株式会社CSK-ITマネジメント様
富士通の「仮想化ソリューションセンター」による検証と技術支援でサービス化の技術的証明を取得
CSKグループにおいてITインフラと運用に特化した企業、株式会社CSK-ITマネジメント。同社は、仮想化技術を活用した「シェアード型仮想化ホスティングサービス」を立ち上げるにあたり、サービスの安定性を証明するために富士通の仮想化ソリューションセンターで実機検証を実施しました。
[ 2009年3月13日掲載 ]
導入事例概要 | |
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業種: | 情報産業・通信 |
ハードウェア: | ブレードサーバ PRIMERGY、ストレージシステム ETERNUS |
ソフトウェア: | 仮想化ソフトウェア VMware |
「使用する機械と同等のスペックのものを実際に使って検証を行いましたが、ツールの操作の仕方や機器固有のBIOSなどの不明点に対して、センターの技術者がその場ですぐに答えてくださり、非常に助かりました。また、こちらのやりたいことを理解した上で、解決方法などの相談にも応じていただき、とても感謝しています」
仮想化システムの導入が本格化する中、仮想化技術を使ったサービスも次々と登場しています。株式会社CSK-ITマネジメント(以下、CSK-ITマネジメント)では、2004年より、お客様ごとの要件に合わせたユーティリティ・コンピューティング・サービスを提供しており、昨今、ますます高まるコスト削減や事業環境の変化への迅速かつ柔軟な対応などのニーズに応えるべく、仮想化技術を活用した「シェアード型仮想化ホスティングサービス」の立ち上げを進めています。サービス化に踏み切る上で、仮想OSごとの機密性、運用性、可用性、独立性、性能の各ポイントについてサービスの安定性を証明するために、富士通の仮想化ソリューションセンターで実機検証を行いました。
課題と効果 | ||||
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1 | 仮想OSごとの機密性に関して明確に証明したい。 | ![]() |
シェアリングによる他社データの参照防止とその証明の実施。また操作履歴のトレースや認証機能、さらにロギングの確認などをポイントに検証。 | |
2 | 仮想化環境に移行した場合の性能や障害時の影響を明確にしたい。 | ![]() |
物理環境との性能比較や、重要な検証パターンを20項目に絞り込み、1社のシステム障害が及ぼす影響度、高可用性やバックアップ&リストア機能などを、お客様の運用目線で検証。 | |
3 | 運用の自動化がどこまで図れるのかを見極めたい。 | ![]() |
「VI Toolkit」や「DRS (VMware Distributed Resource Scheduler)」などを実際に使って運用の自動化をさまざまな観点から検証。サービス強化・拡充に向けた、現時点での機能レベルや将来の方向性を確認。 |
白川 正人氏
株式会社CSK-ITマネジメント 東日本グループ 技術支援課 課長
TCO削減を実現するITインフラの全体最適化において、最も有効な技術の1つである仮想化。その導入が本格化する一方で、お客様が抱く課題について、CSK-ITマネジメント技術支援課の課長、白川氏はこう語ります。「お客様の間で、仮想化技術に対する期待は非常に大きなものがあります。その反面、仮想化環境で本当に業務アプリケーションが動くのか、性能はでるのか、仮想環境上のシステム同士が影響し合わないのかなど信頼性や性能面での不安の声が多いのも事実です」。
CSK-ITマネジメントは、CSKグループにおいて、インフラと運用サービスに特化した企業です。これまでCSKグループとして40年間に渡り培ってきた品質マネジメントシステムと運用の技術・ノウハウを駆使し、お客様の安定した事業運営に貢献しています。
同社が現在、重点を置いているテーマが、「安定したITサービスの証明」と「進化し続けるITサービスの実現」です。「世界不況が続く中、お客様ではコスト削減の必要性がますます高まっています。また、事業環境の変化に対する柔軟性や迅速性の向上、運用管理の負荷軽減も急務な課題となっています。こうしたお客様のご要望にお応えするべく、当社のデータセンターに予め用意したリソースプールより、お客様の必要に応じてリソースを割り当て、運用サービスを付加し、従量課金制で提供する事業の強化を図っております。その基盤となるのが、『シェアード型仮想化ホスティングサービス』です」(白川氏)。
変化の時代におけるIT投資の有効な選択肢の1つ、「シェアード型仮想化ホスティングサービス」の技術的バックボーンは仮想化と自動化です。コストパフォーマンス(品質/コスト比)が高く、常に新しい技術を取り入れ進化していくインフラ基盤の提供に加え、長年、CSKグループが培ってきた運用ノウハウをプラスする点が大きな特長となります。
サービスを利用する企業は、必要なときに必要なリソースの増強が柔軟かつ迅速に受けられ、発注から納品・構築における調達リードタイムの短縮化や接続互換性などの検証工数の削減が実現されます。さらに複数社で共有するシェアード型サービスの実現によりコストパフォーマンスを一層高めることができます。
サービス立ち上げにあたり、インフラには、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY」と仮想化ソフトウェア「VMware」を採用。ストレージシステムには、先行提供していた共有ストレージサービスで導入済みの「ETERNUS」を採用しています。
同社が「シェアード型仮想化ホスティングサービス」の事業化にむけて、まず重視したのは「安定したITサービスであることを証明できる、検証データをもつことです。これにより、お客様が抱かれている疑問や不安に対して具体的にご説明することが可能になります」(白川氏)。そこで、同社は富士通の仮想化ソリューションセンターで実機検証を実施することにしました。
徳丸 雄三氏
株式会社CSK-ITマネジメント 東日本グループ 技術支援課 主務
藤田 信義氏
