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VOICE ~ETERNUSの現場から

先進的OEM製品に「富士通の価値」を込め、迅速にご提供:ETERNUS NR1000F series ~ OEM元とのタイムラグを1週間に短縮する取り組み:富士通株式会社 ストレージシステム事業本部 ストレージソリューション事業部 NASシステム開発部 マネージャー 花田 浩二、丹治 祐也、澤上 諒

NetApp社のOEM製品として提供をしているETERNUS NR1000 series。自社評価も行いながら、OEM元とのリリースのタイムラグを1週間にまで短縮できたのは、どのような取り組みによるのか。NR1000F seriesの製品化に従事するメンバーに話を聞いた。

それぞれの役割は?

 花田

花田氏近影:多角的視野を持っているのが強み!われわれ3人は、NAS製品を扱う部隊に所属しており、私はマネージャーとして、主にOEM製品であるETERNUS NR1000F seriesの拡販、および出荷後のサポートを担当しています。

 丹治

NetApp社から提供されるリリース情報をもとにNR1000F seriesとしての仕様を起こし、関係部署と連携して販売体制を整える仕事を主軸に、製品化を担当しています。

 澤上

私も製品化を担当しています。業務の他に、もともと工場におりましたので、連携して出荷後のサポート対応にもあたっています。

 花田

われわれの部署はみんな異なるバックグランドを持っています。丹治はモバイルで国内キャリアを相手に仕事していましたし、私はETERNUS DX seriesの品質保証に携わっていました。1つの製品は多くの部署との連携で製品化されます。お客様に提供するまで、各自、いろいろなパスと視野を持っていることを強みとして、日々製品化に取り組んでいます。

NR1000F seriesに「clustered Data ONTAP 8.2」が
搭載されるようになりました。特徴は?

 丹治

丹治氏近影:よりよい製品をいち早く提供することを念頭に!「clustered Data ONTAP 8.2」は2014年6月に販売を開始したエントリーモデル(F2520、F2552、F2554)にも搭載されています。「Data ONTAP」は8.0になった時点で、従来型の「7-mode」に加え、Data ONTAP GXとして展開されていたスケールアウト型のOSも「cluster-mode」として取り込んできました。
そして、NetApp社は、8.2から名称を「clustered Data ONTAP」と改め、積極的に製品メリットを訴求しています。我々としても、「clustered Data ONTAP」が製品の主軸になると考えています。

clustered Data ONTAPではコントローラーを拡張できるようになり、複数のストレージを1つのストレージとして構築するスケールアウトを実現しています。これにより、例えば新しいストレージにアクセスを集中させて古いストレージを取り外すといったことが、サービスを停止することなくできるようになります。メンテナンス作業の実施を業務影響が出ないタイミングを選んで作業しなくて済む事から管理者にとってもメリットがあります。

NR1000F seriesは、ハイエンドモデルからエントリーモデルまで同じOSを搭載し、互換性に優れています。ハイエンドからのバックアップ先にエントリーモデルを選べたり、シーンによって機種を選ぶことができますから、8.2のスケール性能の向上によってますます運用効率が高まります。

8.2になってclustered Data ONTAPの技術が成熟し、使い勝手がよく機能的にも安定してきたことから、今回のエントリーモデルへの搭載を決定しました。
これによりData ONTAP 8.2では「7-mode」と「clustered Data ONTAP」の2種類の製品化が必要となり、工数としてはほぼ倍になりました。そのため今回、NetApp社のリリースから1週間後にNR1000F seriesを市場投入するのはかなり苦労しました。

OEM元のリリースから1週間に発売したとは驚きです。
期間短縮できた理由は?

 丹治

OEM製品であっても、社内でも検証を必ず行っていますし、出荷時点でサポート体制も整えておく必要があります。しかしそういったことをOEM元の発売後に行っていては、国内リセラーに遅れをとり、機会損失になってしまいます。このため米国のNetApp社と定期的に電話会議を行い、製品の発売予定や開発状況を逐次確認していますし、「この情報をいつまでに欲しい」といった富士通からの要望も伝えるようにしています。
また、事前に評価機を提供してもらうことでも、情報をある程度収集しています。
これは、OEM元との良好な関係を築けているとためと考えています。

情報を収集しつつ、並行して関係部署との連携も進めています。営業担当がオーダーを入れ、製品が富士通の工場に届き、試験後に出荷する、という流れを作ったり、万一のトラブル時に迅速に対応できるように、担当SEやサポート部隊が必要な情報をインプットしたりと、関係部署への情報提供も発売前から進めています。

 花田

短縮できている理由は1つではなく、あらゆる工程を少しでも短縮しようと、関係部署が一丸となって取り組んでいることの表れだと思います。自社開発と違って、全ての情報を入手できるわけではありませんから、これまでの経験やノウハウの積み上げから「これくらいならいける」といった判断や、毎回の製品プロセスの見直しなど、みんなが期間短縮に取り組んできた結果が、1週間という短期間でのリリースにつながっています。

工場における取り組みは?

