「極限状態が人を鍛え、技術を鍛える」中嶋一貴氏の想いに迫る

モータースポーツを通して未来を切り拓くための変革と挑戦を続けるトヨタの姿勢が、カーボンニュートラルな世界の実現をはじめ、社会課題の解決に向けた事業展開を目指す当社の想いに重なり、強く共感し、富士通はTOYOTA GAZOO Racingに協賛することになりました。
今年からTOYOTA GAZOO Racing Europe 副会長として勝利に向け幅広く活動をされている中嶋一貴さんにお話を伺いました。

目次
  1. レースに挑戦するということ
  2. 勝つために大切なこと
  3. チーム力を高めるために
  4. 富士通に対して

レースに挑戦するということ

――レースに挑むのは、もっといいクルマづくりのためと伺いました。詳しく教えてください。

はい。レースは極限状態です。挑戦を続けることが人を鍛え、技術を鍛えます。そのことがもっといいクルマづくりにつながります。例えば、ハイブリッドエンジンや水素エンジンもそうです。ひとつひとつの積み重ねは必ず脱炭素社会の実現につながります。また、クルマがよくなることで生活の質の向上や地域活性化にもつながるのではないでしょうか。私たちはレースに挑み続けることでよりよい社会を目指しています。

勝つために大切なこと

――勝つために何を大事にされていますか

ドライバーやエンジニアの技術面はもちろんですが、多様性を強みにしたチームマネジメントが大事だと考えています。会議には現地スタッフを必ず加えるなど日本人だけにはしないようにしています。意見が偏らないことを重要視しているためです。一方で、まとめるためのリーダーシップや目的の共有は必要です。レースは比較的目的を共有しやすい場ではありますが、とても意識しています。

チーム力を高めるために

――チーム力が上がったと実感したことはありましたか?

昨年のル・マンで燃料計のトラブルが発生。通常であればパーツ交換、すなわち優勝を逃す結果になっていてもおかしくない状況でしたが、エンジニアとドライバーが力を合わせ、何とか交換せずに走り切り、優勝することができました。5年前同じ状況だったらできてなかったと思います。

――なぜできたのでしょうか?

日頃からコミュニケーションを深めているためだと思います。どんな状況でもあきらめないこと、勝ちにこだわる風土を醸成できているのだと思います。さらには、トップのメッセージも大きいです。今回はベストなタイミングでモリゾウさん(※)から「勝つために一人一人自分が何をできるのか考えて臨んでほしい」とのビデオメッセージが届きました。あれは大きかったです。

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富士通に対して

――富士通に対してはどのように思われますか

TOYOTA GAZOO Racingでともに戦っていただけること本当に感謝しています。レースに勝つためには、データ分析や最適解をいかに早く見つけるかが大事になってくるので、富士通さんの力をお借りできればと思っていますし、それを極限の中で実行していくことで、よりよい世の中を作ることに結び付けていければと思っています。

【中嶋一貴さんプロフィール】

愛知県出身の元レーシングドライバー。2007年にF1テストドライバーに、2008年からF1に2シーズン参戦。2012年からWECに参戦し、2018年から2020年にかけて日本人初のル・マン24時間3連覇、2018-2019シーズンにはチャンピオンを獲得した。2021年に現役を引退し、現在はTOYOTA GAZOO Racing Europe副会長に就任。

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