富士通の現場が取り組む働き方改革事例 第3回 後編

「イキイキ・ワクワク・キラキラ」働ける職場を作る
「スピード感」と「行動力」が原動力となり本部員の意識と組織風土を変えた

富士通の営業部門の1つである、産業ビジネス本部での働き方改革の実践を3回の連載で紹介するコラムも最終回となり、今回は、これまでの取り組みを振り返り、その効果や今後の方向性、注力していく施策などについて、前回に引き続き、CCC(トリプル・シー)プロジェクトを牽引しているメンバーに話を聞きました。

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60近い施策で「変化」の積み重ねが営業スタイルの変革につながる

2017年度から始めた施策はこれまでに50~60近くにもなりました。本コラムの2回目で紹介した「テレワークの推進」「完全ペーパレス化」「働きやすいオフィス環境の構築」といった施策の他にも、例えば、業務効率向上の観点から「年賀状の電子化」があります。

営業部門にとって年賀状をお客様や取引先に送る業務は、宛先の管理・メンテナンスや印刷など意外に管理工数や印刷コストがかかるものでした。
年賀状を電子化することで工数やコストを削減し、さらに、電子年賀状を受け取った相手の反応をデータ取得できる仕組みを導入する事で、マーケティング業務にも活用できるようになりました。

また、電子押印システムも導入・活用しました。これは、単純に押印業務を電子化したというだけではなく、働き方改革の実践において大きな意味を持つ取り組みでした。というのも、例えば、シンクライアントを従業員全員に配布し、テレワークや在宅勤務を認めても、「書類には上司の押印が必要」という社内文化のままだと、押印をもらうために出社するといったことにもなりかねません。その意味で電子押印システムは、働き方改革を実践するためのベースとなる重要な施策でした。現在、営業部門や全社的な展開を目指しているところです。

さらに、CCCプロジェクトによって「大きく変わったな」と感じることは、営業スタイルの変化です。「共創型の営業スタイル」へと変革しつつあるといえるでしょう。営業職は、よりお客様の要望に即した提案ができるかどうかが重要です。これまでは個々人が訪問・提案資料をばらばらに作っていました。しかし、その分、提案書作成などにかかる工数が多くて、長時間残業の一因にもなっていました。その部分をなるべく共通化してテンプレートを用意することで資料作成の工数を削減し、提案の質の平準化を進めています。

これまでは独自のノウハウを開示することに抵抗がある人も少なくなかったと思います。しかし、現在、社会を取り巻く環境はめまぐるしく変化しており、社内だけをみていては、グローバルでの競争に勝ち抜き、持続的な成長を続けていくことができません。そうした危機感を共有して意識を変えられたことも成功要因だと思います。

CCCプロジェクトの取り組み ※Valuetsu:商談進捗管理システム

働き方改革の取り組みは登山に例えるとまだ5合目

富士通の中でも部署ごとにやりたいことが違いますし、改善点は山ほどあります。大上段から捉えて進めるのではなく、小さい部分の改善を積み重ねていくことに、地道に取り組んでいったのがCCCプロジェクトでした。

実際、社内の情報共有も円滑になっています。以前は隣の部署の人が、あるお客様の情報を持っているとわかっていても、その話を聞くのに気を遣ったり、上司の了承を得たりする必要がありました。今では、フリーアドレスになったことで会話が増え、インスタントメッセージでも気軽にやり取りできるような環境になっています。

こうした取り組みの積み重ねによる定量的な効果をいくつかご紹介します。例えば、テレワークと完全ペーパレスの取組によって、印刷コストが23%削減され、会議室調整時間が39%短縮、部署を超えたコミュニケーションが37%増加、顧客対応時間が20%以上増加しています。一方、定性的な効果でいうと、意識改革と組織風土を変えることができたと思っています。最初の1年間で取り組んだことがベースとなり、様々なことを変えていける土壌ができたと考えています。

最近では、色々な会社から富士通の取り組みを紹介してくださいと言われます。他社の働き方改革は、人事・総務、IT部門が先導することが多いと聞いています。CCCプロジェクトでは、ビジネスの現場にいる人が、自分たちの仕事を自分たちで変えていきたいというところが特長だと思っています。

CCCプロジェクトの現在の取り組み状況は、登山に例えると「5合目辺り」だと思います。営業職だけではなく、エンジニアや研究職なども含めた組織全体で変わっていかないと、本当の意味で、お客様への提案の質やスピードを上げることは難しいからです。それが実現できないと最終目標である「顧客満足度の向上」は達成できないと考えています。これからは産業ビジネス本部内だけでなく、関連部門に活動を広げていきたいと思っています。

原動力は「スピード感」と「行動力」、「違う会社になった」と語る社員も

まだ5合目とはいいつつも、大きな目標であるお客様満足度向上に結びつくと思われる効果もあらわれ始めています。CCCプロジェクトでは、お客様に提案している製品・サービスを、まずは私たち自身が使ってみることを積極的に進めています。例えば、お客様情報や商談状況を共有、活用する次世代CRMの導入もその一つです。営業プロセスの質が向上し、案件管理がよりしやすくなりました。業務効率が改善しただけでなく、私たちの取り組みがそのままリファレンスモデルになるため、お客様も導入前に効果をある程度想定でき、実際に成約したというケースも増えてきました。

また、CCCプロジェクトの成果として、職場の雰囲気や制度も含めて誰もが働きやすい職場になったと実感しています。これまでも在宅勤務制度はありましたが、職場の雰囲気ではなかなか使いづらい状況にありました。今では、ツールの整備など環境面が整ったこともあり、現場の意識がかなり変化しました。産休から戻ってきた女性社員が「まるで違う会社に戻ってきたみたい」と話してくれたのが印象的です。

現場の雰囲気で変わったこととしては、オープンな環境になったことが挙げられます。フリーアドレスになったことで、今まで交流がなかった他チームの人との交流が広がり、業務に関しても協力することが増えるなどいい影響がではじめています。

よい成果を上げられるようになった原動力は「スピード感」と「行動力」の2つだと思います。今まで先延ばしにしてきたことや机上で精査してから進めていたことも「まずは行動してみる」という意識に変わってきました。その結果、今までの倍くらいのスピード感で案件を進めることも可能になっています。

これまでにも業務改善への取り組みとしてボトムアップからの活動はありました。しかし、本業との両立が難しく十分な時間がとれないまま、次第に縮小してしまった取り組みも多くありました。今回は働き方改革の活動を公認してもらったことでより取り組みやすくなりました。また、企画されたものの中には、冗談だともとれるような楽しい企画もあります。そうしたことも含めて、楽しみながら活動することも大事だと感じています。

2017年3月から実施しているCCCプロジェクトは、産業ビジネス本部の意識改革や組織風土を変えるとともに、より働きやすい環境へ変化しています。ただ、「顧客満足度の向上」というゴールに向けては、改革はまだ始まったばかりともいえます。今後は、全社展開を進めることでさらに広げていくことを目指していきたいです。

2019年4月9日

登壇者

富士通株式会社
産業ビジネス本部
プロセス産業第二統括営業部
第二営業部
マネージャー
喜多 昌之

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産業ビジネス本部
プロセス産業第一統括営業部
第一営業部
グループリーダー
加藤 貴之

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産業ビジネス本部
エレクトロニクス第二統括営業部
第五営業部
田中 彩子

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※取材内容、および所属役職等は取材当時のものです。

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