仮想化スペシャリストBlog
土村忠生の「仮想化の風に言の葉をよせて」

第16回 VMworld 2019 USの発表から見えてきたこれからのIT基盤

2019年9月27日掲載

仮想化ソリューション企画のプロフェッショナル土村 忠生

みなさんは VMworld 2019 US新しいウィンドウで表示の発表をどう受け止めましたか?
公式の発表新しいウィンドウで表示基調講演の公開動画新しいウィンドウで表示 、Webでのニュース記事など、いろいろな情報を目にされたかと思います。私はサーバ仮想化がビジネスの世界に入り始めた2005年の黎明期からVMwareに携わってきましたが、今回の発表を受けて、新たな仮想化基盤が再び始まる印象を持ちました。これは、デジタル時代に向けた第二の仮想化基盤の黎明期とも呼べると思います。
この衝撃が冷めやらぬ9月6日に、社内報告会を2回開催致しました。ヴイエムウェア社のビジョンと戦略からどういう世界が実現し、それがどうビジネスにインパクトと機会をもたらすのかという話から、新しい技術の話とそのビジネス機会など多岐にわたります。このブログではその中でもみなさんと共有したい情報を厳選してお届け致します。

VMworld 2019 US発表が意味すること

最初にお断りを致します。VMworldのセッション等で話された内容、スライドなどはConfidentialな扱いとなっており、特にスライド(画像)などのVMworld参加者外、社外への利用はお控えくださいと言われています。このブログではヴイエムウェア社の公式サイトから公開(リンク含む)されている情報(画像)のみを使わせて頂きます。ご了承ください。

基調講演で語られたビジョンは、2012年から一貫して変わらず、「Any Cloud, Any Application, Any Device」です。

[VMworld 2019基調講演でのビジョン]

そのビジョンを実現するプロダクトやサービスを着実に拡充してきているということを、今回の基調講演でも発表されています。
このビジョンを振り返ってみると、いろいろ面白いことが見えてきます。ここで私なりに気づいたことを2点ご紹介します。

[VMworld 2017基調講演でのビジョン]

[VMworld 2018基調講演でのビジョン]

2017年のプライベートクラウドが、2018年には記載が消えてハイブリッドクラウドに変わり、2019年に再びプライベートクラウドが復活しました。では、ハイブリッドはどうなったのかというと、真ん中に小さく「Hybrid」と記載されています。よく見てください。クラウドの雲が消えていますよね?文字だけで偏在しているかのようにも見えます。
これが意味することは、「オンプレミスのプライベートも、パブリックも、EdgeもTelco(通信)も、あまねくVMwareベースの基盤が進出して、もうお客様のワークロードはどこにあっても、同じ基盤、同じ操作、同じポリシーで運用できますよ。そう、全体がVMware Hybrid Cloud Platformそのものなのです。」というメッセージだと受け取りました。すごいと思いませんか?
言葉を変えるとクラウドはVMwareが制覇したという宣言にも見えますから^^;
そして、もう一つ気づきませんか?
2017年のビジョンでは、プライベートとパブリッククラウドの雲の間に線がありますよね? これはプライベートとパブリックをVMwareが橋渡しをしますというメッセージを表し、それを実現する製品やサービスを発表していました。同様に2018年は、ハイブリッドとその他クラウドを橋渡ししています。では、2019年はどうなのか?よく見てください。線がありません。完全に消えています。では今年は何を橋渡しするのか、気になりますよね?
今年は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向かうためのアプリケーション開発基盤に注力をするという発表がありました。
この図を見てください。

[Kubernetesが開発者とIT運用者とを橋渡し]

開発者とIT運用者との間に線があります。
そこに書かれた文字は「 Kubernetes新しいウィンドウで表示 」。つまり、従来のITインフラ間の橋渡しから、人と人との間を橋渡しするというメッセージに変わりました。しかも今までになくたくさんの線があるので、「Kubernetesが両者の橋渡しを担うキーテクノロジーなのです」というより強い信念のもとにメッセージングされたことがうかがい知れます。
富士通もDXに向かうお客様をしっかりと支えるというメッセージを「 FUJITSU Technology and Service Vision 」で発信しています。
お互いに見ている先は同じ、DXによるお客様のビジネスの成功です。

