩通様のご発展に寄与できる、ご提案・ご支援をさせていただく所存でございます。
本社所在地 | 東京都杉並区久我山1丁目7番41号 |
---|---|
代表者 | 代表取締役社長 二村 裕治 |
設立 | 1938年(昭和13年)8月14日 |
資本金 | 6,025,483,326円(2010年3月31日現在) |
従業員数 | 単体381人/連結1,618人(2009年3月31日現在) |
事業内容 | 情報通信機器、産業計測機器、電子製版機器の製造販売
![]() |
ホームページ | 岩崎通信機株式会社ホームページ![]() |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。