現場の意識改革こそが働き方改革成功の鍵
その実現に向けた
富士通の「三位一体」の取り組みとは

日本企業にとって避けて通れない課題となっている働き方改革。しかし思い切った導入に踏み切れない、導入を開始してもなかなか強力に推進できない、といった悩みを抱えている担当者は少なくないはずだ。その大きな要因として挙げられるのが、現場の意識改革が十分に進んでいないことである。この問題に真正面から取り組み、解決しつつあるのが富士通だ。ここではその取り組みの概要と、それによって得られている効果を紹介する。

予想外に低かった制度利用率、その危機感から新たな取り組みへ

すでに数多くの企業で進められている働き方改革の取り組み。どこででも仕事ができるICT環境を整備するのはもちろんのこと、在宅勤務などのリモートワークを促進する制度を導入する企業も増えている。しかしこれらの制度が十分に活用されていないケースは決して少なくない。何故このような問題が生じてしまうのか。その主たる要因は、現場の意識改革が十分に進んでいないことではないだろうか。

この問題を解決するうえで参考になるのが、2017年から行われている富士通の取り組みである。

同社における働き方改革への取り組みの歴史は長い(図1)。2010年頃には、場所を問わずにリアルタイムコミュニケーションや情報共有を可能にする「グローバルコミュニケーション基盤」を拡大・整備するとともに、在宅勤務制度を導入。2015年には仮想デスクトップやシンクライアントPC、サテライトオフィスの展開を開始し、テレワーク勤務のトライアルも実施している。そして2017年4月にはテレワーク勤務制度を導入し、その内容を社長メッセージとして全社に発信。本格的な運用を開始しているのだ。

「しかし当初の利用率は、わずか5%程度しかありませんでした」と振り返るのは、富士通 人事本部長代理 平松浩樹。すでに2年間のトライアルを行っていたため、利用率はもっと高くなるはずだと想定していたという。「これはテレワーク勤務制度を、自分ごととして捉えている社員がまだ少ないのだと感じました。このままでは働き方改革は浸透しないと、大きな危機感を持ったことを憶えています」。

図1:富士通における働き方改革の取り組みの歴史
2010年にはICTファシリティの整備とともに、在宅勤務制度の導入などに着手。2017年にはテレワーク勤務制度などを全社展開

強力なトップダウンと現場の主体的な取り組みを融合

では「三位一体」とは、具体的に何を意味するのか。それは、制度やルールを策定する「人事部門」、ICTやファシリティを整備する「情報システム部門、総務部門」、そして意識改革を推進する「現場」が一体となって、働き方改革を進めていこうというものだ(図2)。

そのために富士通では、大きく3種類の組織からならる体制を立ち上げている。第1が各部門の本部長クラスが参加する「働き方改革推進委員会」、第2が総務部門・人事部門・マーケティング部門・情報システム部門で構成される「環境整備ワーキンググループ」、そして第3が事業部門ごとの「本部内 働き方改革WG(本部単位でミドルマネージャーを中心に編成)」だ。第2・第3の組織が連携することで「三位一体」を実現すると共に、高度な意思決定が必要な領域は第1の組織がサポートすることで、取り組みを強力に推進できるようにしている。

まず各部門のワーキンググループで働き方改革に関する課題を洗い出し、それらへの対応を環境整備ワーキンググループで検討。重要性が高く全社に影響すると考えられる課題は働き方改革推進委員会へと上げられ、対応が必要と判断されたものは環境整備ワーキンググループに実施プランの策定が依頼されるようになっている。

「テレワークのトライアルを行っていたときには、ミドルマネージャー(部長や課長など)を中心としたワーキンググループで取り組みを推進していましたが、それだけでは現場への浸透が難しいことがわかりました。そこで今回は、各部門のトップである本部長クラスまで巻き込むことに決定。これによってパンドラの箱を開けてしまっても構わない、といった覚悟で取り組みをスタートしました」(平松)。

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現場の意識改革こそが働き方改革成功の鍵
その実現に向けた富士通の「三位一体」の取り組みとは

概要

  • 予想外に低かった制度利用率、その危機感から新たな取り組みへ
  • 強力なトップダウンと現場の主体的な取り組みを融合
  • 多様な視点から改革を進めるため
    ダイバーシティを重視
  • 大きく向上したテレワーク利用率、育児中の女性社員は71%が活用

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