「自然と人間の共生」をテーマとして、豊かな人間性と高い専門性を兼ね備えた人材の育成に取り組む山形大学。同大学は、既存の仮想デスクトップ環境においてアクセスが集中する始業時などのレスポンス低下の解決を求められていました。当初、同大学が想定していたのはコスト面からハイブリッドストレージでした。同大学の業務を熟知している富士通から最適なサイジングと重複排除によるデータ容量の最適化でコストパフォーマンスに優れたオールフラッシュストレージの提案があり、仮想化基盤の更新に伴う一括調達で導入しました。現在、レイテンシーは1ミリ秒以下、始業時も職員はストレスを感じることなく快適に業務を行っています。
[ 2018年4月20日掲載 ]
導入事例 国立大学法人 山形大学様 (952 KB/A4, 2 pages)
国名 | 日本 |
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業種 | 文教 |
ハードウェア | FUJITSU Storage ETERNUS NR1000F series ネットワークディスクアレイ
PCサーバ FUJITSU Server PRIMERGY |
「既存のサーバファイルのレイテンシーは40~50ミリ秒、オールフラッシュストレージのレイテンシーは0.5~1ミリ秒と、レスポンスタイムが40~50倍向上しています。課題となっていたブートストームは起きていません。今はユーザーからの苦情も全くなくなりました。また本学の施設部が実施している仮想デスクトップを使ったCADの利用テストでも十分使えるという評価でした」
導入前の課題 | 導入による効果 |
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吉田 浩司 氏 国立大学法人 山形大
学士課程基盤教育機構教育企画部
教授 博士(理学)
情報ネットワークセンター長
1878年の山形県師範学校の創立を起源とする山形大学は、10万人を超える卒業生が企業人、文化人、医療人、教職、公務など広く社会で活躍しています。現在、6学部、7研究科を有する同大学は、小白川、米沢、飯田、鶴岡の自然豊かな4キャンパスで約9,000人の学生が学ぶ東日本でも有数の規模を誇る総合大学です。学生教育を中心とする大学創りに取り組む同大学は2017年「面倒見がよい大学」トップ100ランキング(注1)において国立大学で第3位となりました。また有機エレクトロニクスで世界をリードする研究拠点、山形大学医学部附属病院 重粒子線がん治療施設(2019年度治療開始予定)など日本発の最先端の取り組みで科学技術や医療の進歩に貢献しています。
豊かな人間性と高い専門性の育成を目指す同大学の教育・研究活動を実現するうえでICTの活用は欠かせません。同大学の4キャンパスに設置された情報系センターを束ねているのが、小白川キャンパスにある情報ネットワークセンターです。同大学の情報システムの特徴について情報ネットワークセンター長・教授 吉田浩司氏はこう話します。
「分散している4キャンパスの独立性を保ちながらリソースの最適化を図るために、サーバをすべて仮想化しプライベートクラウド化しています。また事務系、教育系に仮想デスクトップを導入し、セキュリティ強化を目的に端末はすべてゼロクライアントです。サーバやクライアントの仮想化により、リソースの最適化や運用の効率化、トータルコストの削減に加え、4キャンパスが分散している利点を活かし相互にバックアップすることでDR(Disaster Recovery)を実現しています」。
同大学の現在のICTインフラの仕組みは、2017年に教育系の仮想化基盤の更新時に事務系仮想デスクトップ環境を統合したことで構築できました。事務系の統合で大きな課題となったのが、既存仮想デスクトップ環境におけるレスポンスの低下でした。
(注1) 大学通信による全国約2,000進学校の進路指導教諭を対象にしたアンケート
遠藤 寛幸 氏
国立大学法人 山形大学
財務部 財務課
既存の事務系仮想デスクトップは小白川キャンパスに構築したファイルサーバに4キャンパスからアクセスし利用していました。「始業時に職員が一斉にログオンすることでアクセスが集中し、仮想デスクトップの性能が著しく低下するブートストームが起きていました。ユーザーからも多くの苦情が寄せられ、性能面の課題解決は急務でした」と当時情報センターでシステムを担っていた財務部財務課 遠藤寛幸氏は振り返ります。また学術情報支援室 髙橋和音氏も「私はユーザーとして業務で既存の仮想デスクトップを利用していました。周囲ではレスポンスの改善が生産性の向上につながるといった意見もありました」と話します。
今回、DRの観点から4キャンパスで独立性を保つことを重視し、各キャンパスにストレージを導入することになりました。「最も職員の人数が多い小白川キャンパスでは仮想デスクトップのレスポンス向上は優先事項でした。当初はコストを考慮しSASディスクとSATAディスクのハイブリッドストレージを考えていました」と情報センター 准教授 田島靖久氏は話し、こう続けます。
「今回、仮想化基盤のリプレースにおいて、富士通さんの提案はオールフラッシュストレージでした。仮想デスクトップ環境はI/O性能によりパフォーマンスが大きく影響するため、I/O性能の高いオールフラッシュストレージによりレスポンスの大幅な向上が図れます。本学の業務を熟知している富士通さんは、最適なサイジングと重複排除による効率的なSSDの利用で性能とコストのバランスをとっていました」。
