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Fujitsu

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Oracle OpenWorld 2013 富士通現地レポート

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富士通 基調講演

2013年9月24日

9月22日~9月26日、オラクル・コーポレーション(以下、オラクル社)が主催する世界最大規模のITイベント「Oracle OpenWorld 2013」が米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されました。
富士通はMarquee Sponsorとして参加し、初日の基調講演に執行役員常務の豊木が登壇しました。

Oracle OpenWorld 2013 Keynote
日時 2013年9月22日(日曜日)
テーマ Shaping Tomorrow Through Modernization and Innovation
講演資料 (8.23 MB )
スピーカー 富士通株式会社 執行役員 常務
豊木 則行
ビデオ


講演会場「モスコーニセンター」

我々を取り巻くビッグデータ

昨年に引き続き、富士通のKeynoteでOracle OpenWorldは幕開けしました。
豊木は、セッションの冒頭、イノベーションの重要性として象の話を語りはじめます。スリランカには、約200mも泳いで湖を渡り、餌となる草を食べに行く象がいます。この勇気ある象は、干ばつなどによる食料危機が起こっても、生き延びることができるでしょう。
これは、ビジネスの世界でも当てはまります。勇気をもって絶えず新しいことに挑戦できるイノベーティブな企業こそが、ビジネス環境の変化に対応していくことができるのです。
このような重要なイノベーションの一つがビッグデータの活用です。

富士通は既にお客様とともにビッグデータ活用に取り組んでおり、2つの事例を紹介しました。

あるお客様では、それぞれのグループ企業で膨大なデータを所有しています。この膨大なビジネスデータに、株価や気象といったパブリックなデータ、そして、ソーシャルメディアなどのソーシャルデータと合わせて様々な角度によって分析することで、新たな「知見」を得ることができます。
この「知見」を、豊木は「Valuable Data」と呼びます。「Valuable Data」の最大の特徴は「100%に近い高い確率で目標を達成できる」 ということです。
例えば、これを製造業に適用すれば、余剰在庫をほぼゼロとすることが期待できます。

もう1つの例は、コンピュータ将棋です。これまでのコンピュータ将棋のアプローチは、将棋の戦法に則った定跡やアルゴリズムを使用する方法が主流でした。ところが、最近、新たなアプローチによって、大きな成功を得ることができました。
それは、「勝利の三角形」と呼ばれる、「3つの駒の位置関係に関するデータ」を活用する方法です。このデータは50万もの過去の対局を分析しスコア付けを行うもので、そのビッグデータ活用ともいえるアプローチにより、プロの棋士を打ち負かすことができました。
現実のビジネスの世界では、よりデータ量が多いという理由でこの手法がそのまま適用できるとは限りません。

しかし、リアルタイム処理や大量のデータ処理が必要という類似性を持っていることから、同じ手法によるアプローチでビジネスを成功に導くことが可能と考えており、富士通は研究開発を進めています。

ビッグデータ時代のシステムに求められるもの

ビッグデータ、すなわち、非常に多様で巨大なデータを、リアルタイムで処理する必要があります。
この課題を解決するシステムの要件は、「高い処理能力」と「拡張性と柔軟性」だと考えています。
そして、それらを実現しているのが、SPARC M10注1です。

高い処理性能

SPARC M10の高い処理性能は、14のベンチマーク世界記録により証明されています。例えば、販売管理アプリケーションの実性能を表すことができる2階層SAP® SDベンチマーク注2により、いかに性能が高く、かつ、高いスケーラビリティを実現できているかがお分かりになるでしょう。

将来、特にデータベースシステムにおいて、さらに高い処理性能が求められることは確実です。富士通は、ハードウェアとソフトウェアの連携により、新しいインメモリデータベースの実現による高性能を目指しています。
インメモリデータベースにより処理の大半をメモリ上で行うことで大幅な性能向上を目指すだけでなく、メモリアクセス性能の向上によりさらなる性能の飛躍を実現します。この優れたメモリアクセス性能は、STREAM注3ベンチマークによっても実証されています。
インメモリデータベースに加え、Software on Chipという先進的な技術によりさらに加速します。