移行(Migrate)か刷新(Modernize)か

今回の基調講演では、DXへ向かうにあたり、お客様のIT資産を移行(Migrate)するのか、刷新(Modernize)するのか、という両方のアプローチについても言及がありました。VMwareベースのクラウド基盤にそのまま移行してクラウドネイティブに徐々に刷新するアプローチと、オンプレミスの Pivotal Cloud Foundry. で刷新してからクラウド移行を検討するという対照的なアプローチの2つの事例紹介がありました。

移行に関する発表

移行に関しては、お客様の移行先の選択肢を拡大する発表がありました。
VMware Cloud Foundation 基盤を Azure新しいウィンドウで表示GCP新しいウィンドウで表示 に展開するというものです。それが、 Azure VMware Solution新しいウィンドウで表示Google Cloud VMware Solution新しいウィンドウで表示 です。VMware Cloud on AWSのようにVMware Cloudという名称が付かない理由は、サービスの主体がAzureはマイクロソフトであり、GCPはGoogleであるからです。AWSはヴイエムウェアがサービスの主体者でしたので、そこが大きく異なるのですね。
そして、基幹データの扱いやサービスレベルの要件の違いなどでクラウドには移行できないけれど、クラウドライクな運用性をオンプレミスでも得たいというお客様には、VMware Cloud on DellEMCと、昨年発表されたVMware Cloud on AWS Outpostsというお客様のデータセンターに配送・設置するマネージドなサービスが用意されました。

刷新に関する発表

これは私が今回のVMworldで一番衝撃を受けた発表です。それは、 Kubernetes新しいウィンドウで表示 をVMware ESXiハイパーバイザに統合する Project Pacific新しいウィンドウで表示です。

[ESXiネイティブで動作するKubernetes Cluster]

これは、VMwareの仮想化基盤が、デジタルアプリケーションを開発するコンテナ基盤に変身することを意味します。もちろん統合なのでどちらの用途にも併存して使えます。
使いなれたvCenterからKubernetesのコンテナ環境を仮想マシンと同じように作ることが出きる世界が来るなんて想像もしていませんでした。
そして、Kubernetesクラスタを運用管理するVMware Tanzu Mission Controlが発表されました。これはESXiに統合されたKubernetesだけではなく、Any Cloudビジョンに則り、例えばAWSネイティブ環境で動作するKubernetesも管理対象になります。
冒頭で、お客様のワークロードはどこにあっても、同じ基盤、同じ操作、同じポリシーで運用できる VMware Hybrid Cloud Platformについて触れましたが、このKubernetes開発基盤も同じビジョンのもとに実装されているのです。
これに関連して、Avi Networksの買収によって、従来のNSXではカバー出来ていなかった、アプリケーション(L7)レイヤのロードバランシングを提供することを発表し、Carbon Blackの買収で、クラウド、アプリケーション、デバイスそれらを繋ぐネットワークのセキュリティを担保する発表もありました。
さらに、GPUリソースプールを実現するBitfusionの買収です。
VMware環境でGPUを利用するには、DirectPath I/Oで直接利用するか、NVIDIA社の仮想GPUを利用するかだったのですが、ここにネットワーク越しにGPUリソースを仮想マシンやコンテナから利用できるBitfusionという選択肢が出てきたのです。GPUリソースプールと書いた背景は、既存の仮想環境にGPUが無くても新設したGPUリソースサーバから割り当てることが出きる特長を持つからなのです。イメージはこのSolution Briefを参照ください。
PDFVMware and Bitfusion Offer Elastic AI Infrastructure Seamlessly Integrated into your vSphere-based Cloud
性能が必要な時に、GPUの単体性能を上げるアプローチではなく、GPUのリソースプールから割り当てるGPU数を増やして対処するスケールアウト型の運用が実現できるのです。もちろん、サーバ上に搭載できるGPU数が少ない機種でも、サーバ台数を増やしてGPUリソースプールを作ることもできます。例えば筐体内に16枚搭載できる巨大なサーバを用意しなくても、2枚搭載できる安価なサーバを8台用意すれば16GPUを1つの仮想マシンやコンテナから使えるということです。