 澤上

澤上氏近影:リリース短縮のためにも工場との連携も大切にしています!一番苦労するのは、工場で扱う製造図面の整備です。社内スケジュールに沿ってNetApp社から全ての必要な情報が届くとは限りませんから、いろいろな情報を総合的に判断し、足りない情報を補いながら整備していく必要があります。

工場にいた経験から、今は逆の立場から「この辺りの話はしておいたほうがいいんじゃないか」というのがわかるので、指示は細かく出すようにしています。工場側も、不明点があれば問い合わせてきます。

 花田

こういうパスがないと、今日できることが明日になったり、明日できることが明後日になったりします。澤上を中心に、互いの理解を深めながらスピーディーにこなしていくことで当然、工場側のスキルも上がってきますし、非常にいい環境にあると思います。

 澤上

工場は、作業を単純化することを常に考えています。誰でも同じ作業ができるように、ワンクリックで実行されるプログラムを作ったり、部品を挟んだら自動的にネジが締まる装置を作ったり、常に機械化、自動化に取り組んでいるので改めてすごいなと感じます。

 花田

効率化という面もありますが、品質の安定という目的もあります。外から見れば「ネジくらい人間が締めればいいだろう」と思いますが、人によって締め具合に差が出たり、失敗したりしないよう、工場はこだわりを持って取り組んでいます。

富士通がOEM製品を提供する意義とは?

 花田

花田氏近影NetApp社はワールドワイドでトップシェアを持つ製品ですから、富士通の製品として市場投入することは、ビジネス上の競争優位性があると考えています。加えて、買ってきてそのままお客様へ出荷するのではなく、富士通基準の評価を行ったうえでお客様のもとへ出荷する、そして、お客様先で稼働中もしっかりサポートしていく。そこに、他のリセラーにはない、富士通が提供することの価値があると考えています。

その価値を高めるには、稼働中にトラブルが発生した場合も、「そこはNetApp社に確認します」ではなく、根拠を持って事象をお客様にご説明できなければいけません。もちろん、NetApp社がわれわれに提示できない情報もありますから、内製品と同じとまではいきませんが、お客様の業務を十分に把握したうえで関係各署が知恵を出し合い、お客様業務を安定稼働させることにまい進していきたいと考えています。

お客様との対話の中で「富士通さんがそう言うんだったら大丈夫だよね」と信頼していただけるのは、われわれ事業部門だけではなく、サポート部門や工場、品質保証など、連携した体制があることをお客様もわかってくださっているのではないかと思います。

ICT投資の効率化が進む中、ストレージ管理の必要性とは?

 花田

ストレージに格納されるのは、単なる「データ」ではなくお客様の「資産」であり、今後なくならないどころかますます増えていくものです。データを効率的に「保全」し、ビジネスの成長のために「活用」していくストレージインフラ管理者は、企業システムに不可欠な存在だと思います。

 丹治

丹治氏近影「データはサーバに置けばいい」と考える人も多いと思います。ストレージはバックエンドにあって普段意識しないので、実際、私も今の部署に来る前は、なぜ必要かわかりませんでした。しかし、ストレージがあればデータをストレージに残したままサーバをリプレースできますし、clustered Data ONTAPを使ってストレージ間のデータを簡単に移行できたりもします。

しかも、ストレージの技術進化は速く、次々と新しい技術が登場していますし、特にNetApp社の技術は先進的ですから、使いこなすことができれば管理者にとっても大きな強みになると思います。

 花田

皆さんご自分のパソコンで、OSとデータの格納ドライブを分けたり、データのバックアップを外付けディスクにとったりと、データを守るための対策をとっていらっしゃいますよね。企業システムにおいても、同様の考え方でストレージが重要です。操作も今はGUIツールが用意されていますから、以前ほどのとっつきにくさはありません。増え続けるお客様の大事な資産を守り、いつでも利用できるインフラ。その運用を効率化するためにも、ストレージの機能をフルに活用していただきたい。われわれとしても、お客様のストレージ活用を支える技術やノウハウをしっかりとご提供していきます。

これからの取り組みは?

 澤上

澤上氏近影ご注文をいただいてから納品までの期間も短縮されていますが納期をきっちり守り、お客様の信頼にお応えできるよう一層努力していきたいです。

 丹治

富士通はサーバも扱っていますから、ストレージと併せてワンストップのサポート体制をとることで、他のリセラーにはない強みとなります。そしてストレージ市場ではスケールアウトの分野が伸びていますので、clustered Data ONTAPの搭載によってNR1000F seriesの枝葉も大きくしていきたい。他の部署ともさらに密な連携をとりながら、さらなる拡販を進めていきたいです。

 花田

今までと一緒ではだめで、常に変わっていかなければいけないと考えています。「富士通の価値」というところ、なぜお客様が富士通から買ってくださるかに重きを置いて考え、確実に実践していきたい。その点でも、昨年度まで品質保証に従事した私の経験を開発に活かすといったことにも取り組んでいきます。

OEMだからこその性能がある一方、OEMだからこその苦労もある。世界最先端の技術をいち早くお客様に届け、安心してご利用いただくための体制は、多くの関係者の連携によって実現されている。富士通はこれからも、お客様がOEMを含むあらゆる富士通の製品・サービスに「富士通の価値」を見い出していただけるよう、取り組んでいく。


(注)取材日:2014年7月3日
本稿記載の肩書きや、固有名詞等は取材日、または公開日時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

掲載日:2014年8月20日


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