「顧客体験」の最適化にはデータ活用が不可欠
効果的に実施するための条件とは

商品・提供サービスの評判だけでなく、企業の業績も左右する大きな要因の一つとなった「顧客体験」。利便性の向上、不満足要因の解消はもちろんのこと、一人ひとりに最適化された情報やサービスの提供は、企業競争力の維持や強化に欠かせなくなっている。その実現にあたり重要なのが、企業と顧客とのあらゆる接点で発生するデータを収集、分析し、顧客を正しく理解し、定量的な根拠に基づき施策を改善し続けるデータドリブンマーケティングである。その取り組みを効果的に実施するために必要な条件を、3つのプロジェクト事例から探る。

顧客体験向上のためのデータ活用を阻害する2つの要因

今や顧客体験の良否によって、企業の収益は大きく左右されるようになっている。ある調査※1によれば、「良質な顧客体験が整備されていないことによる損失額は、年間売上高の20%に上る」という。また「顧客体験の質の低さを理由に、ブランドを乗り換えた経験がある顧客は89%に達する」というデータもある。

顧客体験の重要性は理解しているものの、優れた顧客体験を提供できている企業はまだまだ少ないのが現状だ。別の調査※ 2によると、「調査対象企業の80%は顧客に優れた体験を提供していると信じているが、顧客側の認識では8%の企業しか優れた体験を提供できていない」という結果が出ているのだ。それどころか、マーケティング担当者が各種デジタルマーケティングテクノロジーを駆使し、日々企業側の信じる施策を実行し、運用しているにもかかわらず、逆に顧客満足度を下げている場合もある。

このようなギャップがなぜ生じてしまうのか。問題が起こっている要因は、大きく分けて二つある。

一つ目は、企業のマーケティングに関わる様々な業務の目的と、その達成度合いを測る指標となるKP(I Key Performance Indicator)が適切に設定されていないことである。企業のマーケティングは、顧客の購買ファネルに応じて、様々な業務と業務に紐付けられた組織で構成されている。問題は、企業としてのマーケティング全体のゴールとKGI(Key Goal Indicator)が不明確であったり、関連部門間でKPIが整合していなかったり、KPIが部門内の成果のみを考慮して設定され、個別最適化されていたりすることである。売上や利益、あるいは顧客ロイヤリティといった結果指標に効果が現れるようにするためには、その前段のプロセスが適切に機能する必要がある。そして、各プロセスの良否を先行指標として測定しながら業務を回す必要がある。これらをきちんと整備せずに各部門が企業全体、あるいは顧客体験全体の視点で整合性の取れていないKPIの達成を目指して業務を行うと、顧客に対し一貫性のないバラバラな顧客体験を提供することになりかねない。KPIが適切でなければ当然、施策を回してそのKPIを達成しても、企業全体の活動として顧客体験を最適化することは難しい。

二つ目は、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回してマーケティングの成果を評価しながら適時軌道修正するとともに、必要な意思決定につながるモニタリングの仕組みが十分に整備されていないことである。個々のマーケティングツールは意思決定に必要なデータを収集するものの、それぞれカバーする領域が異なっている。そのため、消費者の連続的な購買行動に対して、企業側が把握できる情報は離散的なものになる。これでは、顧客体験全体の状況を俯瞰することは困難である。各ツールから出力されるファイルの収集・整形・統合を手作業で行い、レポートを作成している企業も多いが、この手法では膨大な作業工数が発生するため、レポートを作成する段階で人的リソースは枯渇し、実際のデータを見て、施策の結果に応じて軌道修正のための意思決定までたどり着けない。

こうした課題を解決するには、具体的にどうすればいいのか。3つのプロジェクト事例から、成功の秘訣を紐解く。

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「顧客体験」の最適化にはデータ活用が不可欠
効果的に実施するための条件とは

概要

  • 顧客体験向上のためのデータ活用を阻害する2つの要因
  • ビジネスゴールに合わせてKPIを整理し、多様なデータを統合・可視化
  • 「効果のない施策から撤退しやすくなる」ことも大きな成果
  • 富士通自身も経験した確かな手ごたえ

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