tempo2「虚と実」2021冬号


私が今立っているこの場所、この世界。
そこで出会う生命。触れ合う肌、見聞きする、ものやこと。
すべては現実のようでいて、そうではないかもしれません。
見間違いや思い違いが、潜んでいることもあるでしょう。
夢とうつつが混在している瞬間もあれば、ある一面を全体だと思い込んでいることも、ままあります。
本当だと信じていたものが、急に信じられなくなってしまったそのかたわらで、虚構が現実を救い、はてしない想像が、現実を更新していくことがあります。
虚構と現実。
妄想と事実。
嘘と本当。
その間(あわい)を行ったり来たり揺れながら、私たちは生きています。
第2号のテーマは〝虚と実〟。
さまざまな場所に息づくそのあわい。
確かなようでいて留まらない、虚実を観察しました。