みなさん、覚えていますか?
前回の 第15回 VMworld 2019 USの見どころと、富士通のプロダクト(運用関連)のエンハンスで私の予想は、「AI, Deep Learning環境への本格的な進出が一つの事業戦略の柱に位置付けられるのではないか」というものでした。
そして、「少し先のインフラを予感させるのは、ContainerとKubernetesです。それぞれ40近くのセッションがありますがこれらはAI, Deep Learning環境での活用も進んでおり、注目すべき分野だと私は認識しています。」とも書いています。

蓋を開けてみると、この予想と認識が合わさったのが、今回のVMworldの発表でした。まだまだ私の先見性は鈍っていなくてほっとしました。
そしてなによりも、ヴイエムウェア社が掲げるビジョンと戦略に則って、目指す世界を実現するために、製品を開発し、足りないところは買収して、それをしっかりと既存の製品の中にインテグレートする。ヴイエムウェア社のスピードの早さには毎回驚嘆します。これが出来ているのは、会社のビジョンと戦略を理解した人が全体のアーキテクチャをしっかり描いているからなのですね。だから発表される製品やサービスにブレがなくきっちりピースにはまり、足りないところには最適な会社を探して買収出来るのです。私もそういう大きなアーキテクチャを描けるようになりたいものです。

これからの仮想化基盤とは

今回の発表から見えるこれからの仮想化基盤は、Kubernetesがハイパーバイザに統合され、仮想化基盤=コンテナ基盤と同義になります。
コンテナ基盤上で、AI/Deep Learningの学習・推論環境を構築し、そこにBitfusionがGPUを割り当てて利用するという、デジタルビジネスアプリケーション開発の活用シーンが生まれます。
つまり、お客様がお持ちのVMware仮想化基盤が、将来Kubernetesコンテナ基盤にも変身し、DXに向けたAI/Deep learningを活用するDevOps新しいウィンドウで表示基盤として生まれ変わるということです。すべてがクラウドへ向かわなくても、オンプレミスで、同じ基盤・同じ操作・同じポリシーでモダナイズ(刷新)できるのです。
そしてこれからは、IT部門が仮想化基盤で使い慣れたvRealize Automation新しいウィンドウで表示のマーケットプレイスからJupyter, TensorFlowなどのDeep Learningのフレームワークが含まれたサービスカタログを選択すると、コンテナ環境がデプロイされて、そこにBitfusionがGPUを割り当てて、データサイエンティストがDeep Learning環境を利用する日がそう遠くない未来に来るかもしれません。
ですから、お客様の仮想化基盤を将来のDXに向けたDevOps基盤に繋ぐために、vRealizeなどを用いてプライベートクラウド管理を始めて、運用ノウハウを蓄積されることをお勧めします。
その際には、是非富士通にお声がけください。

今回はVMworldの発表内容に限定した記事でまとめましたが、次回は富士通の仮想化関連のプロダクトに関する情報をお届けしたいと思います。

vEXPERT Partyより。筆者最前列

卓球勝負したMammoさんと

企画のプロの視点と仮想化の知見で、毎月情報発信します。

  • シニアプロダクトプランナー(仮想化ソリューション企画のプロフェッショナル)
  • 10年以上VMware技術支援に従事しVMware Loveな日々を過ごす
  • 米国ヴイエムウェアより9年連続 VMware vEXPERT AWARDを個人受賞
 
 

著者紹介

Tadao,Tsuchimura

土村 忠生

本文中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。


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