まっちーの仮想化講座
第8回：Oracle VM Server for SPARC のバックアップ（2/2）
2012年1月10日
前回はゲストドメインのバックアップについて説明しましたが、今回は制御ドメインのバックアップ方法を説明したいと思います。
制御ドメインのバックアップ
制御ドメインもゲストドメインと同様に、ドメインの構成情報とデータ（ディスク）をバックアップする必要があります。ディスクのバックアップは、従来のサーバと同じ方法（ufsdump/zfs sendなど）で行いますので、ここではドメインの構成情報のバックアップのみを説明したいと思います。
制御ドメインの構成情報をバックアップするコマンドは、ゲストドメインと同じです。ドメイン名の指定で“primary”を指定すれば、制御ドメインの構成情報をバックアップできます。
SPARC Enterprise T5120# ldm list-constraints -x primary > /export/conf_backup/primary.xml
SPARC Enterprise T5120# ls -l /export/conf_backup/
合計 26
-rw-r--r-- 1 root root 4607 9月 17日 09:51 ldom1.xml
-rw-r--r-- 1 root root 7198 9月 17日 11:03 primary.xml
ここでは、同一サーバ内の/export/conf_backupディレクトリに保存しましたが、実際の運用では、テープ装置などの別媒体にも保存することをお勧めします。
制御ドメインのリストア
制御ドメインの構成情報はILOMに保存されています。サーバのマザーボードなどを保守交換すると、このILOMが初期化されてfactory-defaultのみになります。このような場合に、バックアップしておいた構成情報から制御ドメインを再構築する必要があります。
ここでは、実際にマザーボードを交換するわけには行きませんので、構成情報をすべて削除して、factory-defaultのみにした状態で、制御ドメインを再構築したいと思います。
SPARC Enterprise T5120# ldm ls-config
factory-default
config01 [current]
SPARC Enterprise T5120# ldm set-config factory-default
SPARC Enterprise T5120# ldm ls-config
factory-default [next poweron]
config01
SPARC Enterprise T5120# ldm rm-config config01
SPARC Enterprise T5120# ldm ls-config
factory-default [next poweron]
あと、ゲストドメインもあらかじめ削除しておく必要があるので、ゲストドメインも削除しておきます。
SPARC Enterprise T5120# ldm rm-domain ldom1
SPARC Enterprise T5120# ldm ls
NAME STATE FLAGS CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME
primary active -n-cv- SP 8 3968M 0.3% 18h 8m
事前準備が終わったら、サーバをshutdownして、ILOMをresetします。
これでサーバが初期状態になります。
SPARC Enterprise T5120# shutdown -y -g0 -i0
・・・省略・・・
-> reset /SYS
Are you sure you want to reset /SYS (y/n)? y
Performing reset on /SYS
さて、サーバが起動してきたら、いよいよ制御ドメインを再構築します。
再構築に使用するコマンドはゲストドメインとは異なり、ldm init-systemコマンドを使用します。-iオプションは読み込む構成情報（XMLファイル）を指定します。-rオプションは自動でOSを再起動させるオプションです。
SPARC Enterprise T5120# ldm init-system -r -i /export/conf_backup/primary.xml
Initiating a delayed reconfiguration operation on the primary domain.
All configuration changes for other domains are disabled until the primary
domain reboots, at which time the new configuration for the primary domain
will also take effect.
SPARC Enterprise T5120# syncing file systems... done
rebooting...
・・・省略・・・
OSが起動したら、再構築できているか確認しましょう。
SPARC Enterprise T5120# ldm ls
NAME STATE FLAGS CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME
primary active -n-cv- SP 8 3968M 25% 2m
SPARC Enterprise T5120# ldm ls-services
VCC
NAME LDOM PORT-RANGE
primary-vcc0 primary 5000-5100
VSW
NAME LDOM MAC NET-DEV ID DEVICE LINKPROP DEFAULT-VLAN-ID PVID VID MTU MODE INTER-VNET-LINK
primary-vsw0 primary 00:14:4f:fa:0f:b0 e1000g1 0 switch@0 1 1 1500 on
VDS
NAME LDOM VOLUME OPTIONS MPGROUP DEVICE
primary-vds0 primary vol0 /dev/zvol/dsk/rpool/export/vdisk0
iso0 ro /ISO/Sol10u9.iso
制御ドメインや仮想サービスも元に戻っていますね。
制御ドメインを再構築したら、再度ILOMに構成情報を忘れずに保存してください。結構忘れがちです。
SPARC Enterprise T5120# ldm ls-config
factory-default [next poweron]
SPARC Enterprise T5120# ldm add-config config01
SPARC Enterprise T5120# ldm ls-config
factory-default
config01 [current]
あとは、ゲストドメインも再構築して完了です。
SPARC Enterprise T5120# ldm add-domain -i /export/conf_backup/ldom1.xml
SPARC Enterprise T5120# ldm ls
NAME STATE FLAGS CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME
primary active -n-cv- SP 8 3968M 0.6% 3m
ldom1 inactive ------ 8 2G
ちなみに、ldm list-constraintsコマンドでドメインを指定しない場合は、制御ドメインとすべてのゲストドメインの構成情報をまとめて保存できます。再構築もまとめて行うことができます。
SPARC Enterprise T5120# ldm list-constraints -x > /export/conf_backup/all-doms.xml
SPARC Enterprise T5120# ldm init-system -r -i /export/conf_backup/all-doms.xml
構成情報（XMLファイル）を保存するだけですから、ドメインごとのファイルとすべてのドメインのファイルの両方を取っておいてもいいですね。
また、この構成情報（XMLファイル）を使って、別サーバに同じ構成のドメインを構築することもできます。
いかがでしたでしょうか。Oracle VM Server for SPARCのバックアップは、データ（ディスク）だけでなく、ドメインの構成情報も忘れずに保存してくださいね。
第7回
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