仮想化スペシャリストBlog
土村忠生の「仮想化の風に言の葉をよせて」

第9回 VMwareのアップデート運用について -VMUG仮想インフラ部会から-

2017年7月20日掲載

仮想化ソリューション企画のプロフェッショナル土村 忠生
  • facebook
  • twitter
  • LinkedIn
  • LINE

4月の新年度から、イノベーティブプロダクト企画を担当することになりました。何をもって“イノベーティブ”とするかは迷うところですが、IoTAIディープラーニング仮想化クラウド新技術を自分の中でイノベーティブと捉えています。
IoTではヘッドマウントディスプレイと遠隔支援サービスを組み合わせた工場作業・工作機械保守などの現場支援ソリューションの提案に携わり、AI・ディープラーニングでは、社内向けのAI教育や「AIの対話する技術で解決する社会問題」をテーマに学生との特殊演習授業を行ったりしています。このため、ずいぶん久しぶりのブログ更新となってしまいました。

タイトルにVMUGとありますが、VMUGってなんだかご存じですか?
VMwareを導入していらっしゃる方々の有志が集まるVMwareユーザ会の名称です。
6月に「VMwareのアップデート」をテーマに第2回仮想インフラ部会が開催されました。
現状の環境へのパッチ当てやアップデートパックの適用作業もあれば、ハードウェアの保守切れに合わせて新設する基盤へのバージョンアップを伴う移行作業もあります。
私からは、自部署のVMware基盤の開発環境(4ノードです)のバージョンアップの話と、既存環境でのアップデートと移行に伴うアップデート作業によって視点が異なるチェックポイントを一覧にまとめたものをご紹介しました。
たくさんコメントを頂き、ブラッシュアップ致しました。それを仮想インフラ部会で共有していますので、興味がある方は、是非VMUGに入会し仮想インフラ部会新しいウィンドウで表示にご参加ください。サイトの情報は2015年と古いですが、活動は活発です。

私の部署では、弊社やパートナー様のSEを対象に、VMwareの移行設計を支援するメンバーがいます。今回のブログでは、支援の中で見えてきた移行作業に伴う悩みを少しだけご紹介します。

VMware移行作業の悩み~古い世代からの移行~

一番の悩みは「古~いバージョンからの移行方法」です。移行要件がオンラインかオフラインでも良いのかで移行方式が異なりますが、オンラインを希望される方が圧倒的に多いのです。既存環境がvSphere4.xや5.xを使っていらっしゃる方々が結構いらっしゃるという点を中心に、どうやってオンライン移行もしくは最小の停止時間で移行するかというところを今回は少しだけ述べたいと思います。

このタイプで最も難しい移行の障壁は、最新のvSphereの環境へ直接移行が出来ないという点です。
考慮すべきポイントをいくつか示します(これが全てではありません。その点ご留意ください)。

vCenter Server 6.5ではESXi5.5から管理可能

これは、vSphere 6.5の環境に直接無停止移行できる環境はvSphere5.5以降であることを意味します。これよりも過去のバージョンを移行させるには、一旦中間のバージョンの環境への「ツナギ移行」を経て2段階移行を踏む必要があります。もう一つの方法として、移行先のvCenterで移行元のESXiを管理できるバージョン(例えばvSphere 5.5ではESXi/ESX4.0まで管理できます)で構築し、移行完了後にローリングアップデートをかけてvSphere6.5まで上げる方法があります。しかしこの方法の欠点は、vSphere5.5のVMFS(Virtual Machine File System)5 or 3からvSphere6.5でサポートされたVMFS6に直接更新出来ないという非互換性に阻まれる点です。このためだけに別のDISKを用意してVMFS6のボリュームを作って移し替えることは、コストも手間もかかります。
新機能に制約が出ますが、vSphere6.5でもVMFS5のまま利用することが運用上問題なければ、この方法も有効な選択肢の一つになります。

