デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるICT基盤とは

急速に進むデジタル化の波の中で、人・モノ・企業をデジタル技術で繋ぎ、新たなサービスやビジネスモデルを創出する「デジタルトランスフォーメーション(以下DX)」が注目を集めています。いまや、DXはあらゆる業界・業種の企業が取り組むべき重要なテーマとなっており、DXを支えるICT基盤について、その重要度がますます高まっている状況です。では、企業のDXを支えるICT基盤の実現に向け、どのようなポイントでの検討が必要となるのでしょうか。ここでは、富士通が考えるDXを支えるICT基盤とその検討のポイントについてご紹介します。

DXに不可欠なクラウドとその課題

藪田 有司氏 次世代営業本部
オファリング統括部
シニアディレクター(ハイブリッドIT担当)
藪田 有司氏

現在、ICT予算を増加させている企業はリーマンショック以前の水準まで回復し、中でもAIやIoTといった市場は今後さらに大きく拡大すると予想されています。

企業にとっては、こうした新たなデジタル技術を活用した「新規ビジネスの創出(SoE)」と「既存業務(SoR)の改善」に加え、それらSoEとSoRを上手く連携させることが重要となっています。SoEの新しいシステムデータとSoRの既存システムデータを連携させて、新たな価値を生み出す「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を進めることが、重要な取り組みとなっているのです。

そして、DXの推進に不可欠なのがクラウドです。特に、仮説~検証の繰り返しによる改善が基本となるSoEの領域では、ビジネスの変化に合わせた迅速かつ柔軟なシステム利用が求められます。従って、多くのお客様は「すぐに始める/やめることができるシステムを使いたい」と考えており、こうしたお客様のニーズを受けてクラウドシフトが加速しているのです。

ただし、クラウド活用が進むに従ってその課題も顕在化しており、過去の「サーバ乱立」と同様に、いま「クラウドの乱立」が起き始めています。クラウドは、IT部門が関与しなくても現場部門が容易に導入できます。その結果、企業内にさまざまなクラウドが混在・乱立し始めているのです。

中でも特に懸念すべきは「運用」です。お客様との会話においても「既存システムの運用だけでも大変なのに、とても対応できない」という声が多く聞こえてきます。また、「セキュリティ」も大きな問題のひとつです。もはや、従来の内と外を分けて守る形だけでは、セキュリティを担保することは困難な状況です。

こうした問題を解決し、DXを支えるICT基盤として、利用部門のニーズに応える最適な環境を提供するためには、SoRにおいては「既存システムの標準化・効率化による運用体制とコストの最適化」を、SoEにおいては「DXならではのポイントを踏まえたICT基盤の検討」を行うことが必要となります。

既存システムの「標準化・効率化」によってDXに必要なリソースを確保

既存システム(SoR)の運用で手いっぱいとなっている状況では、DXの検討を十分に進めることは困難です。こうした状況を改善し、DXの検討へパワーをシフトするために重要となるのが「IaaS基盤の標準化/効率化」です。

まずは、それぞれの業務システムについてIaaSを利用することが適切であるかどうか、という点から検討が必要となりますが、お客様との会話においても「IaaSを使いたいけれども、どういう基準で選択すればよいか分からない」という声をよくお聞ききします。確かにICT基盤を選定する際の判断は難しく、検討に工数がかかってしまったり、人や組織による判断のバラつきが生じることで、非効率的な運用を招く原因にもなります。

これに対し、我々は次の4つの観点で検討することをご提案しています。

  1. サービスレベル(可用性)
  2. セキュリティ
  3. インフラ運用
  4. クラウド活用での留意点

例えば「サービスレベル(可用性)」であれば、「サービス停止許容時間」などの検討を行うことになりますし、「セキュリティ」であれば、それぞれの業務で扱う情報の重要度に合わせてセキュリティレベルを検討することになります。また、「インフラ運用」では、利用の申請・承認・返却といったクラウド特有の運用について検討する必要があります。

