「顧客中心の時代」を勝ち抜くために強化すべきはカスタマーエクスペリエンス

消費者のニーズを深く理解し、彼らが求める「コト」を創り出し満足させることが企業においての競争優位の必須条件となった。重要なのは企業に散在する膨大なデータである。データをもとに、購買行動における兆候・傾向を引き出し、マーケティング戦略を再構築できるかどうかで市場での勝敗が決まってしまう。――デバイスや通信環境の進化によりインターネット環境がさらに身近になった昨今、豊かなデジタルライフを楽しむ消費者との「つながり」をさらに強化するため、企業は消費者一人ひとりが必要とする情報やサービスを、最適なタイミングで届けることが求められるようになった。多種多様なチャネル(接点)それぞれにおいて、消費者の体験価値を最大化させるためには、戦略的かつ全方位的なデータ活用が不可欠となる。これらを実現するため、富士通は常に最新技術と効率的なICT活用を提案してきた。今回はそのアプローチ手法について聞く。

顧客の心を捉え、ロイヤルティを高める経営手法の観点としてカスタマーエクスペリエンス(Customer Experience:CX)が近年注目されてきた。企業と顧客との多様な接点において、顧客が企業から受けた満足感や体験がもたらす価値のことである。ロイヤルカスタマー創出には、この「顧客体験価値」を最大化し、結果的にもたらされる顧客からの高い評価を獲得し続ける必要がある。

なぜ今、CXなのか。その背景には、急速なデジタルテクノロジーの進歩がある。それに伴い、あらゆる顧客とのチャネルから収集できるビッグデータは、企業にとっての最大の情報資産になった。富士通株式会社 統合商品戦略本部 デジタルマーケティングビジネス推進統括 部長の小林 泰は「消費者が“より豊かなデジタルライフ”を満喫していることが、結果として、企業のマーケティング戦略を大きく変えている」と分析する。

快適なデジタルライフの普及が企業のマーケティングを変えた

デジタルライフの一例として現在、多くの人がスマートデバイスを使って、さまざまなサービスやアプリケーションを利用していることが挙げられる。興味関心のあることを検索し、調べ、ニュースを読み、動画を楽しみ、ゲームに興じる。写真を撮って、ソーシャルメディア上で共有することもできる。買い物もスマートデバイスで済ませられる。生活の多くの場面に、スマートデバイスが介在しているのはいうまでもない。

スマートデバイスが生活に浸透した現在、企業はマーケティング戦術の転換を迫られた。例えば、BtoCビジネスではどうだろう。消費者がスマートデバイス用アプリケーションで情報や商品を閲覧していると、それに関連した品の広告が合わせて表示されるなど、読者の誰もが体験済みであろう。企業はアプリケーションユーザーをその商品カテゴ込み顧客とみなしており、閲覧履歴や購買履歴を基に、関連商品の情報をごく自然に、タイミングよく表示する仕組みを取だ。消費者は、こうした商品の広告を目にすることで、さらなる購買意欲を刺激される。

ここで重要なのは、情報の受け手にとって情報の内容や届くタイミング、手段が適切であるかどうかということだ。これらが適切でないと、顧客が受け取る情報の価値は低くなるどころか、逆にノイズになる可能性もある。小林は「顧客が求めているのは、企業側の都合で発信されるプロモーション情報ではなく、自分の興味関心にマッチした有益な情報と、思わず膝を打つような体験だ」と強調する。
では、どうしたら企業からの一方的な「宣伝・告知情報」ではなく、顧客が「知りたい、興味のある情報」へと価値を高められるのか。その鍵となるのが“パーソナライズ”である。パーソナライズの精度を徹底的に追求することで、顧客が望んでいる情報を絶妙なタイミングかつ適切な方法で届けられるようになる。企業と顧客の間にある多様な接点から得られる情報を活用すれば、今の時代に求められる“一人ひとりの顧客に合わせた豊かな体験価値”の提供が可能になるはずだ。

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「顧客中心の時代」を勝ち抜くために強化すべきはカスタマーエクスペリエンス

概要

  • 快適なデジタルライフの普及が企業のマーケティングを変えた
  • パーソナライズの高度化を阻む、“顔の見えない”顧客層の出現
  • “顔の見えない顧客”を理解する「DMPソリューション」も登場
  • デジタルマーケティングとは継続的な事業拡大を実現するエンジン
  • 総合的にマーケティングを支援するケイパビリティ

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