人口22万人を有する群馬県太田市は基幹システムのリプレースを機に、全体最適化やセキュリティ強化を目的として同システムを支える基盤にサーバとデスクトップの仮想化を導入しました。仮想化環境のパフォーマンスの鍵を握るストレージには、富士通の仮想化環境専用ストレージ「ETERNUS TR series」を採用し、コストを抑えながらピーク時も安定したパフォーマンスを実現。従来、閉庁後に電算処理を委託していた負荷の高い処理も開庁時間内で職員が対応可能となり、電算委託処理コストの削減による初期構築投資の早期回収を見込んでいます。
[ 2016年2月18日掲載 ]
導入事例 太田市様 (1,023 KB)(A4・2ページ)
国名 | 日本 |
---|---|
業種 | 地方自治体 |
ハードウェア | FUJITSU Storage ETERNUS TR series 仮想化環境専用ストレージ
Brocade VDX コンバージドスイッチ ブレードサーバ FUJITSU Server PRIMERGY BX900 |
ソフトウェア | 仮想化ソフトウェア VMware Horizon 6 |
「SSDとHDDのハイブリッド・ファイルシステムで、自動QoS(Quality of Service)とインライン方式の重複排除や圧縮によりフラッシュヒット率99%以上を実現し、コストをかけずに最高のパフォーマンスで運用できる。その特徴は当市の要望を満たすものでした」
導入前の課題 | 導入による効果 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
手塚 光春 氏
太田市役所 企画部 情報管理課
係長
群馬県南部の太田市は輸送機器産業中心の工業都市として知られており、2014年速報値の工業出荷額(経済産業省による工業統計調査)の市町村ランキングにおいて全国13位の規模を誇っています。また利根川、渡良瀬川の水の恵みと豊かな緑に抱かれた同市は、構造改革特区第一号の英語教育特区、東日本大震災以前に学校の耐震化の完了、世界最大規模の太陽光発電分譲地(Pal Town 城西の杜)、第3子以降子育て支援など多様性に満ちています。高齢化率が低く県内有数の人口増加率も同市の特徴です。
2005年に旧太田市、尾島町、新田町、藪塚本町が合併し、人口22万人を有する特例市として発展を続ける同市は、将来の都市像「人と自然にやさしい、笑顔で暮らせるまち太田」の実現に向けてまちづくりを進めています。
住民の視点を大切に様々な取り組みを積極的に行っていく姿勢は同市の情報管理課も変わりません。「大切なことは住民の方や市の職員が抱える課題を解決することであり、先進的なICTの導入ではありません。例えば、1998年に8行政センター(公民館)、2ショッピングセンターで市民課業務を開始しました。コストと利便性のバランスから自動交付機の導入ではなく既存施設などの有効活用により窓口業務のサービス向上を図っています。今回、税、福祉などの基幹システムの刷新においても"なぜその製品なのか"はこだわりました」と、太田市役所 企画部 情報管理課 係長 手塚光春氏は話します。
丸山 猛 氏
太田市役所 企画部 情報管理課
新基幹システムの基盤面では全体最適化とセキュリティ強化の2つが大きなテーマでした。「業務ごとに分散していた各システムのリソースの無駄をなくし、制度改正などに伴うデータ処理の増大にも柔軟に対応するべく仮想化により全体最適化を図っていく。またデスクトップの仮想化により端末にデータを残さないことで、基幹業務で扱う個人情報のセキュリティ強化を目指しました」と、太田市役所 企画部 情報管理課 丸山猛氏は話します。
仮想化基盤の要となるのは「データの保管場所となるストレージです」と丸山氏は話しこう続けます。「仮想デスクトップ環境のストレージで最も難しいのは、ストレージI/Oの使用ピーク期間の調整です。ピーク時に合わせ性能リソースを確保するとコストに多くの無駄が生まれます。コストを抑えながら常に安定したパフォーマンスを実現するストレージが求められました」。
同市の要望に応え、新基幹システムの構築、運用を担当する両毛システムズから富士通の仮想化環境専用ストレージ「ETERNUS TR series」の提案がありました。「SSDとHDDのハイブリッド・ファイルシステムで、自動QoS(Quality of Service)とインライン方式の重複排除や圧縮によりフラッシュヒット率99%以上を実現し、コストをかけずに最高のパフォーマンスで運用できる。その特徴は当市の要望を満たすものでした。両毛システムズと一緒に性能や運用に関するテスト項目を検討し事前検証を行うことにしました」と手塚氏は振り返ります。
海老沼 正臣 氏
株式会社両毛システムズ
公共事業本部
公共システム開発部
共通サービス課
係長
事前検証は、富士通トラステッド・クラウド・スクエアにおいて「ETERNUS TR820」で仮想デスクトップ200台を動かすといった本番同等環境で実施。「最大3万IOPSのところ5千IOPSに収まっていました。サーバの仮想化も含めて仮想化基盤のストレージとして導入しても今後のデータ量の増大にも柔軟に対応できることを確認できました」と両毛システムズの海老沼正臣氏は話します。