では、無停止での2段階移行の障壁になりそうな点を見てみましょう。

vSphere4.1/5.0ではStorage vMotion は
Enterprise Editionからいきなりハードルが上がりました

StandardやAdvanced(当時)Editionをお使いであれば、OVF(Open Virtualization Format)にExportしてから新しい環境へImportするオフライン移行をお勧めします。

どうしてもオンラインにこだわりたいという場合は、vSphere5.1 or 5.5の環境を別途用意して、移行元のESXiをvCenter5.1 or 5.5管理に付け替えます。
付け替え作業は、ESXiは稼働中のままできますので、それほどハードルは高くありません。
ただし、面倒な作業が2点あります。 まず、vSphere HA環境です。HAクラスタからESXiを外し、vMotionを使うために移行先でEnhanced vMotionを実施出来るようにEVCクラスタを作ってからESXiを登録する必要があります。ここでの留意点は、HAクラスタ配下のESXiはvCenter管理から外せないという仕様です。このため、移行先のvCenter配下に組み込む移行元のESXiは、事前に仮想マシンを移動させ、メンテナンスモードにした後に、HAクラスタから外すという手順を踏む必要があります。
次に、留意して頂くのはESXiの仮想スイッチ設計です。Standard vSwitchであればそのまま苦労なく付け替えできますが、Distributed vSwitchをご利用の場合は、そのまま単純に付け替えることができません。
冒頭に記載したVMUGの仮想インフラ部会でそこの苦労をある運用部門の方が語られました。私にとっても大変勉強になりました。知りたい方は是非VMUGの仮想インフラ部会に入会してユーザー同士でコミュニケートしてみてください。
付け替えが終われば、ストレージボリュームを新しい環境と共有し、ESXi5.1へvMotionします。
あとは、このESXi5.1から下記で示すStorage vMotionを使って、ESX6.5の環境へ移行します。 この方法は、ツナギのESX5.1を構築するハードを、移行元の1台をアップデートして賄うとストレージとの接続はハード的には問題が少ない(ファームアップの可否は要チェック)ですが、仮想マシンの数が多いと、1台に少しずつvMotionを繰り返す作業をひたすら続ける必要があるという時間的な課題です。私たちはこれを「ピストン輸送方式」と呼んでいます。当時のネットワーク環境は10Gではないと思われますので、vMotionを並行作業できる数も限られます。また、移行先の1台を充てた場合には、さらに課題が大きい可能性があります。古いストレージと接続共有するためのハードが必要となるかもしれない点です。詳しくは下記「vSphere5.1から共有ストレージ外へのCross Host vMotion機能が利用可能」のところに記載した内容を参照ください。詳細は、VMUG仮想インフラ部会でご確認ください。

vSphere5.1からStorage vMotionはStandard EditionでもOK

Standardユーザーの方は是非5.1以上へのアップデートをお勧めします。

vSphere5.1から共有ストレージ外へのCross Host vMotion機能が利用可能

この機能を使うべき点は、移行元と移行先のストレージの接続形態が異なる場合です。
例えば、移行元がFC-SANで、移行先がvSANやNFS/iSCSIだった場合、従来のStorage vMotionでは、移行先のサーバに移行元のストレージを接続し、ボリュームを共通にするためだけにFCカードとケーブルの手配、FCスイッチのポートの空きのチェックなどが必要となります。もちろん、移行先のESXiのバージョンとの接続がストレージでサポートされていることが条件で、そのためにストレージのファームアップが必要になる場合もあり、物凄く手間がかかります。
でも、この機能を使えば、ストレージを共有することなく、vMotionできるので、移行のコストと手間が格段に下がります。
留意点は、同時実行できるvMotionの上限は2なので、仮想マシンの数が多いと、移行時間が結構かかるという点です。

vSphere6.0からCross vCenter vMotionが利用できる

移行先がデータセンター越しでも無停止移行ができるかもしれない機能です。遅延時間などネットワークの帯域に仕様上の問題がないかチェックを忘れないでください。
また、実際使う上ではハードルがあります。まず、既存のvCenter Serverを再構築する必要があります。いきなりヘビーな作業です。再構築が必要な理由ですが、この機能を利用するにはvCenter ServerをEnhanced Linked Modeで接続する必要があります。その接続をするために、設定済みのvCenter SSO(シングルサインオン)ドメインを、別のvCenter SSOドメインに変更できないために、再構築するしかないのです。

