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Fujitsu

Japan

富士通サーバ ISV/IHV技術情報
小規模ラックソリューション


中央電子株式会社 様

初版:2016年9月27日
改版:2018年9月18日 (「セキュリティラック」の新製品への切替)

Rack Solution

改版:2020年2月10日 (「静音ラック」の新製品への切替およびSMARTCABINETの掲載)

はじめに

中央電子株式会社
プロダクトソリューション
事業部
MEDEX部
市川 竜也氏

IoT/5G時代に向けて、ビジネス環境の急激な変化への対応やコスト削減、業務改革などの必要性からクラウド活用のメリットが幅広く浸透し、多くの企業でクラウドへの移行が加速してきています。
クラウドサービスは利便性や初期導入コストなどのメリットが(得られる場合が)ある一方で、膨大なデータを処理するためにクラウドーエッジ間のコンピュータリソースやネットワークを最適化することが必要です。また、セキュリティや処理速度などの問題からクラウドへ移行できないシステムもあるなど、導入にあたっていくつかの課題や、実際に運用で困っている企業も多く見受けられます。
このため、まだまだ企業内のサーバルームで継続運用しているのも事実です。
一方、コスト削減などを目的にサーバルームの規模縮小化なども進められ、オフィス環境にラックを設置しシステム運用するケースも増えております。
このような中、従来問題なく設置していたIT機器が、最新モデルへのリプレースを機に、熱や騒音が問題となり対策が必要となるケースや、IT機器の小型かつ高密度化により、ラック内の集積数が向上することで、逆に電源ケーブルやネットワークケーブルが増え、煩雑化し、ケーブルマネジメントで苦労しているケースなど、新たな課題も見えてきており、これまでとは異なる「ラックファシリティ」の考慮も必要になってきています。

今回、高信頼性と高付加価値にこだわり、システムラックやセキュリティ製品、遠隔監視製品など、常にお客様の立場で最適化するシステムを創造する、中央電子株式会社(所在地:東京都八王子市、代表取締役:松井 達之、以下、中央電子)の市川 竜也氏に、ラックファシリティを検討する際のポイントについて、お話しを伺いました。

オフィス環境に最適な「小規模ラックソリューション」についてご紹介いただきます。

ソリューション提案

サーバルームからオフィス環境への設置環境移行

オフィス環境へ移行する際の課題

サーバルームからオフィス環境にIT機器を移行する場合、従来のサーバルームには無い考慮が必要です。
IT機器の小型高密度化による周囲温度の上昇について、IT機器だけを重点的に冷やす対策が必要になってきます。また、サーバルーム内では気にすることがないIT機器の騒音も、オフィス環境では対策が必要になる場合があります。さらに、入室管理の徹底されていたサーバルームのセキュリティや管理者が行っていた電源を含む周囲環境管理をオフィス環境でどう維持していくかも大きな課題です。

ラックファシリティ検討のポイント

オフィス環境でIT機器を運用するにあたり、ラックファシリティの面で検討が必要なポイントがあります。
主なポイントとしては、「冷却」、「騒音」、「セキュリティ」などがあります。
例えば、同じ設定温度のオフィス環境であっても導入する機器の性能、用途により、ラックファシリティの対応方法は異なります。

中央電子では、エコサーバからハイパフォーマンスコンピュータまで提供する富士通のIT機器を、様々な設置環境や設置条件に対しても最適かつ安心して、お客様がお使いいただけるよう、富士通と連携しながら最適な「ラックソリューション」を提供しています。

今回は、検討ポイントの中から、「冷却」、「騒音」、「セキュリティ」について、オフィス環境に最適な中央電子のラックソリューションと合わせて紹介します。

オフィス環境に最適な中央電子のラックソリューション

様々な設置環境、設置条件に適応

クラウドに移行しなかったIT機器や仮想化統合により保有IT機器台数が減少したことなどから、サーバルームまでの規模が不要となり、オフィス環境にIT機器を設置して運用する場合やローカル5Gに最適なラックソリューションを中央電子は提供しています(【図1】)

