先端事例が盛りだくさん!
2019「TECH TALK祭」レポート

2019年9月12日(木)、東京・丸の内オアゾにおいて、半年に一度のFUJITSU TECH TALKの一大イベント「2019 TECH TALK祭」が開催されました。今回で3回目となるこの「祭」には、TECH TALK会員約120名が参加し、講演から懇親会まで、おおいに盛り上がりました。

“選択肢が爆発する時代”だからこそ、オープンなコミュニティが重要

「2019 TECH TALK祭」の幕開けを飾ったのは、「クラウドのテクノロジートレンドと、SIerがこれから取り組むべき課題について」と題した基調講演。語り手は、エンタープライズIT分野で最大級のブログメディア『Publickey』の編集長、新野淳一様です。

まずは、日本のクラウド市場の現状について、データをもとに分析。AWSやAzureなど「ハイパースケーラー」と呼ばれる大手の莫大な投資によって、東京・大阪の両リージョンでクラウド環境が整備されている現状は、それらを活用するSIerにとって、大手からブティック系まで規模を問わずに大きな成長のチャンスだと指摘します。

続けて、こうした市場における新たな2つの技術トレンドが紹介されました。
1つは「クラウドネイティブ」。アプリケーションの構成要素を分解して疎結合することで柔軟性を高める「マイクロサービス」や、イベントドリブンなアーキテクチャによりサーバ管理を不要にする「サーバレスコンピューティング」などを駆使して、クラウドのメリットを徹底的に活用しようとするアプローチです。
2つめのトレンドが「ハイブリッドクラウド」あるいは「マルチクラウド」と呼ばれるもので、複数のクラウドやオンプレミスを連携させ、より柔軟に活用しようとするアプローチ。これにより、最適なシステム環境を構築するための選択肢が爆発的に増加し、SIerに求められる役割がより重要に、かつ高度になってくると新野氏は分析します。

最後に、「ムーアの法則」が終焉を迎えてハードウェアそのものが変革・多様化していくなか、クラウド環境も含めて選択肢は増え続ける一方であり、何が最適かを導くのは、エンジニア個々の力では限界があると分析。エンジニア同士の情報交換やパートナーシップの重要性を指摘するとともに、FUJITSU TECH TALKのようなコミュニティの意義を改めて強調されました。

2019年上半期の成果を一挙公開! FUJITSU TECH TALK会員企業の事例共有

写真左から、プライム・ストラテジー株式会社 中村 けん牛様
パワードプロセスコンサルティング株式会社 力 正俊様
株式会社エクス 稲葉 秀嗣様

基調講演に続いては、FUJITSU TECH TALK参加企業によるクラウドビジネスの実践事例が発表されました。6つのセッションのうち、前半3つは「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」の活用事例。その後、会員企業が開発したサービスの導入事例が1つ、最後の2つが会員企業同士によるビジネスマッチングの事例です。

はじめに、世界で6割のシェアを誇るCMS「WordPress」のインテグレーションを手掛けるプライム・ストラテジー株式会社の中村様は、WordPressの高速化やセキュリティを飛躍的に向上させる超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」と、Webシステム高速化エンジン「WEXAL® Page Speed Technology」についてプレゼン。デモを交えながら、Webを高速化させる仕組みを惜しみなく公開いただきました。「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」で対応を開始したことに加え、Fujitsu MetaArc Marketplaceより「KUSANAGI on FUJITSU Cloud Service for OSS」の利用申し込みができるようになったとのことで、会場から大きな注目を集めていました。

続いては、ITを活用した業務改善コンサルティングを展開するパワードプロセスコンサルティング株式会社の力(ちから)様より、ドイツAudi社と共同開発した改善サポートツール「Metasonic Suite」を紹介いただきました。従来は2カ月かかっていた業務が1週間で可能になる、生産性が72パーセント向上するなど、その実績に会場から驚きの声が上がりました。今後、「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」上で「Metasonic Suite」を供給するにあたっての販売/導入パートナーを募っており、今後のビジネスの広がりが期待されます。