株式会社CSK-ITマネジメント 東日本グループ 技術支援課 副主査
同社の仮想化ソリューションセンターでの検証は今回で2回目となります。「前回は『VMware』や『ETERNUS』の機能検証が中心でしたが、今回は事業化に踏み切るための技術的証明を目的としました。検証項目を20項目に絞り込み、お客様から求められる要件という目線で検証を実施。ポイントは大きく分類すると、仮想OSごとの機密性、独立性、可用性、性能、運用性の5つです」と、技術支援課副主査の藤田氏は目的を説明します。
機密性ではシェアリングによる他社データの参照防止とその証明を中心に、操作履歴のトレースや認証機能、さらにロギングの確認を検証ポイントに。
独立性では1社のシステム障害が他社のシステムに及ぼす影響について、可用性では仮想化インフラの高可用性機能やバックアップ&リストアについて、性能では物理環境との比較や、アプリケーションの動作、仮想化機能の組み合わせ、性能の平準化などの検証を実施しました。「予想では一番メリットを感じていた運用方式が、ツール検証の結果、別の方式の方が現実的である事が分かったものもあり、今回の検証を通して具体的に得られたノウハウや定量的結果は、お客様に対し的確な提案を行うための根拠にもなります」と検証を実施した技術支援課の徳丸氏はその意義を語ります。(主な検証項目とポイントは下表のとおり)
大畠 正行氏
株式会社CSK-ITマネジメント 東日本グループ データセンターサービス部 千葉eDC 主査
「検証項目のなかでも、サービスをスタートする上でもっとも重視したのが運用性です。『VMware』の管理ツール『VI Toolkit』やシステムリソースの動的割り当てを可能にする『DRS (VMware Distributed Resource Scheduler)』、サーバの負荷の平準化を可能にする『VMotion』などのツールを使ってどこまで自動化できるのかを検証しました。運用の自動化は運用コストの削減につながり、人手を介さないことで、オペレーションミスの回避やセキュリティ面でのメリットもあります。検証の結果、将来の自動化の方向性を確認できたことも大きな成果でした」(徳丸氏)。
同社データセンターの運用側でも、今回の検証結果には大きな関心をもっていました。「自動化によりどのくらい運用の工数が軽減できるのか。サービスレベルを維持しつつ、限りあるセンターのリソースやスペースをいかに効率よく活用できるのか。グリーンITの面からも注目していました」と、データセンターサービス部の主査、大畠氏は語ります。
検証項目 | 検証のポイント | 検証内容 |
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機密性 | 認証機能などの確認、操作履歴のトレース |
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独立性 | システム障害の影響度 |
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可用性 | 業務の継続性 |
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性能 | 物理環境との比較、
ハードウェアと仮想化ソフトウェアの組み合わせ、性能の平準化 |
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運用性 | 標準化、自動化 |
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【主な検証項目と内容】
西森 洋平氏
株式会社CSK-ITマネジメント 東日本グループ 技術支援課
「サービスとしてお客様にご提供するための根拠はすべて集まりました。サービスのベースとなるインフラ設計はもとより、導入サービスで何をすべきかも明確になりました。また今後、サービス強化のために改善していきたいテーマも見えてきており、継続して仮想化ソリューションセンターで検証をすすめていく予定です。検証センターと技術支援が充実している富士通は大切なビジネスパートナーであり、今後も緊密な関係を大切にしていきたいと思っています」(白川氏)。
仮想化ソリューションセンターでストレージと「VMware」に関する検証を行った技術支援課の西森氏は次のように仮想化ソリューションセンターの技術サポート力を高く評価します。「使用する機械と同等のスペックのものを実際に使って検証を行いましたが、ツールの操作の仕方や機器固有のBIOSなどの不明点に対して、センターの技術者がその場ですぐに答えてくださり、非常に助かりました。また、こちらのやりたいことを理解した上で、解決方法などの相談にも応じていただき、とても感謝しています」。
今回の検証結果は技術仕様書としてまとめられ、同サービスのインフラデザインの基礎として活用されます。CSKグループが進めるサービス提供型ビジネスの今後の展開について白川氏は「今回の『シェアード型仮想化ホスティングサービス』を基盤に、当社のみならず、CSKグループ各社が持つ多くのビジネスサービスとの連携を行い、お客様の多様なニーズに的確かつ、より高い次元でお応えし、お客様の事業成長に貢献したい」と、将来へのビジネスの広がりを見据えています。
「シェアード型仮想化ホスティングサービス」立ち上げメンバーの皆様。
前列左から、大畠 正行氏、西森 洋平氏、徳丸 雄三氏。
後列左から、藤田 信義氏、白川 正人氏。
所在地 | 〒107-0062 東京都港区南青山 2-26-1 CSK青山ビル |
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代表取締役社長 | 谷原 徹 |
設立 | 2004年4月1日 |
資本金 | 30億円(株式会社CSKホールディングス 100%出資) |
従業員数 | 897名(2008年10月1日現在) |
事業内容 | コンサルティング/ITインフラ設計・構築/ITアウトソーシング/システム運用/ハードウェア保守/データ管理・分析
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