ケース自動倉庫「ファインストッカー」
マテリアルハンドリングの世界的な総合メーカー「ダイフク」は、SAP ERPシステムのリプレースに伴い夜間バッチ処理時間の遅延といった懸案事項の解決はもとより、変化に柔軟に応えるシステムへの刷新をテーマとしました。同社は仮想基盤を構築しストレージにETERNUS DX440 S2を採用。SSDと従来型HDDを使ったストレージ自動階層制御によりコストを抑えながらI/O処理性能の大幅な向上を実現し、夜間バッチ処理時間を半分以下に短縮。また仮想基盤とストレージリソースのプール化により共用テンプレートをつくり、海外拠点のERP展開の迅速化を図っています。
[ 2014年8月22日掲載 ]
導入事例 株式会社ダイフク様 (929 KB)(A4・2ページ)
国名 | 日本 |
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業種 | 製造業(マテハン分野) |
ハードウェア | FUJITSU Storage ETERNUS DX440 S2 ディスクストレージシステム
FUJITSU Server PRIMERGY |
ソフトウェア | FUJITSU Storage ETERNUS SF Storage Cruiser
FUJITSU Storage ETERNUS SF Storage Cruiser Optimizationオプション FUJITSU Storage ETERNUS SF AdvancedCopy Manager VMware vSphere |
「処理性能が求められる基幹業務のデータは高性能なSSDにのせて、利用頻度が低いものから従来型HDDに移しデータ量の急増に応えていく。こうした運用を容易にするためにストレージ自動階層制御を利用する。富士通の提案はコストと性能のバランスに優れたものでした」
導入前の課題 | 導入による効果 |
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産業のあらゆるシーンで欠かせないのが、モノを運び、仕分け、保管するマテハン(マテリアルハンドリング)です。マテハン業界で世界トップクラスの実力を持つダイフクは、自動車生産ライン、工場や配送センターの自動化、クリーンルーム用の搬送・保管システムなど、ものづくりや物流の改革を支えています。現在、ダイフクグループは世界20の国と地域に生産・販売拠点を展開しており、海外売上比率は60%以上に達しています。
同社は中期経営計画(2013~2016年度)の中で、1937年の創業以来、マテハンの総合メーカーとして培った技術とノウハウを活かし、お客様に最適なソリューションを提供するバリューイノベーション企業への進化を掲げています。同社のさらなる飛躍にICTの活用は不可欠です。
田渕 雅志 氏
株式会社ダイフク
財経本部
情報システム部
部長
「ダイフクの情報システム部はダイフクグループ全体のICTを支える役割を担っています。現在、注力しているのはコミュニケーションシステムの整備です。グローバル対応ではアジア拠点への業務システムの導入、展開を進めています。今回、SAP ERPシステムのリプレースでは単なる老朽化対策ではなく、仮想基盤を構築し変化への柔軟かつ迅速な対応、シンプルな運用、可用性の向上など次世代基幹システムの構築がテーマとなりました。また増加するデータ量への対応も急務でした」と、財経本部 情報システム部 部長 田渕雅志氏は話します。
池田 雄二氏
株式会社ダイフク
情報システム部
インフラグループ
主査
マテハンはものづくりの仕方や設置環境が企業ごとに異なるため一品一様となります。同社では常時、100万件に及ぶ製番のデータが動いており、特に夜間バッチ処理時間の遅延が深刻化していました。「オンライン業務が開始する午前7時前までに終わっていなければならない夜間バッチ処理が、ときには昼頃までかかってしまうこともありました。今後のデータ量の増加に対応するために、ハードウェアの性能向上は不可欠でした。今回、バッチ処理時間の短縮が必須の課題であったためI/O処理の高速化の観点から、特にストレージの性能を重視。従来のシステムの物理RAID構成では5,000IOPSで頭打ちになっていたため、ストレージの性能指標としてストレージプールを用いた上で35,000IOPSを要件としました」と、情報システム部 インフラグループ 主査 池田雄二氏は話します。
いかにコストを抑えながらI/O性能の向上を図っていくか。同社はSSDとストレージ自動階層制御に着目しました。「処理性能が求められる基幹業務のデータは高性能なSSDにのせて、利用頻度が低いものから従来型HDDに移しデータ量の急増に応えていく。こうした運用を容易にするためにストレージ自動階層制御を利用する。富士通の提案はコストと性能のバランスに優れたものでした」と、情報システム部 業務システムグループ 主事 室賀洋介氏は話します。
今回、仮想環境のもとで同社の求めるストレージ処理性能を実現する必要があったことから、富士通は高負荷環境下で高スループット、低 CPU 使用率を実現するVMware 準仮想化 SCSI アダプタを採用するなどVMware環境で最大限にストレージ性能を引き出す工夫を施しました。
「計算上だけでなく実際に35,000IOPSを達成できるのだろうか。そうした疑問にも富士通は応えてくれました。富士通トラステッド・クラウド・スクエア関西にSAP ERPとVMware vSphereを使用して基盤環境を構築し、実業務運用を考慮した性能を測定。その結果、当社のストレージ性能要件を満たしていることを確認しチューニングポイントも把握できたことが、富士通採用の決定打となりました」(池田氏)。
室賀 洋介氏
株式会社ダイフク
情報システム部
業務システムグループ
主事