中堅・中小製造業向けの生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場」シリーズで知られる株式会社エクスの稲葉様には、同シリーズと富士通のクラウドサービスとの相性の良さとともに、これから「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」上で展開するサービスの全体像について説明いただきました。生産管理だけでなく、サプライヤーも含めたEDIサービスもパッケージにして提供することで、中堅・中小製造業のデジタル革新を支えていきたいとの熱い想いが伝わってきました。

写真左から、株式会社コーワ 水野 雅仁様
株式会社つうけんアドバンスシステムズ 岩崎 秀信様
株式会社シフト 新妻 宗人様

ここまでは開発事例でしたが、次は視点を変えて、ユーザー企業による導入事例の紹介です。マジックソフトウェア・ジャパン株式会社と富士通がFUJITSU TECH TALKを契機に立ち上げた「Magic xpa on FUJITSU Cloud Service(*2)」は、超高速開発ツールによる業務アプリケーションの開発・実行環境を「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」で提供するものです。このサービスの記念すべきファーストユーザである株式会社コーワの水野様から、導入の経緯について説明いただきました。基幹システムの見直しにあたっての課題や、クラウド化に向けたコスト比較の経緯、社内の開発要員がわずか2名という体制での苦労など、これまでのTECH TALKではあまりなかったエンドユーザーからの事例報告に、会場の皆様も興味深く聞き入っていました。

ここから2つのセッションは、FUJITSU TECH TALK会員企業同士によるマッチング事例です。まずは北海道札幌に本拠を置く株式会社つうけんアドバンスシステムズの岩崎様から、「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」利用したデジタルニュース配信サービス事業について紹介いただきました。このサービスは、同社を含めたTECH TALK参加企業4社のプロジェクトチームによるもので、プロジェクトリーダーであるNCRI株式会社が音頭を取り、基盤構築を担う株式会社RAPiC、ユーザーインターフェースを担当する株式会社アベデザイン、そしてシステムの運用・サポートを担うつうけんアドバンスシステムズという体制です。地方新聞社のコンテンツをデジタル化し、ビジネスモデルの転換を支援するという興味深い事例が紹介されました。

最後のセッションとして、株式会社シフトの新妻様に、株式会社インプリムとの協業による働き方改革支援ソリューションを紹介いただきました。シフトが「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」で提供する勤怠管理システム「勤給解決」と、インプリムのWebデータベース「Pleasanter(プリザンター)」の融合により、働き方改革を背景とした勤怠管理ニーズの高度化・多様化に対応するソリューションを提供しています。さらなるソリューション連携も容易とのことで、会場の参加者にパートナーとしての検討を呼びかけられました。

これら6つのセッションを通じて、富士通とFUJITSU TECH TALK会員企業、あるいは会員企業同士の“共創”が、大きな可能性を秘めていることを参加者全員が改めて認識することとなりました。

実践事例の資料は下記からダウンロードできます。(TECH TALK会員様向け)

クラウド市場が5兆円規模となる2020年以降、求められる“創造的破壊”とは?

(写真左) NCRI株式会社 津田 邦和様
(写真右) 富士通株式会社 谷内 康隆

休憩をはさんで、NCRI株式会社の会長、津田様による「クラウド市場:2020への展望」と題した講演が行われました。

まずは2020年以降の市場環境を分析。現在、日本の情報通信産業は50兆円規模で、うち通信・放送市場が30兆円、IT市場が20兆円を占めていますが、クラウド市場は現在の2兆円から5年後には5兆円に拡大するものと見られています。その後も、クライアント・サーバなど従来IT業務を取り込み、さらには通信市場も巻き込んで、さらなる拡大が見込まれます。

続けて、オーストリアの経済学者、シュンペーターの言葉を借りて、今後さらなるイノベーション、そして“創造的破壊”が起こると論じます。今後、IT市場においてはプレーヤー企業や業種・業態、サービスの提供方法、営業やSEの仕事内容など、さらに顧客側では業務システムやシステム基盤のあり方、担当組織の体制、コンテンツの利用方法など、あらゆるものが変化していきます。そうした変化に対応して生き残っていくために、FUJITSU TECH TALKのようなコミュニティが大きな意義を持つというのが、津田様の分析です。