そして、こうした観点からの判断基準を標準化することにより、クラウドの利用を統制し、検討工数の削減や情報システム部門によるICTガバナンス強化など、IaaS利用の最適化を実現していきます。

なお、IaaS基盤検討のポイント/進め方については、『クラウド乱立のリスクをいかにして回避するか 成功の鍵は「企画~構築~運用」の標準化にあり』にて詳細を解説しておりますので、併せてご覧ください。

SoEにおけるICT基盤検討のポイント

新規ビジネス創出(SoE)においては、扱うデータ量や接続されるサービス/デバイス数など、システムを取り巻く環境が従来のSoRとは大きく異なるため、ICT基盤についても「エッジ連携」や「デバイス管理」をはじめとした新たな要素が求められることとなります。今回は、そうした新たな要素の中から「API管理」と「セキュリティ」の2つを取り上げ、ご紹介します。

安全・便利にAPIを提供・利用するための仕組み

DXの実現に向けては、新規サービスの開発・改善サイクルを素早くまわすことが必要であるため、外部サービスの積極的な活用や、既存の基幹システムとの連携性を高めることが重要です。また、SoEではAIやIoTなどの新しい技術を活用するため、APIによるPaaSの活用が必須となります。

そこでポイントとなるのが、様々なPaaSサービスやシステムとの柔軟な連携を実現する「API管理」です。新規サービスの開発においては、インタフェースのバージョン管理やセキュリティの担保などによって、安全に、便利にAPIを提供・利用するための統合的な仕組みが必要なのです。

富士通社内でも様々なAPIの活用が進んでおり、現場の改革が進んでいます。例えば、お客様に販売した製品をサポートするシステムでは、保守作業の効率化を目的に保守要員向けのタブレットアプリを開発しており、APIを活用して保守要員のタブレットから様々な情報を取得しています。これにより、現場のニーズを素早く取り込めるだけでなく、従来の新規システム開発に比べて、アプリケーション開発規模を53%削減することができました。富士通では多くの社内システムのAPI化を進めており、社内での大規模なWebAPI共通管理基盤の構築・運用実践で得たノウハウを「API Management」としてサービス提供しております。

API Managementが提供する機能
APIプログラムの作成、拡張、保守に役立つ機能を提供し、ビジネスの継続的な成長に寄与するサービス

DX推進において求められる新たなセキュリティの観点

PaaSの活用においては、ネットワークも重要な検討ポイントです。例えば、現場系ネットワークと情報系ネットワークをつなぎ、PaaSのサービスでデータ分析することを考えてみましょう。

ほとんどのPaaSのAPIはインターネット(グローバルIP)に用意されていますから、そのままでは重要なデータをインターネットに置くことになります。PoC(Proof of Concept)であればそれでも問題ないでしょうが、本格的に活用するとなれば、ネットワークの経路などについて十分な配慮が必要です。

また、SaaSの利用においても、「可視化」「コンプライアンス」「脅威防御」「データセキュリティ」の4つの機能を加味して、十分なセキュリティ対策を検討する必要があります。こうした中、注目されているのがCASB(Cloud Access Security Broker)によるSaaSセキュリティ対策です。

CASBは、前述の4つの機能を持ち、複数のクラウドサービスに対して、セキュリティポリシーの適用やクラウドアクセスログ分析、アクセスコントロールを実現する仕組みです。富士通社内でもOffice365やBOXなどのモバイル利用において、CASBによるセキュリティ対策を実施しており、お客様からご相談を受ける機会も多くなってきています。

セキュリティリスクを低減するために必要な機能

お客様のDXを支える最適なICT基盤の実現を支援

新しい技術が次々に登場し、ビジネス変化への柔軟な対応が求められる中で、それを支えるICT基盤を整備することがますます重要になっています。さらに、グローバルにビジネスが展開されるこの時代においては、国内はもちろん海外での利用も考慮したICT基盤の検討も必要です。DXが今後ますます高速化・多様化・複雑化するのは間違いありません。

富士通は、お客様の目指すDXに必要な“変化対応力の強化”に向けて、最適なICT基盤の実現をご支援していきます。

  • 注)
    本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載時のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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