ITスペシャリストコラム

図解でわかるハイブリッドIT導入のポイント③
~「標準化で進める構築」編~

近年広がりを見せるハイブリッドIT。その導入/運用を成功させるカギは「企画~構築~運用」の標準化にあります。
前回までのコラムでは、企画に焦点を当て、その標準化のポイントをご紹介してきました(「標準化で進める企画」編 前編 / 後編
今回のコラムでは、構築について、その標準化の考え方と進め方をご説明します。

要件定義やシステム設計を都度検討していては工数や負荷が膨れ上がってしまう

ハイブリッドITを導入する場合、まず企画段階において「可用性」や「セキュリティ」などの観点から、各業務システムの構築先をパブリッククラウドとするのか、プライベートクラウドとするのか、あるいはオンプレミスのまま持ち続けるのか、といったシステム基盤の選定を行います。そして、このシステム基盤選定が終わり、企画段階が完了すると次は構築段階です。構築段階ではまず要件定義を行い、業務システムごとに求められる非機能要件を細かく定義し、それらの要件を実現していくためのシステム方式を設計しますが、この作業は非常に工数がかかり、情報システム部門や開発部門にとって大きな負荷となっています。

例えば、「可用性」一つをとっても、「サービス停止を許容できる時間はどれくらいか」、「サーバやネットワークの冗長化はどの程度必要か」など、要件定義で検討すべき項目は多岐に渡ります。さらに、これらの項目について、定義した要件を満たすための実装方式を検討/設計するのですが、その実装手段の候補も多数存在します。
それらの候補から、求める可用性のレベルを満たすために最適な実装手段を選択することは容易ではありません。しかも、クラウドという慣れない環境であればなおさらです。こういった検討作業を業務システムごとに都度実施していては、膨大な工数と負荷がかかってしまいます。
また、十分な検討を行えず、非機能要件に対して不十分な実装でクラウド利用を始めてしまった場合、重大なインシデントにつながる可能性も高まりますので、会社全体の信用に関わる重大な問題として認識する必要があります。

そこで、ポイントとなるのが「構築の標準化」。都度検討を行っていた実装手段について、情報システム部門で予めパターン化し用意しておくことで、「開発部門はパターンから選択するだけで良い」という状態にしておこうというものです。(図1)

図1 実装手段をパターン化し検討工数を削減

実装パターンを作成して検討工数を削減

前回までのコラムでご説明した通り、企画段階ではシステム基盤をパターン化し「基盤サービスメニュー」を作成しました。
構築の標準化では、この「基盤サービスメニュー」の各メニューに対して、要件を整理し、実装パターンを作成します。(図2)
各メニューに対しては、いくつかの実装パターンを用意しておくのが良いでしょう。
また、当然ながら各メニューのシステム基盤がプライベートクラウドであるのか、パブリッククラウドであるのかによっても実装パターンは分けておく必要があります。例えば、サーバの耐障害性に関しては、プライベートクラウドであれば仮想化ソフトのHA機能*1を使用し、パブリッククラウドであれば自動リカバリーにするといったような具体的な手法を実装パターンとして決めておきます。

図2 メニューごとに実装パターンを作成

このように、各メニューとシステム規模に応じて「どのように実装するか」という実装パターンを情報システム部門で一度決めてしまえば、あとは開発部門がメニューを選択するだけでシステム基盤の具体的な設計まで一気に決まります。もちろん、システム基盤は既にメニューとして型決めされているので、いちいち細かな要件定義を行う必要もありません。

とはいえ、それぞれの非機能要件を加味し、最適な実装パターンを作成するには、クラウドに関する相当な知見/スキルと、検討の労力が求められるのも事実です。富士通では、過去600社の商談対応実績で蓄積したノウハウを基に作成した実装パターンをテンプレートとして用意し、お客様の標準化をお手伝いしておりますので、ぜひご相談ください。

構築の標準化で効果的なクラウドシフトを実現

このように、情報システム部門で構築を標準化し、実装パターンとして提示することができれば、都度の検討が不要となるので、クラウド移行にかかる工数や作業負荷を大幅に軽減することができます。さらに、業務システムごとの品質のばらつきもなくなり、検討漏れによる重大インシデントの発生リスクも抑制。また、実装にかかるコストも予めパターンごとに明示できますので、適切なコスト感覚を持ってクラウド移行を推進することが可能となります。

ここまで、構築における標準化の考え方と進め方をご説明してきました。
次回のコラムでは運用における標準化について、その考え方と進め方のポイントをご説明いたします。

  • *1:
    自動フェイルオーバー。稼働中のシステムに問題が発生し停止した際に、自動的に待機システムに切り替える機能

2019年2月1日

富士通株式会社
グローバルマーケティング本部
ハイブリッドITオファリング統括部長
藪田 有司

製造業のお客様を中心に、ICTインフラ最適化のプロジェクトに数多く参画。現在は各種のクラウドサービス、オンプレミス環境も含むICTインフラ基盤のオファリングの企画・提供を行う。

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