バイオメトリクス国際標準化

最終更新日 2017年8月29日

概要

ISO/IEC JTC1 SC37(Biometrics)では、6つのWGでバイオメトリクスに関連する様々な国際標準規格を開発しています。

富士通研究所の取り組み

富士通研究所では、指紋認証、手のひら静脈認証に関する研究・開発を行っており、ISO/IEC JTC1 SC37の各WGに委員を派遣し、関連する国際標準規格の開発を推進しています。特に、手のひら静脈認証は富士通独自の技術であるため、静脈画像データフォーマット規格ISO/IEC 19794-9のProject Editorに就任して、各国から規格原案に対して提出されたコメントの処理案作成や規格原案の編集業務を担当し、主導的に規格開発を進めています。これまでに、第一世代、第二世代の規格が発行され、現在、第三世代のフォーマット規格39794シリーズの検討が開始されています。

また、富士通研究所ではISO/IEC JTC1 SC37の設立当初から、データ交換フォーマットだけでなく、標準APIを規定する19784シリーズ(ISO/IEC 19784 Information technology - Biometric application programming interface、BioAPI)や生体情報データを格納する枠組みを規定する19785シリーズ(Information technology - Common Biometric Exchange Formats Framework、 CBEFF)において、手のひら静脈認証の対応を進め、国際標準に反映させてきました。さらに、生体認証の運用に関連する重要な規格として、Part-1 Frameworkの改版が開始された性能評価と報告に関する19795シリーズ(ISO/IEC 19795 Biometric performance testing and reporting)、テンプレート保護の性能評価に関する30136シリーズ(ISO/IEC 30136 Template protection)、偽造物によるなりすましなどの入力攻撃の検出に関する30107シリーズ(ISO/IEC 30107 Presentation Attack Detection)についても積極的に規格開発を進めています。

富士通研究所では、生体認証の国際標準化の枠組みにおいて、皆様に積極的に手のひら静脈認証技術をご活用いただけますように、今後も関連規格の開発を進めてまいります。

生体認証に関する標準規格の関係
生体認証に関する標準規格の関係

静脈画像データフォーマットのISO/IEC国際標準規格

概要

ISO/IEC JTC1 SC37/WG3では、バイオメトリクスシステムの相互運用を目的とした互換データフォーマット規格の開発を行っています。ISO/IEC 19794シリーズは、互換データフォーマットを定義する規格であり、指紋、顔などのモダリティ毎に定義されるマルチパート規格です。この中の第9部ISO/IEC 19794-9が、静脈画像データフォーマットに関する規格です。これまでに、第一世代、第二世代の規格が発行され、現在、第三世代のフォーマット規格39794シリーズの検討が開始されています。

ISO/IEC 19794-9:2011

富士通研究所が主導して標準化を進めてきた静脈認証用の画像データ交換フォーマットがISO/IEC19794-9:2011 Information technology - Biometric data interchange formats - Part 9: Vascular image dataです。ISO/IEC JTC1 SC37では生体認証の国際標準化を進めており、富士通も積極的な取り組みを行っています。その中のWG3では生体認証用のデータ交換フォーマットに関する標準規格の開発を行っています。このISO/IEC19794-9:2011、生体情報データ交換フォーマット第9部:血管画像データの規格開発において、富士通研究所からProject-Editorをノミネートして国際会議対応や静脈画像に関する規格策定に主導的な役割を務め、早期の国際標準化に貢献しました。このフォーマットでは、手のひら、手の甲、指の静脈画像に関するデータフォーマットが定義されています。ISO/IEC19794-9:2011は、2007年に発行された第一世代を改版した第二世代の規格です。第二世代では、指紋、顔、虹彩などのデータを定義する他の19794パートとの調和をより強化するために共通ヘッダへの対応を行うとともに、第一世代では別規格として定義されていたサンプル品質や適合性試験方法に関する詳細定義を統合しており、より使いやすいものとなっています。静脈画像データフォーマットについても、適合性試験方法に関する規格(ISO/IEC 19794-9:2011/Amd 1:2013 Conformance testing methodology)、ネットワーク上で利用しやすくするためのXMLエンコードに関する規格(ISO/IEC 19794-9:2011/Amd 2:2015 XML Encoding and clarification of defects)の2つの追補規格が発行され、手のひら静脈認証技術の国際標準化への対応を進めてきました。
第二世代規格はパート間の調和を強化しましたが、第一世代規格との間の互換性は考慮されていませんでした。このため、電子パスポートなどに広く使用されている第一世代規格を第二世代規格に置き換えることができず、第一、第二世代両方の規格を残さざるを得ない状況になっています。こうした反省を踏まえ、SC37では将来の互換性を考慮した第三世代規格39794シリーズの検討を開始しました。第三世代フォーマットは、拡張可能なフォーマットとして定義され、ISO/IEC 30107-2で定義する入力攻撃検知用のデータなどの格納も視野に入れて検討が進められています。まず、フレームワーク、指紋画像、顔画像の規格開発を先行して進め、議論が固まったところで静脈画像などの他のフォーマット規格の開発を始めることになっています。第三世代の静脈画像フォーマットに対し、既に富士通研究所からProject-Editorをノミネートしており、次世代規格の開発も積極的に推進していきます。

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生体認証国際標準化(SC37)への取り組みについて

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