  1. 静音クーラーラック
    オフィスの空調は、サーバルーム専用空調に比べて冷却能力が劣るため、IT機器の周囲温度はオフィスの設定温度28℃を大きく超える場合があります。
    静音クーラーラックは、IT機器に適した温度環境を保ち、安定稼働を可能とします。
  2. 静音ラック
    サーバやIT機器から発生する「人が不快に感じる音(2000~5000Hz)」をカットします。
    新型「静音ラック」は騒音減衰量 最大-30dBを実現しました。
  3. セキュリティラック
    サーバの多数をクラウド化し、クラウドに移行できない数台のサーバのみオフィスに置きたいが、その数台のためにサーバルームを維持するのは、費用がかかります。
    必要最低限のラック設置スペースが用意できれば、サーバルームとして使っていた一部のエリアを居室として利用できるようになります(【図4】内、利用イメージ)。
    その際に、サーバを搭載するラックを「セキュリティラック」にすることで、セキュリティを担保できます。
    また、サーバルーム全体を冷やす大型空調機が不要となり、費用を削減できるだけでなく、電源を含む周囲環境管理を遠隔で実施できます。
  4. SMARTCABINET
    冷却、電源、UPS、監視、セキュリティなどのITインフラを集約したオールインワン型のインテリジェントラックです。
    サーバルームの構築や移設には費用と時間がかかります。SMARTCABINETはラック1台のスペースと電源、ネットワークを用意するだけで短時間、低価格ですぐ使用可能な小さなサーバルームを構築できます。
    また、電源を含む周囲環境管理を遠隔で実施できるため、システムの安全な運用が行えます。

【図1】

オフィス環境設置の熱対策 : 静音クーラーラック

サーバルームにおける、IT機器の推奨温度範囲は「18~27℃」です。
しかし、昨今のクールビズの浸透からオフィス内温度が「28℃」に設定されるケースが多くなったことに加え、サーバルームなどの専用環境に比べ、冷却性能が低いことや窓面積が大きく外気の影響を受けやすいことなどから、推奨温度範囲を越えるため、熱対策が必要になる場合があります。
そこで、オフィスでもサーバルーム相当の熱対策を可能とするのが、「静音クーラーラック」(【図2】)です。
オフィス環境では、熱対策に加え、オフィス設置推奨の「50dB以下」の静音性や設置の容易性も求められます。
中央電子の静音クーラーラックはラック外への音漏れを50dB以下にでき、静音性に優れています。
また、冷却のための室外機はなく、配管工事も不要なことから、簡単に設置でき工事費用を大幅に削減できます。

オフィスは、データセンターや工場とは異なり、狭い搬入口が問題となる場合もあります。
静音クーラーラックは、ラック本体とクーラーユニットを分離できるため、狭い搬入口での導入が容易です。
さらに、設置後のレイアウト変更でも、静音クーラーラックにはキャスターが付いているため、簡単に設置場所が移動できます。

サーバルームからオフィス環境への移行で問題となるセキュリティ対策については、オプションの電気錠の設置により、不正開錠(許可された担当者以外のラックドアの開錠)を防止できます。また、環境監視装置を設置することで、ラック内の温度異常の検出や通知、扉の開閉状態などサーバルーム並みの監視を行うこともできます。
※ラックのセキュリティ対策や監視については、静音ラックや簡易防塵ラックへも適用することができます。

【図2】

【参考】
ソリューション映像紹介
静音クーラーラック 減音効果の性能検証Open a new window

オフィス環境の騒音対策 : 静音ラック

多くのIT機器は機器内部の温度が上昇すると、冷却ファンを高速化させることで内部温度の上昇を防いでいます。しかし、ファンが高速化することで騒音値も上昇する場合があります。
IT機器の高密度化により、オフィス設置推奨の「50dB」を大幅に超える騒音値になるIT機器も増えています。
このような場合、 騒音減衰量「-30dB」を実現する防音性能の高い「静音ラック」(【図3】)を採用することで、騒音値をオフィス設置推奨の「50dB」以下に改善することができます。
中央電子の静音ラックは独自の消音機構によりラック内に搭載されたサーバやIT機器からの騒音を低減するとともに「人が不快に感じる音(2000~5000Hz)」もカットし、騒音によるストレスから解放し静かなオフィスを提供します。
また、大風量ファンを採用しIT機器などの発熱を効率よく放熱できるため、熱によるIT機器の故障を防止します。

【図3】

【参考】
ソリューション映像紹介
静音ラック 減音効果の性能検証Open a new window

オフィス環境でのセキュリティ対策 : セキュリティラック

サーバルームからオフィス環境に移行後、セキュリティレベルの維持が課題となります。
オフィス利用者はサーバルームに比べ対象が広く、ラックにはサーバルーム相当のセキュリティ対策を検討する必要があります。
そこで、ラックドアの物理的なセキュリティとして、「セキュリティラック」(【図4】)の活用が効果的です。
中央電子のセキュリティラックはFeliCaなどの非接触カードリーダや指静脈などの各種認証装置をセキュリティレベルに合わせて選択できます。
物理鍵では監視できない「いつ」「だれが」「開けた」などの履歴はもちろん不正アクセス(こじ開け)の履歴(ログ)も確実に残せるため、万が一不正があった場合でも追跡できます。
なお、中央電子では、「静音クーラーラック」や「静音ラック」も電子錠によるラックドアセキュリティに対応し、さらに、電源を含む周囲環境管理を遠隔で実施できます。