最後に、データの重要性が高まるなか、日本政府も重点14業種については海外ではなく国内のデータセンター利用を推奨している現状を踏まえ、国産クラウドベンダーとしての富士通と、TECH TALKを通じたクラウド利用の高度化に対し、熱いエールが贈られました。

講演資料は下記からダウンロードできます。(TECH TALK会員様向け)

FUJITSU TECH TALK、この半年の成果と今後の取り組みについて

講演終了後は、「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」の最新情報について、機能やサポートの追加などが、今後の予定も含めて紹介されました。
また、FUJITSU TECH TALKを通じて寄せられた改善意見や要望へのフィードバックも行われ、改善の具体例として、料金表を読みやすくHTML化したことや、仮想マシンやディスクの利用状況の可視化などを紹介。さらに、チャットボットの提供や、eラーニングや品川オフィスでの集合研修など富士通クラウドをご理解いただく機会の充実などについても紹介しました。

最後に、事務局からの連絡として、ここ半年の活動の振り返りとともに、今後の取り組みを報告。活動の振り返りとしては、以下3つの視点から、主な成果を紹介しました。

(1)ビジネスマッチング

活動を開始した2017年度のマッチング事例は3件ほどでしたが、そこから徐々に増加し、2019年度、4月以降ですでに11件の実績があります。商談が進行中のものも含めれば、40件に到達するのではないかと見ています。

(2)イベント実施

FUJITSU TECH TALKでは、ライトニングトークで参加企業の強みをアピールいただくマッチングイベント「TECH TALK CONNECT」、クラウドやAIなど先端技術の勉強会イベント「FOCUS」、そして総合イベント「祭」という3つのイベントを展開しています。
この半年間で、「CONNECT」は2回実施し、1回当たり6社、トータル12名の方にトークしていただきました。今回、登壇いただいたシフト様とインプリム様も「CONNECT」で生まれた協業です。
「FOCUS」も2回実施し、それぞれ「クラウドインフラの効率的構築のノウハウ」「クラウドインフラの効率的運用のノウハウ」といったテーマで、いずれも参加企業から好評をいただきました。

(3)デジタルコンテンツの強化

この4月からFUJITSU TECH TALKのYouTubeチャンネルを開設し、すでに閲覧数は2,000回を突破しています。Facebookにもリンクしているので、まだご覧いただいていない方は、是非、アクセスください。

さらに、これから半年間で予定する、FUJITSU TECH TALKの活動をアップデートさせる取り組みとして、以下3点が紹介されました。

(1)「FUJITSU TECH TALK Award」の開催

「TECH TALK Award」は、会員企業の中から特に活躍いただいた企業を表彰させていただくもので、「ビジネスマッチング」「コミュニティの活性化」「サービス活用」の3部門を想定しています。

(2)メディアプロモーションの強化

外部メディアも活用しながら、TECH TALKの活動をもっとメディアに露出させていきたいと思っています。また、会員企業を訪問する紹介動画の作成・公開も行っており、この半年間で、7件のビデオ・記事を公開しました。下半期は約3倍の21件を目標にしていますので、是非、協力をお願いします。

(3)支援プログラムの強化

従来の「FUJITSU Cloud Service for OSS(*1)」の支援プログラムに加えて、11月から、パブリッククラウド「ニフクラ(*3)」についても教育プログラムを実施します。

すべての発表が終了した後は、懇親会およびデモ展示が行われました。余興として、“2019怪談クイーン”志月かなで様による怪談も披露されるなど、なごやかな雰囲気のもと参加者同士が活発に交流され、次なるマッチングの種が蒔かれました。

日本のデジタル革新を担う皆様のクラウド/AIビジネスなどのコミュニケーションHUBとなるコミュニティ、FUJITSU TECH TALKの活動にこれからもご期待ください!

(*1) 現在は「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-O」というサービス名で提供しております。
(*2) 現在は「Magic xpa powered by FJcloud」というサービス名で提供しております。
(*3) 現在は「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V」というサービス名で提供しております。

FUJITSU TECH TALKに関するご質問は、お気軽にお問合せください。

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