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Innovation Focus

信頼されるAIの実現に向けて――富士通研究所のグローバル・イニシアティブ

2020年10月12日

人工知能(AI)が人々の日常生活に普及し始めました。AIへの依存度が飛躍的に高まるにつれ、AIが出した結果に、いかなる形であっても、偏見、差別、不透明さが含まれることは許されなくなってきました。「良いAI社会」を実現するには、AI倫理に基づき、グローバルな機関、政府、さまざまなステークホルダーが協力して「信頼のエコシステム」 を構築することが不可欠です。

信頼されるAIを実現するために、富士通では人間中心(Human Centric)のアプローチをしています。これは、優れた技術を開発するとともに、技術だけでは解決できない側面に十分注意を払うことを意味します。AIアルゴリズムが「ブラックボックス」であることは、これからは受け入れられません。信頼されるAIの基礎を形成するために不可欠な要素は、透明性、説明可能性、監査可能性、アカウンタビリティです。しかし、信頼されるAIの要件は単純ではありません。文化の違い、多様性、公平性、道徳的価値、平等などの込み入った社会的および倫理的側面を考慮しなければ真の解決は図れません。例えば、公平性は一枚岩の概念ではありません。公平性の基準は地域ごとに異なり、特定の事業領域を対象とする必要があります。そのためには、このような社会的要件を満たす、責任ある設計手法を確立し、「人間中心(Human Centric)」のアプローチに沿ったものにする必要があります。

「倫理的なAI」の文化

富士通は、責任のあるAIの構築に向けた取り組みや実践を進め、標準化や規制の活動に関わることで、「信頼のエコシステム」の確立に主導的な役割を果たしています。富士通が設立メンバーとして参画するAI4Peopleは、倫理的なAIに向けた責任のあるフレームワークの確立と促進、およびAIのガバナンスに関する提言の策定に焦点を当てて活動するマルチステークホルダーによるフォーラムです。同組織は欧州で立ち上がり、グローバルに活動を行っています。

欧州人工知能協議会(ECIA; European Consultation on Artificial Inteligence)グループおよびEU AI Allianceへの加盟を通じて、堅牢なEU規制および投資政策フレームワークの確立に貢献しています。また、OCEANIS (The Open Community for Ethics in Autonomous and Intelligent Systems:自律的および知的システムにおける倫理のためのオープンコミュニティ)への加盟を通じて、AIの倫理的使用と応用に関して基準となる範囲や役割を定めることにも貢献しています。

富士通はまた、2019年3月に「富士通グループAIコミットメント」として、信頼性・安全性・責任感のあるAIの利用に向けた取り組みをいち早く表明しています。また2019年9月には、富士通グループに対して信頼性の高いAIに関する助言・提言を行う 「富士通グループAI倫理外部委員会」 を設置し、社外の有識者との継続的な対話を通じて、AIが社会に安全・安心に普及するための取り組みを開始しました。

これらの活動と並行して、全社員を対象としたe-ラーニングによる 「AI倫理教育」 をグローバルに展開しています。AIを用いたソリューションやサービスを責任のある設計にする重要性を従業員に認識させ、最終的に顧客の信頼を得ることを目指しています。

富士通の研究開発を支えるAI倫理

富士通研究所は、富士通の研究開発の中核機関として、技術・非技術・社会活動を柱とするAI倫理の徹底に取り組んでいます。ステークホルダーとパートナーによる仮想エコシステムを構築する取り組みは、AI4People、産業界、学術パートナーとの緊密なパートナーシップを含む国際的な協力関係によって支えられています。

現実の問題を解決するために、富士通研究所ではステークホルダーが構成する仮想エコシステムとの協働に取り組んでいます。このことは、公平性、説明責任、透明性、説明可能性に基づく信頼されるAIに向け、世界的に受け入れられるフレームワークの開発と構築に我々が積極的に参加していることを示しています。富士通研究所の基本的な目的は、人間中心(Human Centric)のAIを構築するためのベストプラクティスを確立することです。

今後に向けて

富士通は、オープンな標準を確立するための国際的な取り組みと、それに対応する規制や認証プログラムにおいて、主導的な役割を果たしています。社内では、全社レベルでの行動規範の制定、信頼されるAIに関する外部委員会の支援による強固なガバナンスの確立、および「信頼できるAI」を実践し提供するために、すべての従業員を対象に教育プログラムを用意し、積極的にトレーニングと教育を行っています。学術機関、業界のパートナー、顧客とのオープンイノベーション・プロジェクトを通じて、富士通は人間中心(Human Centric)で信頼できるAIソリューションやサービスの開発に取り組んでいます。

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