The Power of Resilience ~デジタルテクノロジーで実現するサステナブルな社会~

レジリエントな社会を目指して
富士通株式会社
代表取締役社長
時田 隆仁
目次
  1. パンデミックによるインパクト
  2. 新しい世界をつくる5つのトレンド
  3. 未来をつくるための企業の役割
  4. 富士通のパーパス
  5. 2030年の世界
  6. サステナブルな社会を実現するDX
  7. DXを支えるデータ活用
  8. グリーンな社会づくりへ
  9. レジリエントな社会を目指して

6月7日〜8日の2日間、「ポスト・ニューノーマル ~レジリエントな社会を目指して」をテーマに、デジタル技術をリードする国内外の有力企業経営者や有識者などを招き、ポスト・ニューノーマル時代に向けた社会や企業の進むべき方向性を議論する場として「世界デジタルサミット2021」(主催: 日本経済新聞社、総務省)が開催され、富士通の時田隆仁(代表取締役社長・CEO・CDXO)が登壇しました。

「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスを掲げ、自身の変革に取り組む富士通が考えるポスト・ニューノーマルな社会とはどのようなものでしょうか。時田は自身の講演で、パンデミックなどの予期せぬ衝撃にも折れることなく、自らを変えながら変化に対応し乗り越えていけるしなやかで自立的な強さ「レジリエンス」が、新たな社会をつくるのにもっとも重要だと述べています。

また、現在世界中で国連が定めた持続可能な開発目標、SDGsの達成に向けて様々な取り組みが行われていますが、そのゴール年である2030年に誰も取り残されない、サステナブルでグリーンな世界を実現するためにも「レジリエンス」は重要であり、様々な強みをもつ企業やアカデミアなどとつながり、目的を共有しながら今からともに取り組むことが欠かせないと強調しました。

ここでは、その講演の内容を抜粋してご紹介します。

パンデミックによるインパクト

「COVID-19のパンデミックによって、世界は一変しました。パンデミックによって世界のGDP(国内総生産)は、3.3%減少したと言われています。特に、人の動きが制限されたことに伴い、観光産業の収入は135兆円もの打撃を受けました。また、世界中で学校が閉鎖され、15億人が教室での授業を受けられなくなりました。

オフィスに行かない勤務、人が物理的に集まらない大規模イベントなど、経済や人々の生活に、私たちの価値観に大きな影響を及ぼしました。そして、もう以前の生活に戻ることはないだろうと言われています」

「一方で、ロックダウンによって行動が制限されたことにより、オンラインショッピングが、人々の生活の生命線を担うことになりました。これにより、全世界でのeコマースの取引額は、前年比で27.6%上昇しました」(出典 : eMarketer Global Ecommerce Update 2021)

新しい世界をつくる5つのトレンド

「このニューノーマルの世界において、企業経営で優先的に取り組むべき課題は何か、世界9か国で企業の意思決定層の方々1,200人を対象に、調査を行いました。その中で、半数以上となる57%の方が、変化への対応力『レジリエンス』を挙げています。今回の調査から得られた洞察と、経営層の方々との対話に基づき、新しい世界をつくるためのテーマを5つに整理しました。

もっとも重要なのは『レジリエンス』です。
レジリエンスとは、予期せぬ衝撃にも折れることなく、自らを変えながら変化に対応し、乗り越えていける、しなやかで自立的な強さです。それには、スピードがキーとなります。当社も、早い段階でテレワークを実行し、ビジネスやお客様のサポートの継続を図りましたが、今回のパンデミックでは、企業や都市がいち早く価値観を変え、テクノロジーを活用しながら劇的な変化に対応できるかが、ビジネスや生活の回復の差につながったと言えるでしょう」

未来をつくるための企業の役割

「この不確実な時代における、企業の役割を考えてみました。
企業は、これまで消費者や企業など、特定のステークホルダーに対する価値提供を、事業の目的としてきました。これからは、自社の顧客やビジネスパートナーに加えて、社員やその家族、投資家、そしてコミュニティなど、人を起点とする幅広いステークホルダーとつながる『Business to Everyone』となっていきます。複雑化する社会課題を解決し、世界をより強く、持続可能にしていくためには、このように国や地域を超えて人々とつながり、価値を提供している企業がもつ力を、解決の力としていくことが不可欠です。
企業が、自身の変革を進め、自らがレジリエントな存在になること、そして、ビジネスの目標と社会の目標を一致させ、ビジネスを通じて社会課題の解決のための価値を提供していくことが、社会のレジリエンスを高め、未来をつくる力になります」

富士通のパーパス

「富士通は、この不確実な時代にどのような役割を担っていくべきか、自身の社会における存在意義、パーパスを、『イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと』と定めました。今、すべての企業活動を、このパーパス実現のための活動としています」

