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仮想化スペシャリストBlog
土村忠生の「仮想化の風に言の葉をよせて」
第14回 2019年「ハイブリッドクラウド」は普及するのか?

土村忠生の「仮想化の風に言の葉をよせて」 第14回 2019年「ハイブリッドクラウド」は普及するのか?

[ 2019年1月10日掲載 ]

旧年はご贔屓くださりありがとうございました。
みなさんは年末年始をどのようにお過ごしになりましたか?富士通では働き方改革に取り組んでおり、有給休暇を5日間連続で使い長期連休を取得するように促されています。
私は年末年始の休暇にくっつけて17連休を取得しました。と言っても、このブログは12月の中旬に書いていますので、無事に休暇に入れていることを祈りましょう。

昨年の仮想化関連の話題

2018年の仮想化関連の話題の中心は「ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)」と「ハイブリッドクラウド」でした。弊社でも非常に多くのお客様にPRIMEFLEX HCIをお引き合い、ご導入いただきました。私の部署での仮想化案件の支援依頼の8~9割はHCIに変わり、仮想化基盤がHCIに変わっていく大きな波を感じた1年でした。
VMworldやvFORUMでは、HCIはオンプレミスの基盤を構成するハイパーコンバージドインフラストラクチャーという領域に留まらず、ハイブリッドクラウドを構成するハイブリッドクラウドインフラストラクチャーとして広がり、そこをVMware Cloud Foundation(VCF)が、ハイブリッド時代を担っていくHCIであると大きくアピールされていました。

[ヴイエムウェア社が描くハイブリッドクラウド]

オンプレミスもクラウドもエッジコンピューティングもVCFでシームレスに統合管理する世界が到来することを実感させる発表でした。

vFORUM東京では、私はVMwareユーザ会(VMUG)向けの特別セッションに参加し、本年もパットゲルシンガーCEOに質問する機会を賜りました。私からの質問(提言)は、ハイブリッド時代のバージョン管理に関する課題と解決への提言です。

[ヴイエムウェア社 パット・ゲルシンガーCEOと]

日本のお客様には特に多い運用の傾向は、オンプレミス側のVMwareのバージョンを上げずになるべく塩漬けに近い運用を心がける点です。安定稼働している基盤にはなるべく手を入れないという志向ですね。しかしハイブリッドになると、クラウド側のサービス基盤は常に最新のバージョンに更新されていきます。初年度はまだ良いのですが、これから3年、5年とハイブリッドで使い続けていくと、オンプレミスの基盤とクラウドの基盤との間でVMwareのハイパーバイザーのバージョン、仮想マシンのハードウェアバージョンおよび、vCenterのバージョンとの差が顕著に開いていくことに起因する問題が突如クローズアップされるのではないかという懸念を持っています。

例えば、新しいハイパーバイザー上で最新機能を活用するために作成した仮想マシンのハードウェアバージョンがオンプレミスの環境より新しいと、オンプレミス側の基盤ではその仮想マシンは稼働できません。データセンター間のL2ネットワークを延伸してフラットなネットワークを構成し、仮想マシンのIPアドレスを変更することなくハイブリッドクラウド内を仮想マシンが行き来できることを前提として運用を考えていると、突如こういう落とし穴に落ちる可能性があるのです。こういうところは、なかなか短期間の検証では見つけにくい点ではないでしょうか?
パットにはこの問題点を提起し、オンプレミス側とクラウド側のバージョンの同期処理や、ハイパーバイザーのバージョンと仮想マシンのハードウェアバージョンなどを一括管理できるビューの実装(今でもvCenterから仮想マシンを一つずつ開けば見えないわけではない)と、さらに、互換性を超える差が出てくればアラームをあげるなど、運用者にバージョンの差異に起因する問題に気づきを与える機能の実装を提言しました。バージョンの見える化やアラームはCTOから開発にフィードバックすることを約束いただきましたが、パットからは、運用者には常に最新のバージョンにアップデートするようにマインドチェンジをしてほしいというコメントがありました。
ただ、たとえすべてのアップデートがワンクリックで自動化出来るような利便性を提供したとしても、業務システムへの影響がないことが保証されない限り、なかなか重い腰はあげられないのではないでしょうか?
それまでは、どこで問題が起きたのか切り分けが容易にできるように、一つ一つ確実にアップデートを進めていく安全スタイルの更新からはすぐには抜けられないと思っています。
しかし、本格的にハイブリッドクラウド運用に取り組んでいくのであれば、このバージョン問題は避けて通れません。2019年は、パットが言及したように、思い切ったマインドシフトを考える年にしないといけないかもしれませんね。

2019年「ハイブリッドクラウド」は普及するのか?