いかがでしたか?
古~いVMware環境から最新のVMware環境にオンライン移行したい場合は、Cross Host vMotion、vMotion & Storage vMotionを駆使して移行するというやり方をご紹介いたしました。

上記では触れませんでしたが、移行元と移行先のvCenter ServerをどちらのESXiも管理可能なバージョンに揃えて、vSphere Replicationで移行してしまう方が案外楽かもしれません。ちなみにvSphere ReplicationはvSphere5.1から使えます。
ご参考までに各VMwareのバージョンと機能実装をまとめた図を示します。
図中の赤字部分が、今回のブログ記事内で紹介した移行に関連する機能です。

VMware vSphereの各バージョンと実装機能の一覧

移行設計の一つのポイントを少しだけみてみましたが、これだけでもボリューム満点で、いろいろな組み合わせを考慮しないといけないので、まるで頭の体操をしているかのようです。今回はさらっと、vCenterを更新すると済ませましたが、vCenter ServerでもWindows版からLinuxベースの仮想アプライアンスへの移行だったり、他にも仮想マシンのバージョンをどうするか、VMware Toolsは、サードパーティ製の仮想アプライアンス(例えばネットワーク用)のサポートは大丈夫か…など書き切れない検討すべき項目がまだまだあります。
いろいろ調べて、ご自分の環境にあった移行のベストプラクティスをぜひ見つけてください。 もし、困った時には富士通にお声がけください。サーバ・ストレージ・SIのセットでお伺い致します。

VMUGでホットな話題~Oracleデータベースのライセンスコスト

最後に、いまVMUGでは、Oracleデータベースのライセンスコストがホットな話題の一つになっています。vMotionで移動できる範囲(共有ストレージに繋がっているESXi分)のライセンスが必要と言われていたのが、Cross Host vMotionで、vCenter Server管理下のDBはその範囲内ならどこにでも移動できてしまい、その機能を使う使わないに関わらず、その分のライセンスが必要と言われ、ついに、Cross vCenter vMotionでデータセンターを超えてどこにでも移動できてしまう世界が実装されると、それもライセンスに考慮しないといけないという世界になっています。なんというか、映るTVがあれば見ようが見まいが、受信料支払いは必要だと言っているのと同じような感じですね。
本当にみなさん頭を抱えていて、V2PでDBを物理に戻す、Oracle Cloudや他のクラウドサービスのOracle DBを使う、コアあたりの価格が半分のSPARC SolarisのOracle DBを使うPostgreSQLなど他のDBに移行する、アメリカのオラクル本社と交渉する…といろいろ検討あるいは実行されていらっしゃる状況です。
この最適解もいつか取り上げてみたいテーマの一つです。なんだか、梅雨空のような暗い話題で終わってしまい申し訳ありません。
次回は明るい話題で締めたいと思います。

関連情報:Oracle

  • PDFOracle Partitioning Policy(VMwareはSotfware Patitioningと認定) 新しいウィンドウで表示
    Soft Partitioning(上記で例として示したテクノロジーのフィーチャー/機能を含む)は、特定のサーバ―または、サーバーのクラスタに必要なソフトウェア・ライセンス数を決定、制限する手段として認められていません。

関連する記事

ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)とは

VDI(仮想デスクトップ基盤)とは

富士通のVDIでできること

富士通のVDIが選ばれる理由

[Blog 仮想化道場] 第3回 オールインワンの仮想化サーバが安心でお得です

Contact

富士通の仮想化への取り組みに関するお問い合わせ

  • Webでのお問い合わせ

    当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

  • お電話でのお問い合わせ

    富士通コンタクトライン(総合窓口)

    0120-933-200

    受付時間 9時~17時30分
    (土曜・日曜・祝日・当社指定の休業日を除く)

ページの先頭へ