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Fujitsu

Japan

デデュープ装置によりバックアップデータ量を1/4に圧縮
国産初のジェット旅客機MRJの開発を基盤で支える

三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所 様 導入事例


国産初のジェット旅客機MRJの開発が三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所で行われています。日々の膨大かつ重要なデータを遠隔地へ効率的に転送し保全するために、富士通のデデュープ(重複排除)装置を活用。バックアップデータを1/4に圧縮し、安価な低帯域回線の利用を実現しています。

2010年11月5日掲載/ 印刷用 PDF版ダウンロード (862 KB)


導入事例概要
業種: 製造業
ハードウェア: デデュープ(重複排除)装置

「日々の膨大な設計、製造データをリーズナブルに遠隔地のデータセンターに保管するというニーズに対応できたのは、当時、富士通だけでした。デデュープ装置の活用により重複排除、高圧縮後の差分データのみを転送することで課題に応えた上で、災害対策に適した富士通データセンターの活用などトータルサービスもポイントになりました」

日本の航空宇宙産業をリードする三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所。現在、同製作所では、国産初の小型ジェット旅客機MRJの開発プロジェクトが進行中です。開発にあたっての情報システム部門に於ける課題は、膨大かつ重要なデータを、災害対策やコスト抑制も考慮していかに遠隔地へデータを保全していくか。同製作所では、富士通のデデュープ(重複排除)装置の活用によりバックアップデータを1/4に圧縮し安価な低帯域回線の利用を実現。マルチストレージへの対応、災害対策に適した富士通データセンターの活用などトータルサービスで効率的なデータ保全を実現し、MRJ開発を支えています。

導入前の課題   導入による効果
MRJの設計、製造における膨大かつ重要なデータを効率的に保管したい。 デデュープ装置による重複排除、高圧縮によりバックアップデータ量を1/4に削減。
遠隔地のデータセンターへのデータ保全の際、安価な低帯域回線を利用したい。 デデュープ装置間で重複排除、圧縮後の差分データのみ転送、安価な低帯域回線が利用可能となりデータのレプリケーションを実現。
マルチベンダーのストレージからのバックアップデータを統合したい。 各ストレージのバックアップデータをデデュープ装置で統合、同一環境内で別筐体におけるバックアップも確立し業務継続性も向上。

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導入の背景

航空ビジネスの未来を拓く国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」

大空を飛びたい。人類の夢を現代の日本で受け継いでいる企業が、三菱重工業 名古屋航空宇宙システム製作所です。日本の航空宇宙産業の中心地である中部地区に大江工場、飛島工場、小牧南工場、さらに広島県に広島工場を有し、最新鋭の航空機や宇宙機器などを製作しています。

時代に先駆けたものづくりに挑み続け、社会の発展に貢献している三菱重工業において、同製作所はシンボリックな存在です。三菱重工業は、宇宙分野においても種子島から飛び立っていく純国産宇宙ロケットの設計から製造、打ち上げまでを担っており、先ごろ12機連続の打上げに成功したH-IIA18号機も三菱重工が打上げを実施したものです。

情報・技術管理部 次長 渡辺 光浩 氏

このように日本の航空宇宙におけるリーディングカンパニーとして長い歴史と経験を有する三菱重工業ですが、その事業構造が近年大きく変わりつつあります。「当製作所では、近年の民需(民間輸送機)の成長に伴い、これまでつちかってきた官需の技術をベースに民需にも対応できる企業体質への転換に取り組んでいます。サプライチェーン改革、民需のものづくりへの対応、グローバル化など、さまざまな改革を進める上でITの果たす役割は非常に重要です。航空宇宙機器の設計、製造を支援するという基本理念のもと、情報システム部門はさまざまなテーマに取り組んでいます」と、同製作所 情報・技術管理部 次長 渡辺光浩氏は語ります。

現在、同製作所ではグループ会社の三菱航空機とともに、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」を開発するという壮大なプロジェクトを進めています。

導入の経緯

膨大かつ重要なデータをいかに安全かつ効率的に保管していくか

情報・技術管理部 情報システム課 主任 鈴木 祐二 氏

日本が独自に旅客機を開発するのはプロペラ機のYS-11以来、40年ぶりです。YS-11の開発にも携わっていた同製作所ですが、その後、海外航空機メーカーと協力し、主翼や胴体などの主要部品の設計、製造をおこなうなかで旅客機製造のノウハウを蓄積してきました。「満を持したプロジェクトではありますが、当製作所にとって小型ジェット旅客機をまるごと1機開発するのは初めてです。航空機の部品点数は自動車に比べると桁が違っていて約百万点に及び、それらが高度に組み合わさった複雑な構成で、なおかつ設計変更も多くあります。日本の航空産業の未来を拓くMRJの重要かつ膨大なデータをいかに保全していくかは、開発にあたって最初の課題となりました」と、同部 主任 鈴木祐二氏は語ります。

