ITスペシャリストコラム 第11回

図解でわかるハイブリッドクラウド導入のポイント①
~「標準化で進める企画」前編~

加速するクラウドの本格利用。業務ごとの特性に合わせてクラウドとオンプレミスを使い分けるハイブリッドクラウドが広がりを見せる一方で、クラウド乱立によるガバナンスの低下や運用負荷の増大といった新たな問題も顕在化しています。
こうした問題を解決し、最適なハイブリッドクラウドの導入/運用を成功させるカギは「企画~構築~運用」の標準化にあります。
今回は、企画段階における標準化の考え方とその進め方について、詳しくご説明します。

難しく、時間がかかるシステム基盤選定。成功のポイントは「標準化」

企業におけるクラウドシフトの流れは日増しに拡大し、これまで社内のオンプレミスで構築していた基幹系の業務システムをクラウドに移行する動きも始まっています。このようなクラウドシフトに際して、当然考えなくてはならないのが「各業務システムの構築先」です。パブリッククラウドにするのか、プライベートクラウドか、もしくは自社内のオンプレミス環境で持ち続けるのか。ここでの判断を誤ると、コスト削減や運用負荷軽減といったクラウド利用に期待する恩恵を享受できなくなるだけではなく、運用負荷やインシデントの発生リスクが増大するといった問題につながる恐れもあります。

とはいえ、数十~数百の業務システムに対して、それぞれ個別に最適な構築先(システム基盤)を検討していては、いくら人手と時間があっても足りません。さらに、いざ検討を始めても「どんな観点で検討すれば良いのか?」「最適な構築先を選択できているのだろうか?」といった悩みに直面し、思うように検討が進まないといったケースも少なくありません。

そこで、重要となるのがシステム基盤の「標準化」です。利用部門からの要望が多そうなシステム基盤を予めいくつか用意(「標準化」)し、それらを選択する際の基準もわかりやすい形で設けます。「いちいち検討せずとも、標準化されたシステム基盤の選択肢から選ぶだけで良い」という状態を整備しておこう、ということです。

4つの観点でシステム基盤の選定基準を明確化

標準化に向けて、まずはシステム基盤の選定基準を明確に策定します。この選定基準を考える場合、「セキュリティ」や「コスト」など様々な観点があげられますが、すべてを考慮していては検討を先に進めることができなくなってしまいます。そこで、富士通では多数の商談対応経験から、考慮すべき観点として「サービスレベル」「セキュリティレベル」「インフラ運用」「クラウド活用の留意点」という4つを厳選。この4つの観点についてそれぞれ整理し、選定基準を明確化していくことを勧めています。(図1)

-観点その1:「サービスレベル」

「サービスレベル」については、利用者からみてわかりやすい基準を設定し、「特松・松・竹・梅」の4段階にレベル分けすることを目指します。 まずは、「サービス停止許容時間」「データリカバリ単位」「サービス提供時間」といった、利用者からみてわかりやすい要素を設け、要素ごとのサービスレベルを0~5までの6段階に分けます。次に「特松・松・竹・梅」に対して、各要素のレベルを割当て、「利用者向けサービスレベル」を作成します。(図2)

これにより、例えば「松」であれば、「サービス停止許容時間:1時間以内、データリカバリ単位:DB(トランザクションリカバリ)、サービス提供時間:365日8時~24時」といったように、客観的な基準に基づいて、サービスレベルを4段階(「特松・松・竹・梅」)に分けることができますので、利用者は「特松・松・竹・梅」の中から自身のニーズに合ったものを迷わずに選択できるようになります。

-観点その2:「セキュリティレベル」

「セキュリティレベル」についても、サービスレベルと同様に4段階のレベル分け(「AAA・AA・A・BBB」)を目指します。 ここでも利用者から見て分かりやすい客観的な基準を設け、レベル分けを行ことが重要です。 セキュリティであれば、「AAA:社会全体に重大な影響を及ぼし、国内・外までに及ぶ大混乱を起こしうる情報」というように、各業務が取り扱う情報に応じてレベル分けを行います。(図3)

基盤サービスをメニュー化

「サービスレベル」と「セキュリティレベル」で、それぞれのレベル分けが完了したら、この2つを組み合わせてマトリクスを作成。それぞれのエリアでどのような基盤を適用するのかを明確化しプロットします。(図4)

こうして標準化されたインフラ基盤は、基盤サービスメニューとして利用者に提示することが可能となり、利用者は業務システム毎のニーズに基づいて選択するだけで、時間をかけて検討することなく、最適なインフラ基盤を利用することができるようになります。

次回のコラムでは、残る2つの観点(「インフラ運用」「クラウド活用の留意点」)と、標準化を進める上でのポイントについてご説明します。

2018年12月27日

富士通株式会社 オファリング推進本部
ハイブリッドITオファリング統括部長
藪田 有司

製造業のお客様を中心に、ICTインフラ最適化のプロジェクトに数多く参画。現在は各種のクラウドサービス、オンプレミス環境も含むICTインフラ基盤のオファリングの企画・提供を行う。

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