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Fujitsu

Japan

富士通フォーラム2010 - SSDのキャッシュ利用でデータベースの高速化を図る

杉山貴章   2010年5月13日

富士通フォーラム2010 データベース統合ソリューション展示

5月13日と14日の2日間、東京国際フォーラムにおいて富士通主催の年次イベントである「富士通フォーラム2010」が開催される。期間中には全111カリキュラムのセミナーと約150種の展示デモが予定されているが、中でもクラウドコンピューティングおよびにそれを支える富士通のストレージソリューションについては、マイコミジャーナルエンタープライズチャンネルでも日ごろから重点的にお伝えしているテーマのひとつである。

本稿では、展示ホール(B2F)において行われる展示デモのうち、SAN対応のディスクアレイ「ETERNUS DX series」を利用したデータベース統合ソリューションの展示について紹介したい。同ソリューションは、ストレージのディスクアレイに SSD(Solid State Drive)を活用することによって高速かつ低消費電力な統合データベースの構築を実現するものである。展示デモでは「SPARC Enterprise M3000」と「ETERNUS DX80」によって、実際にどの程度のDB性能の向上が実現できるのかを見ることができる。

SSDによってデータベース性能の大幅な高速化を実現

展示デモで使用されたハードウェア。上から「SPARC Enterprise M3000」「ETERNUS DX80」「ETERNUS DX90」

企業のICTインフラにかかるTCOを削減するために近年注目されているのが、プライベートクラウドの構築や企業内システムの統合である。しかしこれによって実際にTCO削減を実現するためには、大規模かつ高性能な統合データベースの構築が不可欠となる。今回富士通が提案しているソリューションは、ディスクアレイを構成する記憶デバイスにSSDを採用することによって、データベースへの高速なアクセスと消費電力の大幅な削減を実現するというものだ。 SSDはHDD(Hard Disk Drive)と比べて圧倒的に高速なランダムアクセス性能を誇っているほか、消費電力、発熱量、耐震/耐衝撃性、耐環境性など、多くの優位点がある。

富士通が提供しているETERNUS DX seriesは、SAN(Storage Area Network)対応の高信頼/高性能ディスクアレイ製品シリーズであり、記憶デバイスとしてHDDだけでなくSSDをサポートしている。したがって統合データベースのディスクアレイとしてこのETERNUS DX seriesを採用すれば、SSDの特徴を生かした高速なデータベースアクセスが可能になるというわけである。

具体的には、ディスクアレイ中のデータファイル領域は通常通りHDDで構成し、サーバのメモリ拡張領域として利用するFlash Cache領域をSSDで構成する。従来のシステムであれば、頻繁にアクセスされるデータ(ホットデータ)はサーバ上のメモリに格納され、アクセス頻度の低いデータはHDDに記憶される仕組みになっている。したがってデータへのアクセス性能を向上させるためには大容量メモリの搭載やストレージ側でHDDの本数を増やしI/Oを分散させることが必要だった。ETERNUS DX seriesでは、SSDをメモリ領域の拡張として利用することによって小規模なサーバでもHDDへのアクセスを最低限に抑え、高いパフォーマンスを引き出すことができるという。

ETERNUS DX seriesに搭載できる富士通製の2.5インチSSD。SSDをメモリ拡張領域として扱うことで、高速なデータベース統合を実現できる

メモリ拡張領域へのSSDの採用は、データベースサーバ「Oracle Database 11g Release 2」が持つ「Database Smart Flash Cache」という新機能によって実現しているという。Database Smart Flash Cacheは、ホットデータをフラッシュメモリに透過的に移動することによって、ディスクのI/Oボトルネックを解消する機能である。この機能と ETERNUS DX seriesのSSD対応を組み合わせることによって、データベースの設定を一切変えることなく、容易に性能を向上させることができるようになっている。

現在のところ、Database Smart Flash Cacheは「Solaris」と「Oracle Enterprise Linux」の2つのOSをサポートしている。富士通のサーバ製品では「SPARC Enterprise」がSolarisを採用しているため、SPARC Enterprise + ETERNUS DXという組み合わせによってデータベースシステムをトータルにサポートすることができるという。なお、富士通と日本オラクルによる同システムの検証結果はホワイトペーパーにもまとめられている。

富士通フォーラムの展示ブースでは、下記の構成によって実際にスループットおよびレスポンスタイムが向上する様子を見ることができる。

  • サーバ: SPARC Enterprise M3000 (OS: Solaris 10)
  • データベース: Oracle Database 11g R2 Enterprise RAC
  • ディスクアレイ: ETERNUS DX80
  • ベンチマークソフト: SwingBench

展示デモの動作環境

SSDを動的に追加した結果、スループットとレスポンスタイムが向上していく様子

ETERNUS DX seriesにはエントリー向けのETERNUS DX60/DX80/DX90、ミッドレンジ向けのETERNUS DX400 series、エンタープライズ向けのETERNUS DX8000 seriesがあり、そのうちDX60を除くすべての製品がSSDの搭載をサポートしている。したがって小規模から大規模まで幅広いレンジで上記の構成が可能であり、既存データベースにSSDによるFlash Cache領域を追加することもできるという。

富士通では上記ハードウェア製品の提供だけでなく、Oracleデータベースに関しても社内に専門のチームを抱えており、Oracleと連携したユーザのバックアップ体制を整えているという。その他、同ソリューションの導入やそれに伴うデータベースの移行、チューニング等のコンサルティングにも応じているとのことである。


「株式会社 毎日コミュニケーションズ マイコミ」2010年5月13日 掲載記事より転載。
本ページで掲載されている内容は、掲載日時点のものです。