【図4】

【参考】
セキュリティラックOpen a new window

オフィス環境での冷却・電源・監視対策:SMARTCABINET

オフィス環境や支店・営業所など点在する企業の拠点で稼働するIT機器の安定稼働を考慮する場合、IT機器の設置環境が重要です。しかしながらサーバルームの構築や電源、空調機の設置などに費用と時間が掛かってしまいます。
これらの対策として「SMARTCABINET」(【図5】)の活用が効果的です。
冷却、電源、UPS、監視、セキュリティなどのITインフラを集約したオールインワン型のインテリジェントラックのため、ラック1台のスペースと電源、ネットワークを用意するだけで短時間、低価格で最適な設置環境をすぐ構築できます。
中央電子のSMARTCABINETはEIA-19インチ規格の構造のため、サーバやIT機器も標準的なラックと同様に簡単に実装できます。
また、ラック内環境を監視するソフトウェアが付属しているため、電源を含む周囲環境管理を遠隔にて実施できます。

【図5】

【参考】
SMARTCABINETOpen a new window

富士通のラックファシリティを側面からサポート

IT機器の小型高密度化や様々な設置環境の稼働状況により、ラックファシリティの考慮も異なります。 中央電子は、富士通との様々な情報交換や検証を通し、お客様が富士通のIT機器を最適な環境で利用いただけるよう、ラックファシリティを側面からサポートしています。 例えば、小型化(薄型)した機器では、数台の搭載では気にならない電源接続やケーブルの処理も高集積化した場合、電源を最短で接続できる0UタイプのPDUの活用が有効です。 IT機器のネットワークケーブル量も比例し増加するためケーブル収容性の改善へ富士通ラックの背面を拡張する「背面拡張枠」を開発するなど、設置環境に適したラックアクセサリを提案しています。

なお、富士通ラックに搭載検証したアクセサリは、「検証事例」として「富士通サーバ ISV/IHV技術情報」へ公開しています。

小型かつ高密度化したIT機器のラック集積 : 背面拡張枠

昨今、サーバ、ストレージなどのIT機器の奥行が長くなる傾向にあり、搭載機器の高集積化対応やケーブルマネジメント、電源接続のスペース不足の解消、メンテナンス性の考慮が必要となります。
それらを対策・改善するのが、「背面拡張枠」(【図6】)です。
この「背面拡張枠」は、ラックに十分な奥行きがない場合に、ラック背面側に取り付けて拡張することで、ケーブルマネジメントのスペースと電源接続するPDUスペースを分離することができ、保守性や熱による影響を防止します。
既存ラックの背面扉をはずし、拡張枠を既存ラック上部に引っ掛け、ボルト(6か所)で固定するだけで簡単にサーバラック奥行の延長ができます(取りはずした既存ラックの背面扉はそのまま拡張枠へ取り付けられます)。

【図6】

なお、本製品の詳しい検証内容は、「富士通サーバISV/IHV技術情報」をご覧ください。

【富士通サーバ ISV/IHV技術情報】
検証事例
富士通製19インチラック:モデル19R-2642、19R-2742への背面拡張枠の実装検証

多種多様な設置環境に対応する、中央電子のラックソリューション

多くの企業でクラウドの積極利用が拡がる一方で、セキュリティ上の不安などから、どうしてもクラウドへ移行できないシステムもあり、まだまだ企業内のサーバルームやオフィス環境で継続運用しているケースも増えてきております。
また、IoT/5G、ローカル5Gにおけるエッジサーバラックの必要性により、これまでとは異なる「ラックファシリティ」の考慮が必要になってきていることから、今回、「小規模ラックソリューション」と題し、クラウド移行やIT機器のリプレースによる設置環境における課題とその対策ソリューションについてお話ししました。

多種多様化するIT機器の設置環境では、信頼性、安全性の高さが要求され、環境の変化に合わせて柔軟かつ確実に対応可能なソリューションの提供が必須となっています。

中央電子は、高信頼、高性能な富士通IT機器を、いかなる設置環境においても最適にご利用いただける「ラックソリューション」を、これからも多くのお客様に提案いたします。

お問い合わせ先

中央電子株式会社
プロダクトソリューション事業部 MEDEX部
icon-telephone 042-623-1221
フォームでのお問い合わせ:https://www.cec.co.jp/contact/contact_rack/contact.htmlOpen a new window
Webサイト:https://www.cec.co.jp/cec/Open a new window

注意事項

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