ケーススタディで知る「働き方改革」
富士通が実践するICT施策とは

多様な働き方を許容すると同時に、生産性をグローバルなレベルにまで高めるために、働き方改革を推進したい。これが現在の企業にとって、大きな経営課題になっている。これを支えるICT基盤を整備せよという圧力も、多くの情報システム部門にかかっているはずだ。それでは具体的に、どのようなICT施策を進めていくべきなのか。ここでは働き方改革に向けた取り組みを大規模に進めている富士通のケースを取り上げて、具体的な施策を紹介したい。

富士通はグループ全体で約15.5万人が、世界各国で活動しているグローバル企業。このうち富士通本体の全社員約3.5万人を対象にした「テレワーク勤務制度」が、2017年4月に正式導入されている。

富士通は営業利益10%の達成を目指しており、そのためには生産性を、グローバルレベルにまで高めなければならないという、強い課題意識を持っている。同社における働き方改革の最大の目的はまさにこの課題の解決にあり、これを実現するための1つとして、長時間労働を前提としない、多様で柔軟な働き方を可能にする制度が求められたのだ。

それではテレワーク勤務制度の正式導入に至るまでに、どのようなICT施策が進められてきたのか。そして今後はいかなる取り組みが行われる予定なのか。富士通におけるICT戦略のキーパーソンに話を聞いた。

まずはグローバルでコミュニケーション基盤を統一

富士通における「働き方改革」に向けたICT施策の歴史は、2010年まで遡る。この頃から、コミュニケーション基盤の整備・強化が始まっているのだ。

「それ以前はコミュニケーション基盤を各部門、各グループ会社が個別に導入しており、コミュニケーションが組織毎に閉じていました」と振り返るのは、富士通 IT戦略本部 シニア ディレクター 兼 グループ共通サービス統括部長 柳原昌和だ。働き方変革により、多様な働き方や生産性向上を実現するには、人と人とのやり取りのスピードが重要になる。そのためにはコミュニケーションの壁を解消し、いつでもどこででも情報共有や打合せができる環境を整備しなければならない。

そこで、富士通ではまずメール、ポータル、Web会議、掲示板といったコミュニケーション基盤をグローバルで統一。その導入は段階を追って行われ、2011年度末までに日本国内の約10万人、2013年度末までに全世界への展開を完了した(図1)。これによっていつでもどこでも、ミーティングや情報共有が行えるようになり、利便性とスピードが向上。またミーティングを目的とした人の移動が少なくなったことで、出張費も年間4~5億円削減されたという。

2013年からは社内SNSやソフトフォンの導入にも着手。ナレッジ共有の促進が進められていった。「SNSも少しずつ浸透し、現在ではコミュニティが4900ほど立ち上げられており、暗黙知の共有が進んでいます。例えば、社会の変化から“あした”につながるビジネスや暮らしのヒントを見つけるメディアとして誕生した『あしたのコミュニティラボ』には社員から様々なアイデアが寄せられており、ここから特許が生まれることも少なくありません。また、社員なら誰でも好きなテーマで投稿を行うことができる『オープンコミュニティ』は、他部門との交流の場になっています」。

しかしこれらは第1ステップにすぎない。富士通は2015年にテレワーク勤務制度の導入に向けたトライアルをスタートしているが、これと並行してICT環境の整備が、さらに加速しているのだ。

図1:富士通が実践してきたグローバルコミュニケーション基盤の強化。いずれも小規模にスタートし、段階的に展開が進められていった。 図1:富士通が実践してきたグローバルコミュニケーション基盤の強化。いずれも小規模にスタートし、段階的に展開が進められていった。

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富士通が実践するICT施策とは

概要

  • まずはグローバルでコミュニケーション基盤を統一
  • 2015年からはセキュリティ強化も推進
  • リモートで出退勤打刻できる仕組みや実労働時間管理機能も提供

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