運用面では仮想デスクトップ200台の作成時間が40分でエラーなく完了できることを確認。また、仮想マシン単位でストレージに加えてサーバやネットワークなどの性能の可視化ができることを体験した海老沼氏は「負荷状況が一目瞭然となり、日常的な動作確認に加え、仮想デスクトップのパフォーマンス低下の要因も迅速に特定できます」と話します。
同市は事前検証の結果を受けて、新基幹システムを支える仮想化基盤のストレージとして「ETERNUS TR series」を採用しました。
松本 貴志 氏
株式会社両毛システムズ
公共事業本部
公共システム開発部
共通サービス課
新基幹システムの構成は、富士通のブレードサーバPRIMERGY BX900と「ETERNUS TR820」を中核に、ネットワークスイッチにBrocade VDXを採用しています。「Brocade VDXを2セット導入したうち1セットは10 Gbps化で帯域を確保し、もう1セットは物理的なNICを4つに論理的に分割し業務に最適な速度で通信を行うことで、リソースの最適化を図っています」(丸山氏)。
2015年5月に新基幹システムの構築を開始し、マイナンバーの通知に間に合わせるべく同年10月に本稼働。約半年間の短期間構築の実現には「ETERNUS TR series」の導入の容易さが貢献しています。「従来ストレージの導入には一カ月を要していました。
「ETERNUS TR series」はLUNやボリュームを意識する必要がなく設計段階を省略できることから1日で構築、設定作業も10分で完了します。またスイッチの初期設定作業も簡略化できるBrocade VDX と組み合わせたことでネットワークを含めた構築期間も大幅に短縮でき、他の作業に時間を割く余力が生まれました。また富士通やBrocade社の技術支援も心強かったです」と両毛システムズの松本貴志氏は話します。
栗田 和彦 氏
太田市役所 企画部 情報管理課
「ETERNUS TR series」をベースとする新基幹システムの導入効果について、太田市役所 企画部 情報管理課 栗田和彦氏はこう話します。「住民の方からお預かりしている個人情報を守るためには端末での処理を極力減らすことが重要です。今回、仮想デスクトップの導入によりセキュリティを強化しながら、物理端末と遜色ないスピードを実現し窓口サービスの品質を確保できたことは大きなメリットです」。
また地方自治体の業務における大量データの処理も効率的に行えるようになりました。「仮想マシンの稼働状況に合わせた性能チューニングを自動的に実施する自動QoSにより、特定デスクトップで過大なI/Oが発生しても他のデスクトップに影響を与えません。従来、負荷の高い処理は市役所閉庁後に両毛システムズに電算処理を委託していましたが、いまは開庁時間内に職員で処理が行えるようになりました。また夜間バックアップ時間なども短縮できたことでシステムの利用時間の拡大も可能となり、各課の業務繁忙期にも柔軟に対応できます」(丸山氏)。
仮想化集約と「ETERNUS TR series」のコンパクトな4Uサイズにより、ラック本数も1/4となりハウジング費の大幅な削減を図っています。
今後の展望について「これから運用していく中で電算委託処理を減らしていくことにより、この5年間のうちに初期構築費用は回収できると考えています。またマイナンバー制度の運用もスタートしましたから、セキュリティ強化の観点から仮想デスクトップの導入拡大は重要なテーマとなります。今後も富士通と両毛システムズが一体となったサポートとともに先進的な提案も期待しています」と手塚氏は話します。
太田市民22万人への住民サービスを支える基幹システムの基盤を、これからも富士通は総合力と先進技術を駆使し支援していきます。
前列左から
太田市役所 栗田 和彦 氏、手塚 光春 氏、丸山 猛 氏
後列左から
株式会社両毛システムズ 海老沼 正臣 氏、松本 貴志 氏
富士通株式会社 宇都宮 毅、井田 紀久雄
所在地 | 〒373-8718 群馬県太田市浜町2番35号 |
---|---|
人口 | 222,895(2015年10月31日現在) |
世帯数 | 91,740(2015年10月31日現在) |
ホームページ | http://www.city.ota.gunma.jp/![]() |
本社所在地 | 〒376-8502 群馬県桐生市広沢町3丁目4025番地 |
---|---|
代表取締役社長 | 秋山 力 |
設立 | 1970(昭和45)年1月31日 |
資本金 | 19億6,690 万円 |
事業内容 | ソフトウェア開発・システム販売
情報処理サービス システム機器・プロダクト関連販売 その他の情報サービス |
ホームページ | ![]() http://www.ryomo.co.jp/ ![]() |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。なお、社名敬称は省略させていただいております。
FUJITSU Storage ETERNUS TR series 仮想化環境専用ストレージ
大規模なサーバ仮想化環境や仮想デスクトップ環境で安定した高い処理性能とシンプルな運用を実現