国内でハイブリッドクラウドの普及が進まない根源的な要因とは

ここでは少し視点を変えて、国内でハイブリッドクラウドの普及が進まない根源的な要因を考えてみます。
機密以外の業務システムをクラウドに持っていきたくないという観点では、レスポンスの低下(ネットワーク越しのため遅延が増える)にセンシティブな業務システムの存在があげられます。今の業務システムの要件を変えたくないという心情ですね。その背景には、クラウドで稼働させることへのリスクをお客様が負うのか、移行を請け負うSIerが負うのかによっても異なると思います。特にSIerが請け負うケースでは、インフラはクラウド業者の管理下にあるため、自分たちで今のオンプレミスと同じレスポンスを保証することが厳しくなり、責任を負えないものはやれないという結論につながります。
ここが変わらない限り、どんなに便利な移行ツールが出てきても、ハイブリッドの普及はバックアップ/DR用途以外には大きく進まないと考えます。お客様自身が覚悟を決めてハイブリッドへのシステム移行を決断するようになってくれば、この状況は一変するのではないかと考えます。それには、私たちベンダーはお客様に判断いただけるような情報を積極的に提供していく必要があると考えます。
クラウドだからシステムのことを隠蔽し、お客様はインフラについては何も考えなくて良いという従来のスタイルのままでは、お客様がハイブリッドを考える上では判断材料がなく困ってしまわれます。運用設計上必要なことが公開されていけば、おのずと普及が進むのではないでしょうか?

ハイブリッドクラウドの利用が進む新しい要因とは

今度は、ハイブリッドクラウドの利用が進む新しい要因を考えてみます。
ヒントはvFORUMの事例講演にありました。講演の中で言われていたのは、デジタルトランスフォーメーションに取り組むためのオンプレミス環境とクラウドネイティブ環境をつなぐ基盤としてハイブリッドクラウド(VMwareベースのクラウド)を採用するということでした。
ポイントはこうです。

  • オンプレミスのVMware基盤に活用したいデータがある。
  • クラウドを新しいビジネス基盤としてクラウドネイティブな開発環境とサービスに利用(ビジネスがスケールしなければすぐに撤退しやすい)。

この両方に該当するお客様は、ハイブリッドの利用が進んでいくだろうということです。

それはなぜなのか?
まず、オンプレミスのデータを持つ仮想マシンを同じVMwareベースのクラウドへデータ参照用仮想マシンとして作って移行し、オリジナルのオンプレミスの仮想マシンのデータを非同期でハイブリッド側に適宜更新できるようにするのです。こうしておけば、クラウドネイティブなアプリケーションからのデータの利用も同一構内アクセスとなるために利用に応じたネットワーク課金がかからず、データのアクセス自体もインターネットに出ないのでセキュアに利用できるからです。

このように、ハイブリッドの新しい有用な使い方が生み出されてきており、こういう視点からの普及は進んでいくものと思われます。

[ハイブリッドクラウドを担うHCI~VMware Cloud Foundation]

みなさまのシステムではハイブリッドクラウドをどう活用していかれますか?機会がありましたら、ぜひ教えていただければと思います。

富士通はお客様のハイブリッドクラウドを支えるべく、今後も注力してまいりますし、新しい取り組みもスタートしております。
一例をあげると富士通は、FUJITSU Cloud Service for VMwareOpen a new windowというVMwareベースのクラウドサービスを提供していますが、vFORUM東京の基調講演の中で、富士通および富士通エフサスは、VMware Cloud on AWS Ready Partnerとしても紹介されました。
お客様にニーズに合わせて様々なご提案・ご支援を行ってまいりますので、ハイブリッドクラウド、ハイパーコンバージドインフラストラクチャーともども今後とも富士通を心に留めていただければと思います。

それでは、本年もよろしくお願いいたします。


システムプラットフォーム技術本部
土村 忠生

著者紹介

企画のプロの視点と仮想化の知見で、毎月情報発信します。

  • シニアプロダクトプランナー(仮想化ソリューション企画のプロフェッショナル)
  • 10年以上VMware技術支援に従事しVMware Loveな日々を過ごす
  • 米国ヴイエムウェアより7年連続 VMware vEXPERT AWARDを個人受賞
PROFESSIONAL PRODUCT ENGINEER
vmware vEXPERT ロゴ

本文中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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