2030年の世界

SDGsのゴール年である2030年は、どのような世界となっているのでしょうか。

「2030年は、サステナブルで誰も取り残されない社会とグリーンな未来の実現に向けて、より、生活者視点での価値観と、社会課題の解決に立脚したイノベーションが生まれると考えています。

たとえば、『ヒューマンセントリック』です。
一人ひとりのウェルビーイングや個性が重視され、よりパーソナライズされたサービスが生まれます。

続いて、『予測・予防』です。
たとえば、AIによる災害などの予測や、医療分野での予防医療などが拡大します。

そして、『コネクテッド』です。
誰もが安心・安全に生活でき、信頼されたデジタル社会とつながる、コネクティッドライフが実現されます」

サステナブルな社会を実現するDX

「このような社会を実現するために取り組んでいくべきことについて、今後も大きく変化していく世界で起こり得る社会課題、イシューを想定し、そこから業種横断なクロスインダストリーとして、注力していく重点分野を定めました。

“つくる” を支える『Sustainable Manufacturing』、
“つかう” を支える『Consumer Experience』、
“暮らし” を支える『Healthy Living』、
そしてそれらを実装する『Trusted Society』
この4つの分野への取り組みが、サステナブルな社会の実現を支えます。

この4つの分野のうち、『Sustainable Manufacturing』、『Trusted Society』の2つを例に、方向性や未来につながる取り組みをご紹介します」

Sustainable Manufacturing

「世界最大級のビール生産量を誇る大手ビール製造会社のアンハイザーブッシュ インベブは、ビールの原材料となる大麦、ホップなどといった自然材料が、高品質かつ持続可能に生産されていることを、重視しています。そのため、生産者である農家から、加工を行う製粉・醸造所、倉庫や運送業者など、消費者に届くまでのサプライチェーンを、完全に透明化することを目的に、すべての関係者をブロックチェーン技術でつなぐ実証を開始しました。

フランスにおいて、同社のビール100万本に、試験的にQRコードが貼付されました。消費者は、このコードをスキャンすることで、ビールの大麦がどこで栽培され、収穫され、麦芽にされたかを知ることができます。同社では、各プロセスで収集されるデータを活用し、トレーサビリティを向上させるとともに、より持続可能な栽培を支援していくことを目指しています」

Trusted Society

「広島県にある大崎上島町は、瀬戸内海のほぼ中央に位置する島にあります。
人口約8,000人のうち、65歳以上の高齢者が約45%を占めています。人口減少が進む大崎上島町では、公共交通機関の存続が危ぶまれるとともに、自家用車の運転が困難になる高齢者が増加しており、人々の暮らしを支える、生活の足を確保するため、自動運転技術を活用したスマートアイランド化の実証を行いました。
一つは、自動運転車両による送迎サービスです。利用者がネットや電話で予約すると、指定した時間と場所に自動運転車両が迎えに来て、指定の場所まで送迎するものです。
もう一つは、自動運転車両による配送サービスです。利用者から注文を受けた宅配品提供者が予約すると、自動運転車両が宅配品を受け取り、利用者の自宅まで配達するものです。参加された住民の方から期待の声も頂いており、島内における新たな交通・物流手段としての有効性の検証を継続していく予定です」

DXを支えるデータ活用

「これからの時代は大量のデータをいかに有効に活用するか重要なポイントとなります。データを収集・蓄積するためのクラウド、分析・活用する先端テクノロジーがそれを支えます」

「理化学研究所とともに開発したスーパーコンピューター『富岳』は、大規模かつ高速な計算処理を得意としており、既に災害の予測につながる気象や海洋データの分析、新薬の素材の開発などに活用されています」

グリーンな社会づくりへ

「さて、テクノロジーが進化し、世界がより便利になる一方で、消費電力の増加など、環境への配慮が不可欠です。

世界のデータ量は年々拡大しており、2030年には現在の約30倍、2050年には約4,000倍にもなるとも言われています。
これらのデータを格納するデータセンターの運用には、機器の冷却などに膨大な電力を必要とします。

富士通では、データセンターを利用するサービス提供に必要な電力を、2022年度までに100%再生可能エネルギーに切り換えることを発表しました。

当社のサービスを利用することで、利用したお客様の環境貢献につながる取り組みを行っていきます」

レジリエントな社会を目指して

「今般、サステナブルな社会の実現に向けて企業が果たすべき役割について、非常に活発な議論がなされています。2030年に人々が豊かで安心して暮らしていける社会を実現するためには、その実現のために必要な仲間とつながり、今からともに取り組むことが、社会のレジリエンスを高めるために不可欠と認識しております。富士通自身も皆様に価値を提供できる強くしなやかな存在となり、様々な強みをもつ皆様とつながり、同じ目的を共有しながら、取り組んでいきたいと思います」

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