性能には、スループット性能とレスポンス性能という2つの側面があります。
スループットが足りない場合、サーバを増設することで問題は解決できますが、レスポンスの遅さはハードウェアの能力に依存するので、サーバの増設では解決できません。
リアルタイム性が必要とされるビッグデータ処理では高いレスポンス性能が必要となります。SPARC M10は、この点においても、SPECjbb®2013-MultiJVMの中でレスポンス性能を示すcritical-jOPS注4の値により実力を証明しています。

柔軟性と拡張性

さて、もう1つの要件である拡張性・柔軟性に目を向けてみましょう。
SPARC M10ではCPUコア アクティベーションとBuilding Blockという2つの機能を搭載しています。
これら2つの機能によって、さまざまなワークロードに対応することが可能になります。つまり、無駄なハードウェア資源の購入や、それに伴う電力量の消費を回避できるのです。

CPUコア アクティベーションとは、CPU内部にあるコアを2コア単位という細かい単位で購入できる機能です。また、Building Block方式は、SPARC M10-4Sを16筐体接続することが可能です。
最大でコア数が1,024、メモリーは64TBという圧倒的な拡張性が実現できます。また、業務を中断することなく本番システムに追加できるというDynamic Reconfiguration機能(動的再構成)もサポートすることにより、優れた可用性とオンライン・スケーラビリティが実現されます。

これらの機能により、システムに対する投資を最適化できます。

Software on Chip

Software on Chipは、オラクル社と富士通のコラボレーションにより実現した機能です。
従来、ソフトウェア上で行われていた処理を、ハードウェア(プロセッサ)上に組み込むことにより、3つのステップにより飛躍的に性能を向上させています。

STEP1ではOracle Solaris 11、STEP2ではOracle Database 12cで対応を行っており、既に公開済みです。データウェアハウスのアプリケーションで実測したところ、STEP2ではSTEP1から25%の性能向上を確認できました。
STEP3としてインメモリデータベースに向けた対応を予定しており、さらなる高速化が可能です。

Oracle Database開発責任者であるオラクル・コーポレーション シニアバイスプレジデント Andrew Mendelsohn氏も登場。両社の共同開発による成果やインメモリによるデータベースのさらなる進化について語り、二人は固い握手をかわしました。

導入事例

2013年4月に全世界で販売を開始しましたSPARC M10は、既に多くのお客様に採用されています。
豊木は、キヤノン株式会社様をはじめとするお客様の導入事例をご紹介せていただきました。

ロードマップ

さまざまな機能やべンチマーク結果によりSPARC M10の素晴らしさは十分にご理解いただけたかと思いますが、SPARC M10を導入したお客様の声もご紹介しました。

富士通は、今後もプロセッサの開発を継続します。
Hot Chipsにおいて発表したSPARC64™ X+に加え、さらなるプロセッサやテクノロジーの開発に取り組んでまいります。

例えば、開発中である、CMI(Coherent Memory Interconnect)という技術により、ノード間通信においてInfinibandの10倍という圧倒的性能を実現できるでしょう。

SPARC M10は富士通のテクノロジーイノベーションの象徴の1つです。今後も富士通はオラクル社との密接な協調を通して、お客様に最適なソリューションを提供してまいります。


(注1)「SPARC M10」は、オラクルから「Fujitsu M10」というブランド名で販売されています。

(注2)2階層SAP SDベンチマークテストの詳細は、SAP Standard Application BenchmarksOpen a new windowをご覧ください。

(注3)STREAMベンチマークの詳細は、STREAMOpen a new windowをご覧ください。

(注4)SPEC の詳細は、The Standard Performance Evaluation Corporation(SPEC)Open a new windowをご覧ください。