「興味ベクトル」で顧客の興味関心を発掘、プライベートDMPを駆使したターゲティングで成果

デジタルマーケティングでは、顧客データを集積し、顧客それぞれの興味関心に基づいた施策を実践するステップが重要になっている。富士通は大量の顧客情報をこれまで培ったデータ処理技術で集約し、独自のプライベートDMP(DataManagement Platform)を構築。ここに「興味ベクトル」と呼ぶ独自の手法を盛り込んで、効率的な顧客へのアプローチを展開している。これまでの富士通の顧客データ活用に至る経緯を振り返りながら、プライベートDMPの構築が可能にした、新たなビジネス展開を解説する。

10年前から顧客データを活用する仕組みを整備

富士通は「デジタルマーケティング」という概念が一般化するかなり前から、顧客接点で得たデータを最適な顧客対応に活かそうと取り組んできた。その一つが、2006 年から提供している「富士通ID」を使ったサービスだ。セミナー受付やメールマガジンの登録などに関わる顧客の手間を省くのが主な目的だが、登録情報によっては、顧客の目的に応じた最新情報を提供する機能も備えている。

その後の技術進化を踏まえたデータ活用の動きの中で、これらの取り組みがプライベートDMPとなって結実していったといえる。
富士通のプライベートDMPは、富士通IDに加えて、Webアクセス履歴や各販売推進部が持つセミナーやイベントへの出席に関する顧客データや、2015年から取り組んできたMA(Marketing Automation)で得られた顧客からの反応、そして営業が持つSFA(Sales Force Automation)内の顧客データや案件データを一つに集約している。2015年の夏に集約を始め、作業自体は約半年で終わったという。

大量の顧客データ解析に先端技術を導入

プライベートDMP の構築と並行して富士通は2015年、データのビジネス活用をミッションとするBI(Business Intelligence)高度化の推進組織を設置した。ここには、プライベートDMPにある情報を分析し、新たなビジネスを発掘する狙いがあった。

同組織が最初のテーマとして選んだのが、顧客データのマーケティング施策への活用だった。マーケティングコミュニケーション本部 デジタル改革推進統括部 デジタル活用推進部長の高橋 真言は、「顧客接点データ、特にWebの閲覧履歴は日々大量に生まれているが、これまで十分に活用されてこなかった。新たなビジネス活用を見込める可能性があったため、ここで何ができるかを優先的に検証することにした」と説明する。

この「日々大量に」という点が、大きな技術的障壁になると当初から認識されていた。取引のある法人の数と案件の数は数十万件のオーダーだが、Webアクセスログは月間で数千万件に上っていた。

そこでこの大量データの処理には、富士通社内にいる“専門家”や経験者を起用した。例えばApache Hadoopをはじめとした「並列分散処理」のプロ、大量かつ非定型な顧客データの集約に適した「NoSQL」で実績ある技術者、そして同社が展開するクラウド「FUJITSU Cloud Service K5」の構築に基盤上のアドバイスができるエンジニアなどだ。

マーケティングコミュニケーション本部 デジタル改革推進統括部 デジタル基盤推進部長の新井 眞一は「HadoopやNoSQLなどをクラウド上で実装するために、それぞれの経験者やスペシャリストをすぐにアサインできた価値は大きい」と当時の体制整備を振り返る。

さらに顧客データを効果的に扱うためには、「データクレンジング」が大きな問題となる。顧客の社名一つとっても、漢字やカタカナ、全角半角が入り乱れる日本語で正しい表記に統一するのは容易ではない。しかもあるタイミングで集約したとしても、本社の移転や社名変更、さらには新たな顧客の追加などでデータは変わり続ける。このため富士通は顧客データのクレンジングを担当する専任メンバーを任命し、定期的にアップデートする体制を整えた。

さらに、プライベートDMPに集めた顧客データが、個人を特定できる項目を含んでいる点に十分な注意を払った。「初期段階から、とりわけ個人情報の取り扱いに配慮した」と新井は話す。

もちろん顧客から個人情報を扱うことについて許可は得ているが、集約したデータが漏えいするリスクを十分に担保しておかないと、将来大きな問題に発展する可能性がある。実際に個人情報の取り扱いルールを見直したところ、データを集約し分析することを想定していない部分があることも判明した。

こうした課題を解消するため、富士通はまず顧客データを暗号化して管理し、データに関与できる要員を絞り込んだ。さらに、顧客からオプトアウト(個人情報の取り扱い停止)の要望を受けた際の迅速な対応など、個人情報の取り扱いに柔軟に対応できる環境を整備したという。もちろん「個人情報を扱う担当者の教育や運用ルールも確立した」と新井は振り返る。

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「興味ベクトル」で顧客の興味関心を発掘、プライベートDMPを駆使したターゲティングで成果

概要

  • 10年前から顧客データを活用する仕組みを整備
  • 大量の顧客データ解析に先端技術を導入
  • 「興味ベクトル」で特定の情報に反応する顧客を予測
  • プライベートDMPと興味ベクトルの活用で可能となる「先手を打った施策」
  • 進化する興味ベクトルの活用

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