今回、DRを実現する分散キャンパスによる相互バックアップも特徴です。「東日本大震災のとき、山形市は停電になりましたが、米沢市は電力の問題は起きませんでした。災害対策の強化やシステムの可用性を高めるために4キャンパスにETERNUS NR1000F seriesを導入し、各キャンパス間でSnapMirror®機能により効率的かつ高速なバックアップを行っています」と学術情報支援室 長谷川毅人氏は話します。
セキュリティ面ではセキュリティアプライアンスの各キャンパスへの設置に加え、ETERNUS NR1000F seriesの導入もポイントになると吉田氏は話します。「ETERNUS NR1000F seriesはストレージに特化した専用OSのためウイルスの攻撃に対して優れた耐性を有しています」。
3キャンパスの事務系仮想デスクトップと4キャンパスの教育系仮想デスクトップのレスポンス向上を図るために、富士通のPCサーバ PRIMERGYにリード・ライト性能に優れたPCIe SSDを搭載。教育系ではvGPUを導入し3D CADやGISソフトウェアなどの演習も行っています。
システム概要図
田島 靖久 氏
国立大学法人 山形大学
学士課程基盤教育機構教育企画部
准教授 博士(理学)
情報ネットワークセンター(兼)
2016年9月に同大学の事務と教育を支える新仮想化基盤の構築を開始。2017年2月に本稼働後、安定稼働を続けており、課題となっていたブートストームも起きていません。レスポンスの大幅な改善について、情報センター 板垣幸由氏はこう話します。「既存のサーバファイルのレイテンシーは40~50ミリ秒、オールフラッシュストレージのレイテンシーは0.5~1ミリ秒と、レスポンスタイムが40~50倍向上しています。今はユーザーからの苦情も全くなくなりました。また本学の施設部が実施している仮想デスクトップを使ったCADの利用テストでも十分使えるという評価でした」。
性能向上により運用の効率化も図れました。「従来は仮想デスクトップ環境でパッチ適用を展開するのに、一斉に行うと性能低下を招くため夜間に一週間以上をかけて実施していました。今は夜間の2日間を使って短時間で終了しており、運用負荷も大幅に軽減できました。オールフラッシュ導入の効果だと認識しています」(遠藤氏)。
重複排除の効果も大きいと田島氏は話します。「重複排除は同じOSデータが大量に存在する仮想デスクトップ環境に非常に有効に働きます。また本学の業務では年度でファイルをコピーして利用することが多く、共有ストレージのデータ量が増え続けていたのですが、今は重複排除によりデータ容量の最適化を実現しています。重複排除率は平均30%です」。
今後の展望について吉田氏は次のように話します。「今回、一括調達のスケールメリットによるコスト削減効果を活かし、分散キャンパス間の相互バックアップも実現できました。富士通さんには遠隔地のキャンパスのシステムも手厚くサポートしていただき感謝しています。今後、様々な業務システムを順次、仮想化基盤に統合していきます。富士通さんには安定稼働の支援はもとより、本学の視点に立った先進的な提案を大いに期待しています」。
「地域創生」、「次世代形成」、「多文化共生」の3つの使命を果たすべく、最善の教育と研究を行う山形大学。富士通は先進技術と総合力を駆使し同大学の取り組みを支援していきます。
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前列
山形大学 佐藤裕之氏、星徹氏、田島靖久氏、吉田浩司氏、富山美穂氏、遠藤寛幸氏、長谷川毅人氏 後列 山形大学 髙橋和音氏、板垣幸由氏 富士通株式会社 山本保氏、斎藤恵子氏、武田和真氏、加賀祐輔氏 |
富士通 ITシステム事業本部
第三ITソリューション部 加賀 祐輔 本システムの導入では、前システムで課題となっていた、ストレージレスポンスの改善をポイントに進めてまいりました。導入後にいただいたお客様の声をもとに、今後の安定稼働はもちろん、よりお客様にとって利用しやすいシステムを目指し、パートナーベンダーとしての役割をはたしていきたいと思います。 富士通株式会社 山形支店 斎藤 恵子 インフラをはじめ事務システム等、長年弊社システムをご利用いただく中での課題解決に少しでも貢献できていれば幸いです。今後もシステムの安定稼働の支援はもとより、大学様が目指される将来像の実現に向けて、一緒に創りあげるパートナーとなれるよう先進的な提案をさせていただければと思っております。 |
創立 | 1949年 |
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学長 | 小山 清人 |
所在地 | 〒990-8560 山形県山形市小白川町一丁目4−12 |
学生数 | 在学者数(学部)7,546人
在学者数(大学院、別科)1,320人 (平成29年5月1日現在) |
職員数 | 2,213人(平成29年5月1日現在) |
概要 | 人文社会科学部、地域教育文化学部、理学部、医学部、工学部及び農学部の6学部。社会文化システム研究科、地域教育文化研究科、理工学研究科、医学系研究科、農学研究科、教育実践研究科、有機材料システム研究科の7つの研究科。 |
ホームページ | ![]() https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/ ![]() |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。なお、社名敬称は省略させていただいております。
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