2013年6月、富士通の採用を決定し、その後、構築は順調に進みましたが、最後に大きな山場がありました。「2014年3月の三連休でデータ移行を完了しなければならなかったのですが、リハーサル時には3日間で収まりませんでした。富士通が移行の効率化のみならず、ストレージのチューニングを含む基盤調整のノウハウを駆使し、最終的には1日半で完了できました」(室賀氏)。
新システムは三連休明けの2014年3月24日に本稼働。新システムの構成は仮想基盤にPCサーバPRIMERGYを7台導入し、SAP ERPを含むすべてのサーバが仮想基盤で稼働しています。
ストレージにはETERNUS DX440 S2を採用し、ストレージ統合管理ソフトウェアETERNUS SF Storage Cruiserにより仮想ストレージプールやストレージ自動階層制御を実現しています。またアドバンスト・コピー機能 OPC(One Point Copy)による高速バックアップにより、業務継続性を向上。災害時にシステムが故障した場合でも被災直前の前日までデータの復旧が可能です。
ETERNUS DX440 S2を採用した新システムを導入後、I/O性能が向上したことで大きな効果があらわれています。「従来、翌日の昼頃までかかることがあった月次バッチ処理が深夜の3時には終わっています。15時間を要した作業が半分以下の6時間に短縮できました。また性能に余裕が生まれたため、時間を限定していた分析のニーズにも柔軟に対応が可能です」(池田氏)。
さらに、仮想基盤とETERNUS SF Storage Cruiserによるストレージリソースのプール化を活用することで容易な運用を実現しています。「仮想マシンを増やすたびにストレージのRAIDの定義から行っていては大変です。富士通から運用管理をシンプルにするためにテンプレートの共用化の提案がありました。実際にテンプレートを活用した海外現地法人向けERP基盤は、従来、2カ月を要していた構築が1週間で完了しました」(室賀氏)。
ストレージ自動階層制御によりストレージの有効活用も図っています。「SAP ERPはSSDで処理するように固定し、その他の情報系のシステムはストレージ自動階層制御を利用してSSDから従来型HDDへと再配置する運用を行い、性能を維持しています。SAP BWに関しても月次処理はすべてSSDで処理し、それ以外は従来型HDDに置くといった柔軟な運用を富士通と検討しており、設計は完了しています」(池田氏)。
システム全体の効果としては仮想化によりサーバ台数を半分以下に削減でき、VMware HAなどにより可用性と業務継続性を高めています。
今後の展開について「基幹システムですから安定稼働が最優先事項となります。また災害対策の強化として遠隔地へのバックアップも今後の課題です。富士通とはホストコンピュータ時代から45年のおつきあいを通じて築いた信頼関係のもと、提案型の運用やICTのグローバル展開への支援などこれからも信頼できるパートナーとして大いに期待しています」と田渕氏は話します。
先進のマテハン技術でお客様や社会の変革に貢献するダイフク。世界の産業の発展を支える同社の取り組みを、富士通はこれからも総合力と先進技術を駆使し支援していきます。
(前列左より)株式会社ダイフク 室賀 洋介氏、田渕 雅志氏、池田 雄二氏
(後列左より)株式会社富士通エフサス 伊藤 祐徳、多田 昌彦、寺田 正信
富士通株式会社 加藤 達也 株式会社富士通エフサス 長方 宏哲
今回のプロジェクトでは、どのようにしてストレージ性能を最大限に引き出すかが大きなポイントでした。
その取り組みとして、社内関連部門と連携しながら事前検証を行い、チューニングポイントの抽出とその対策を検討いたしました。さらに本稼働前の最終確認として、ダイフク様にご協力いただいて実業務検証を実施することで、新システムでの性能要件達成を確認しました。ダイフク 情報システム部の皆様は技術力が高く、プロジェクトを通じて私自身が勉強させていただきました。
これからもダイフク様のご期待に応えられるよう、努力してまいります。
今回、基幹システムのリプレースが成功できたのはダイフク 情報システム部様のご協力があったからこそと深く感謝しております。ストレージの自動階層制御においても現場で実際どのように使われるのかは富士通としてもまだまだノウハウが不足しているところもあり、いろいろと勉強させていただくことも多々ありました。ダイフク様をはじめお客様のご要望をお聞きすることが富士通製品やサービスの品質向上につながります。
今後もダイフク様のシステムを熟知したメンバーをそろえ、パートナーとしてダイフク様とのコミュニケーションを大切に課題解決に取り組んでまいります。
所在地(本社) | 〒555-0012 大阪市西淀川区御幣島3-2-11 |
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代表取締役社長 | 北條 正樹 |
設立 | 1937年5月 |
資本金 | 80億2,400万円 (2014年3月31日現在) |
従業員数 | 7,349人 (グループ計) (2014年3月31日現在) |
事業内容 | 物流システムに関するコンサルティングとエンジニアリングおよび設計・製造・据付・サービスなど搬送システム、保管システム、仕分け・ピッキングシステム、制御システム、物流機器、電子機器、その他の事業(洗車機・ボウリング・福祉・環境関連) など |
ホームページ | ![]() http://www.daifuku.co.jp/ ![]() |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。なお、社名敬称は省略させていただいております。
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