民間機ならではの特長は、データ量増大の要因にもなります。官需機はほぼ同じ形態のものを何機もつくりますが、民間機の場合、外形は同じでもエアラインごとに目的やニーズに合わせて、たとえば椅子の位置やトイレの数など設計が異なります。また、航空機の運行は40年以上にも渡るので長期間のデータ保管が不可欠です。

もうひとつ、避けることのできない課題がコスト面です。「災害対策も考慮し遠隔地へのデータ保全は基本条件でした。その際、ネットワーク回線がポイントになります。MRJの設計、製造では約百万点の膨大な部品データを扱います。Disk to Diskのバックアップではギガクラスの回線が必要になりますが、まだまだ高額であるため、できるだけ低帯域の回線でコスト削減を図ることが命題としてあがってきました。この命題に対して複数社から提案を受けました」と、同部 情報システム課 課長 田中誠一氏は振り返ります。

導入のポイント

デデュープ(重複排除)装置の活用により安価な低帯域回線の利用が可能に

情報・技術管理部 情報システム課 課長 田中 誠一 氏

今回、採用の決め手となったのはデデュープ装置の活用でした。「日々の膨大な設計、製造データをリーズナブルに遠隔地のデータセンターに保管するというニーズに対応できたのは、当時、富士通だけでした。デデュープ装置の活用により重複排除、高圧縮後の差分データのみを転送することで課題に応えた上で、災害対策に適した富士通エフ・アイ・ピー株式会社の新データセンターの活用などトータルサービスもポイントになりました」と、田中氏は採用の理由を説明します。

今回のデータ保全の仕組みは、マルチベンダーの各ストレージにおけるデータのバックアップを、バックアップソフトによりデデュープ装置に落とし込み、遠隔地にあるデデュープ装置との間でレプリケーションをおこなうというものです。「マルチベンダーのストレージなどをインテグレーションするときのさまざまな課題にも、構築を担当する富士通エフサスには適切に対処していただきました」と、渡辺氏は富士通の提案力も高く評価します。

導入の効果と今後の展開

転送データを1/4に圧縮、低帯域回線でもレプリケーションの遅れはなし

2009年12月、デデュープ装置の活用を開始。導入効果について「デデュープ装置により転送データを1/4に圧縮して安価な低帯域回線を利用していますが、レプリケーションの遅れはありません。また、各ストレージのデータを統合してデデュープ装置で扱うため、別筐体でのバックアップも確立できました。万一、ストレージにトラブルが起きても同一環境内にバックアップがあるのですぐに対応可能です」(田中氏)。

低燃費、低騒音、そして快適性といったMRJの特長は世界的に評価が高く、国内だけでなく海外のエアラインからも受注しました。現在、2014年に初号機納入を目指し詳細設計が終了した段階です。「次の製造段階ではデータ量がさらに増大します。当初、MRJプロジェクト用に導入したストレージのデータ容量は60テラくらい、今後を考えると100テラ以上は必要になると考えています。バックアップの取り方などさらに工夫を重ね、圧縮率を高めるなどの対策も大切です」(鈴木氏)。

今後の展望について「市場の変化に対応するために、仮想化技術などを活用した開発部門へのサービス提供の迅速化もこれからの課題です。また、ますます増大するデータを扱うことのできるデデュープ装置など新技術の活用も欠かせません。技術は日進月歩ですから、投資対効果も考慮しながら適切なソリューションを見極めていきたい。そのために先を見据えた提案も富士通にはお願いしたい」と、渡辺氏は語ります。
ビジネスはもとより日本の子供たちの夢を担う同製作所のものづくりを、富士通はこれからもしっかりと支えていきます。

三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所様を担当しての感想

【営業コメント】

三菱重工業様の中でも非常に重要なプロジェクトに携わることができ大変光栄に感じております。
デデュープ(重複排除)装置により、データの高圧縮と低速回線でFIP名古屋データセンターに遠隔地保管することが可能になりました。しかし、既存システムの大容量データをお客様のポリシーに従いバックアップする設計など実現までには多くの苦労もありました。そのような状況においても、事業部との共同体制から要件を満たせるよう粘り強く対応し、無事稼動することができました。今後も三菱重工業様にとって真のビジネスパートナーとなれるよう、取り組んでいきたいと考えております。

三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所 様 概要

所在地 愛知県名古屋市港区大江町10(大江工場)
工場 大江工場、飛島工場、小牧南工場、広島工場
事業概要 防衛省向け航空機/ヘリコプター、宇宙機器、海外民間輸送機、国内初小型ジェット旅客機MRJの開発、製造

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。