「次世代により良い世界を」—SX経営を支援する卓越したノウハウとイノベーション

2030年の「SDGs達成」、および、2050年の「主要な社会課題が解決された豊かな社会の実現」に向け、多くの企業がサステナブルなビジネス構築に向けた取り組みを始めています。一方で、持続可能性を重視した経営への方向転換を意味するSustainable Transformation(SX)のための具体的な道筋や方法が見えにくいことも事実です。

富士通とRidgelinez(リッジラインズ)は、カーボンニュートラル実現に向けた自社グループの取り組みで得たノウハウを反映したSXコンサルティングサービス、およびCO2排出量算定・可視化サービスで企業のSDGs達成を支援し、人と地球の共存を目指しています。

いま、企業がSXを経営の優先課題として取り組んでいくことの意義、注力していくべきことについて、Ridgelinezプリンシパル 藤川正太と富士通 Uvance本部 青木健司に聞きました。

目次
  1. 事業継続の根幹に関わるSXとカーボンニュートラル
  2. 豊富な知見で企業の負担を減らすSXパートナーに
  3. 次世代につながるサステナブルな社会を目指す

事業継続の根幹に関わるSXとカーボンニュートラル

――サステナビリティを高める経営を目指す企業を支援する、Ridgelinezと富士通の取り組みとは、どのようなものでしょうか?

藤川: クライアントに対して、企業活動の中で社会課題を扱うための提案を行い、ESG(環境・社会・ガバナンス)を取り巻くSXの8課題(※1)を解決するためのソリューションを提供します。特に重視しているのは、着実なコンサルテーションによって実践につなげていくための流れを作ることです。

  • ※1
    SXの8課題: GHG気候変動 、エネルギー、水 、廃棄物、生物多様性の5つの環境課題、および、身体的人権、精神的人権、社会的人権の3つの社会課題から成るRidgelinezが定めるターゲットスコープ

青木: 私たちは、Ridgelinezと連携をし、SDGsの達成やサステナブルな経営を目指すお客様に対してSXに関するコンサルティングを行う一方で、具体的な取り組みに必要なサービスの提供をさせていただきます。お客様に対して、富士通のテクノロジーの活用や、様々なパートナー様との連携により、カーボンニュートラルに寄与するサービスを企画することが私の役割です。その最初のステップとして、CO2排出量の可視化ソリューションの提供を開始致しました。

――コロナ禍によってダメージを受けたサプライチェーン企業は、ビジネスの現状維持だけで手一杯で、SX実現に向けた取り組みにまで手が回らないとの見方もあるようですが、どのようにお考えでしょうか?

藤川: 既に国際的な取引では、調達基準にサステナビリティ要素を組み入れてアップデートしている企業が多数でてきている中で、SXやカーボンニュートラルへの取り組みを進めなければ既存のビジネスボリュームさえも失うリスクがあり、「ミニマム・マスト」(最低限の必須事項)として捉えるべきと考えます。スピーディーに対応し、マーケットにPRしていくことで、既存ビジネスを維持し、さらには拡張させていく攻めの戦略になりえます。

青木: 製造業のお客様におかれましては、日々、ものづくりの現場で実践されている効率化や、匠のノウハウ継承のためのデジタル化、機械化・自動化などのアクションそのものが、ものづくりや、人やモノの移動、設備の稼働などに関わるCO2の排出量を減らすことにもつながっています。その意味では、品質・コスト・納期の改善を目指すQCD(※2)の延長に、環境改善を含むQCDE(※3)のKPIがあり、ハードルの高い取り組みではありますが、様々な現場、様々なステージでそのKPIを可視化し意識できるようにすることが、カーボンニュートラルにも貢献していくことになると考えています。

  • ※2
    QCD:製造業における生産管理で重要な、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の3つの要素の頭文字からなる指標。QCDの改善が顧客満足度の向上につながる。
  • ※3
    QCDE:QCDにEnvironment(環境)を加えた指標で、商品価値を高める上で生産過程における環境負荷の低減が重要であることを示す。

――SXやカーボンニュートラルへの対応という点で、日本と世界の企業に違いはありますか?

