セキュリティマイスターコラム 第3回

IoTで「つながる時代」、つなげるセキュリティを担う人材とは

IoT時代の到来でデジタルデータが価値を生む一方、日本では多くの企業がエンジニアの不足に悩んでいます。

そんな状況の中、富士通では2014年からセキュリティマイスター認定制度を立ち上げ、人材育成に取り組んでまいりました。700名を目標に制度設計して3年半が経過した2017年10月現在、2,600名を越えるセキュリティマイスターが育まれました。
本コラムでは、3年半の実践から感じた人材育成の意味について述べさせていただきます。

IoT時代の到来で情報の利活用がさらに進む

IoT時代の到来で、さまざまなセンサーや機器がインターネットにつながり、膨大な量のデジタルデータが集まり、「新たな価値」を生むようになりました。
例えば、全国各地に設置したセンサーなどを通じて気温や湿度を測定したり、リアルタイムに雨雲の状況を把握したりすることで、それらの情報をもとにコンビニエンスストアの店頭に並べる商品を随時変えていくこともできます。消費者ニーズにさらに細かく対応し、在庫を持たない店舗運営も可能となるでしょう。
こうした情報の利活用は今後も進み、点在化された情報をいかに安全・確実に結びつけるかといったネットワークの重要性がさらに高まっていくと考えられます。

「つながる時代」に高まるセキュリティの重要性

IoT時代とは、点在していた情報が「つながり」、新しいイノベーションを起こす時代とも考えらます。情報が「つながる」時代だけに、ひとたびサイバー脅威が顕在化すると、その被害が連鎖反応的に拡大していくことが懸念されます。事実、「WannaCry」というランサムウェアは、つながったコンピュータが次々に被害にあったことで、その被害規模が拡大していきました。

こうした「つながる時代」には、セキュリティは継続的な価値を生む土台となります。安心してイノベーションに投資できるようにしたり、若者が新しいアイデアを安心して実践できるような環境を作ったりすることがセキュリティの役割です。情報と情報とがネットワークを通じて安全・確実につながるように「事業の継続を担保」することこそが、今後のイノベーションの鍵を握ります。

人材育成とは”つなげる”もの

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このような状況の中で、多くの企業では、セキュリティもデザインできるエンジニア人材の育成が求められています。「つながる時代」のセキュリティもデザインできるエンジニアとは、単純にセキュリティに関する知識やスキルが豊富というだけの人材ではありません。

「つながる時代」には、企業のビジネスでも決して自社だけで完結するものではなくなります。協業や共創、エコシステムの構築においては、企業同士が協力しあい、大きなイノベーションの実現に向かって共に歩むことも必要です。

企業同士の連携が今まで以上にも密接になる中、イノベーションの実現も1社だけではなく、連携・協業する複数の企業間でセキュリティを共通の言語で語り、共通の問題意識を持ち、そしてエコシステムの全体像の中でセキュリティを俯瞰することが大切です。そのための人的ネットワークを構築することのできる人材が求められているのです。

人と人がつながれば組織がつながります。普段それぞれのミッションで縦割りになりがちな組織が、人のつながりにより情報を巡らせるようになります。人と人、組織と組織、企業と企業へと広がったネットワークは、産官学の連携にもつながっていくでしょう。さらに世代をまたがって次世代につなげることも人材育成の役割です。

そして、情報が巡れば相互理解が芽生えます。セキュリティを理解し、セキュリティ現場がイノベーションを理解することで、セキュリティが付加価値となる競争力を作ることができると信じています。例えば、セキュリティの人と生産管理現場の人、プラント設備管理現場の人などがつながると、よりセキュアなIoTの利活用が可能になると考えられます。

学ぶ、体験する、考える、そして仲間を作る「CYBERIUM」

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「つなげる人材育成」をお客様や地域、若者たちと実現するために、国産のサイバーレンジ「CYBERIUM」を作りました。「CYBERIUM」では、疑似的なサイバー攻撃シミュレーションを体験しながら、攻撃の手口や防御方法を実践的に学ぶことができます。
セキュリティを学び、体験し、考える場、そして先人の成功/失敗を共有する場、さらに仲間を作りコミュニケーションする場を継続的に提供し、皆さまと共に、セキュリティもデザインできるエンジニアを育んで行きたいと思います。

2017年11月28日

富士通株式会社
佳山こうせつ
[ハイマスター領域] シニアセキュリティコーディネーター

富士通独自のセキュリティ技術者育成プログラムであるセキュリティマイスター認定制度を2014年に設立し、全社で推進。セキュリティ専門家の育成だけでなく、開発・運用現場の技術者のセキュリティスキル底上げを盛り込んだ育成プログラムの開発と実施、技術者発掘のためのセキュリティコンテストの主催や富士通製のサイバーレンジ(仮想演習場)であるCYBERIUMの開発にも力を注いでいる。

セキュリティマイスター紹介ページ

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