青木: 本テーマにおいては、グローバルで様々な取り組みが開始されています。ルールメイクという観点では、欧州が先行しており、国境炭素税(※4)の導入など、カーボンニュートラルへの取り組みを戦略的に推進している認識です。また、アメリカでも先進企業の取り組みのみならず、政府としての政策も加速をしています。
地域によらず、大規模なサプライチェーンにより、グローバルに商品やサービスを届けている企業は、情報開示に積極的に取り組んでいかなければなりません。また情報開示や削減の実行という観点においては、企業として投資や様々なリソースを必要とします。迅速に対応するために規制の動向や各企業の取り組みに注視する必要があります。

藤川: それでも、日本が環境先進企業を生み出す可能性は大いにあります。国際標準でCO2の可視化や、関連データを企業間で守秘性を担保して流通させるプラットフォームプレーヤーがまだ存在しないからです。一方で、スコープ3(※5)の算出までやりきれている企業もないため、SXを経営の優先課題として経済合理性の再定義を行える企業が、イニシアチブを握る可能性もあるでしょう。

  • ※4
    国境炭素税:「鉄鋼」「セメント」「肥料」「アルミニウム」「電力」の5品目について、EU域内の輸入業者が域外から製品輸入をする際に、CO2排出量に応じた炭素価格を支払う制度。2026年以降に実際の税負担が義務付けられる。
  • ※5
    スコープ3:サプライチェーンにおけるGHG(温室効果ガス)の排出量を算定するうえでの範囲を「スコープ」と呼び、スコープ1は、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。スコープ2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。スコープ3は、スコープ1、2以外の間接排出と定義される。
  • 参考:

豊富な知見で企業の負担を減らすSXパートナーに

――具体的なカーボンニュートラルへの取り組みは、どのようなプロセスを通じて行われるのでしょうか?

青木: まず既に取り組まれているお客様が多いと思いますが、情報開示や削減に向けてアクションを実行するためには、現状を把握する必要があります。それは、CO2排出量を企業単位で算出することです。スコープ1やスコープ2さらにスコープ3を含めた算定や可視化に向けて、富士通社内での実践ノウハウを活用しながら算出のお手伝いをさせていただきます。
次に、削減に向けては、情報の粒度を細かくしていく必要があります。拠点や工場、製造ライン、設備、製品ごとにデータを収集し、CO2排出量の削減に有効な施策箇所のスコープの絞り込みが必要です。

藤川: 排出量削減に向けては、サプライチェーンにおける静脈産業(※6)の改革やバイオマスの活用などのコンサルテーションも推進します。例えば、製品のシェアリング化推進による利用サイクル延長や、製造・物流で使用する燃料のバイオ燃料への代替などにより、排出量削減に貢献する事が可能です。
また、排出量削減を含めたサステナビリティに関する取り組みはブランディング及び企業価値向上のために外部への開示も重要です。こうした非財務情報の開示に関しては、デジタルを活用し効率化を促すなど、一連の取り組みを外部マーケットへ開示するまでを支援するコンサルテーションも想定しています。今後上場会社においては、非財務情報の開示が義務化されるトレンドがある中、例えばTCFD(※7)の枠組みに従った外部開示支援なども行う事で、高品質な開示を効率的に実現するコンサルテーションも提供していけたらと考えています。

  • ※6
    静脈産業:製造業など製品を生み出す「動脈産業」に対し、その廃棄物を回収して再生・再利用、処理・処分などを行う産業を「静脈産業」という。
  • ※7
    TCFD:金融安定理事会(FSB)が2015年に設立した、世界経済にリスクを与えている気候変動の影響に関して包括的な財務情報の報告を促す「気候関連財務情報開示タスクフォース」

青木: あらゆるセクターのお客様からお問い合わせを頂いていますが、ボリュームとしては、やはり製造業のお客様が多く、規制の動向や情報開示といった部分に高い関心をいただいています。

――SXコンサルティングでは、ESGを取り巻く課題解決のためのソリューションを提供されていくとのことですが、それぞれの課題をどのように受け止め、どのような価値を提供できるとお考えでしょうか?

藤川: 5つの環境課題に対してバランスよくコンサルテーションのメニューを構築してクライアントに提供することが重要と考えています。また、こうした環境課題の解決に取り組む企業には、社会的な健全性が求められるため、身体的、精神的、社会的人権に表される社会課題についても同様に重要です。
そうした取り組みの標準化に関しては、業界団体などに働きかけてルールメイキングに貢献すること。環境先進企業である富士通が持つCO2の算定・可視化やTCFD関連のノウハウを企業に提供したり、Ridgelinezがグローバルな観点からベンチマークとなる仕組みをコンサルテーションを通じてマーケットに落とし込んで、フレームワークを形成すること。そして、企業間をつなぐコンソーシアムに参加して業界横断の取り組みを推進すること。この3つを通じて支援していきます。
また、取り組みの加速については、富士通ならではのシステムソリューションによる自動化の推進が可能ですし、ベンダーフリーであるRidgelinezの特徴を活かして富士通と他のテックメーカーやテックベンチャーとのコラボレーションによる支援もできる強みがあります。

青木: これらの課題解決に向けてテクノロジーを駆使し、また、様々な企業様との連携により、情報の収集や可視化、データの流通に向けたハードルを少しでも下げることにより、「やらなければいけない取り組み」から、「実際に向き合うおひとり、おひとりが、自身の取り組みの状況を具体的に把握し、効果や貢献を実感できる取り組み」へと変えていくことも私たちの役割と位置付けて、企画を推進していきたいと考えております。

――富士通やRidgelinezと共に社会課題の解決を目指す可能性のある、潜在的な企業に対してアドバイスをお願いします。

藤川: ひと言で表すならば、「早く取り組みましょう!」に尽きますね。今、動かなければ企業競争力を失うことにつながります。各社のCXOの方々は、グローバルなガイドラインを「ナイス・トゥー・ハブ」(準拠できたら素晴らしい)ではなく「マスト・ハブ」(必ず準拠すべき)と考えて取り組むことが必要であり、向こう3年くらいの事業に対するサステナビリティのインパクトを予測して、課題の重要性を可視化することが重要といえます。

青木: 規制や情報開示への対応、取引先からの要求など取り組んでいかなければならない事項も多いと思います。また、変化もしていくことと思います。しかし、一方でお客様ご自身の事業の専門性を活かして、経済性と環境配慮の両軸を訴求できるような新たな価値を生み出していくことで、人と地球の共存に向けて、お互いに共感し合って、一緒にチャレンジができればと思っています。

次世代につながるサステナブルな社会を目指す

――では最後に、ご自身のパーパスと、より多くの企業のSDGs達成に貢献されていくにあたっての抱負をお聞かせください。

藤川: 私は、次の世代が生きやすい社会を作るということを、現在の人生のパーパスとしています。そのためには、サステナビリティや、その上位概念としてのSDGsの達成が欠かせません。中でも社会のバリューチェーンに対して最も影響が大きいものが環境問題です。そこで、その解決に向けたきっかけ作りをしているわけですが、必然的に2050年まで向こう28年にわたる長期的な取り組みとなるため、これが仕事上のパーパスでもあります。
そうした観点から、私は個々の企業に対し、コンサルテーションやシステムソリューションを通じて価値を提供したうえで、複数の企業に対する共通のメニューを構築していきたいと考えています。1社ごとの対応では、社会的な価値が限定的になるためです。この取り組みの一環として、直近では、上場企業2180社を対象に、TCFDの年次対応業務の負担を軽減するための自動化・標準化のプラットフォームを打ち出していく予定です。

青木: 私のパーパスは、未来の子どもたちに、より良い世界を届けることです。特に、昨今の環境の変化や気候変動などにより、様々な抑止のもとに生活せざるを得ないという状況がいたるところで起きてしまっています。企業の取り組みと、日々の生活をリンクさせることは容易ではないかもしれません。しかしながら、テクノロジーを駆使して、お客様や社会全体がこのカーボンニュートラルという非常に高い目標にチャレンジをする際のハードルを、少しでも下げることができたら、私たち自身の生活の中で、CO2排出量という情報に触れる機会が増え、意識が高まるきっかけになるかもしれません。そして私たちの意識や価値観の変化が企業活動にも大きく影響を与えることになると思います。特定の企業や団体のみでの取り組みではなく、広くバリューチェーン全体での取り組みが必要不可欠です。そのためにも、企業や業界、国や地域を超えて、様々な領域の方々と一緒にイノベーションを起こし、SDGsの達成や人と地球の共存に貢献していくことが私の目標です。

藤川正太(ふじかわ・しょうた)

Ridgelinez(リッジラインズ)
Principal, Sustainability Transformation Practice Leader,Telecom, Media & Technology Practice Leader

外資系総合コンサルティングファーム戦略グループのパートナー職を経て現職。通信・ハイテク・金融等に対し、先端テクノロジーを活用した事業立ち上げ・組織改革・SCM改革等のDXを多数手掛けてきた。近年においては、カーボンニュートラル、Well-Being等、SDGs達成に特化したSXコンサルティングも手掛ける。

青木健司(あおき・けんじ)

富士通
Uvance本部Sustainable Manufacuring
Portfolio Strategy室
Senior Manager

富士通入社後、重工業や自動車業界を中心に製造業向け営業を担務。
設計~生産を軸にしたものづくり領域や勘定系含めた業務システムを導入。
また、SAP活用によるDXビジネスの推進や、お客様海外工場の立ち上げを支援。
直近はDXビジネスコンサルタントとしてお客様におけるDXの支援を行いながら2021年よりUvanceプロジェクトに参画、新サービスの戦略企画に従事。

ページの先頭へ