仏Inriaとの共同研究成果をOSS化しScikit-learnコンソーシアムへ参画!

 

2019年11月6日

株式会社富士通研究所(以下、富士通研究所)とフランスの国立研究機関であるInria(*1) は、2017年より進めてきたAI分野における共同研究で開発したTopological Data Analytics(以下、TDA)技術の一部を、同分野のOpen Source Software (以下、OSS)であるGudhi(*2) を通じて、公開します。
また、富士通研究所は、AI分野における世界最大のOSSであるScikit-learn(*3) をサポートするためにScikit-learnコンソーシアムへ参画し、コミュニティの持続的運営と成長にも貢献します。
今後、富士通研究所とinriaはAIのみならず数理分野などへの連携拡大・推進を実施していきます。

背景

AI/機械学習は近年目覚ましい発展と様々な分野への展開を見せていますが、その成長を下支えしているのはOSSコミュニティです。機械学習アルゴリズムやそのノウハウの多くは、広くオープンソースとして公開され、大勢の有志の協力のもと開発が進められています。データサイエンティストやAI研究者はそれらOSSを利用しながら課題解決に取り組み、新しいアルゴリズムの開発をしています。今のAI/機械学習の隆盛は、これらOSSの存在があればこそではないでしょうか。
富士通研究所はその研究活動の中で多くのOSSを使用しており、現在ではOSSなしに研究活動を推進することは不可能なほどです。このため富士通研究所はOSSコミュニティの持続可能な発展が、業界全体の今後の研究活動にとって非常に重要であると認識しています。

新たな取り組み

今回、これまでの取り組みを踏まえ、富士通研究所とInria は広くAI/機械学習コミュニティへの貢献を実施し、コミュニティの持続的発展に寄与していきます。

(1)共同研究成果をOSSとして逐次公開
富士通研究所とInriaは AI/機械学習分野において、TDAによる時系列データ解析技術の共同研究を進めてきました。本TDA技術は、従来は熟練者の知識を必要とした特徴量を「データの形」から導き出す独自の技術です。これにより、特に個人差やノイズのため従来は非常に困難であった時系列データの分類や、異常検知に関して顕著な成果を出してきました。例えば、橋梁に埋め込んだ加速度センサーの時系列データから異常検知を可能にし、また、心拍データからの致命的な不整脈分類の世界最高性能樹立などの成果があります。
富士通研究所とInriaはAI/機械学習コミュニティへの貢献の第一弾としてこれまで行ってきた共同研究成果を、InriaのTDA OSSであるGudhi を通じて順次公開します。本公開により、時系列データの機械学習適用が広がり、今までは熟練者のスキルが必要であった時系列データの分類や異常検知が容易に行えるようになります。またインターフェイスもAI/機械学習エンジニアが慣れ親しんだデファクトスタンダードに準拠し、幅広いAIユーザーへの機械学習適用に貢献します。

(2) Scikit-learnコンソーシアムへの参画
Scikit-learnは、標準的なAI/機械学習アルゴリズムのソフトウェアライブラリです。AI/機械学習分野における世界最大級のOSSであり、デファクトスタンダードでもあります。Scikit-learnは、当初、Inriaのトップレベルの科学者たちによって開発されていました。その後、Inria財団 (*4) が設立されたのを契機にScikit-learnコンソーシアム (*5)が組織され、現在ではそのScikit-learnコンソーシアムによって運営されています。Scikit-learnコンソーシアムは、OSSプロジェクトを積極的に支援し、プロジェクトに資金を提供することをいとわない企業で構成された協力体です。
富士通研究所は広くAI/機械学習コミュニティの持続的発展寄与を目的に、Scikit-learnコンソーシアムへGold memberとして参画することを決定しました。これによりScikit-learnのOSSコミュニティ活動を支えていきます。
さらにScikit-learnコンソーシアムへ、Advisory Committeeとして小橋博道主任研究員を派遣し、Scikit-learnの方向性決定や開発にも参加します。これによりScikit-learnの開発貢献に加え、富士通の多くのビジネス経験から得られた知見や様々な要望などの還元を推進します。また、本参画を通して社内AI人材の育成にも注力します。

今後の展望

時系列データ以外のデータ・タイプや、TDAに限らず数理分野などにも連携の範囲を拡張し、より緊密な体制で連携を進めていきます。

[Inria副所長 Jean Frédéric Gerbeauのコメント]
Inriaは富士通研究所との協業をとても誇りに思います。なぜなら、これは私たちの二つの信念を完璧に示しているからです。第一に変革を起こすようなアイデアの多くは、非常に高度な基礎研究に基づいていること、第二にOSSは新しい手法で学術界を越えて広めるための非常に優れた手段となり得るためです。

[Scikit-learnコンソーシアムAdvisory Board Gaël Varoquauxのコメント]
富士通および富士通研究所との提携は、我々のミッションである「機械学習の全てのアプリケーションをScikit-learnで良くする」ことを実現できるものです。富士通研究所がScikit-learnコンソーシアムの技術委員会に参加することによってもたらされる洞察に期待しています。

[Inria財団ディレクター Claude Puechのコメント]
Inria財団のミッションの1つは、研究コミュニティと企業の両方の利益のために、OSS開発を支援することです。Scikit-learnは、大きな影響力を持つOSSの良い例です。富士通研究所がこのグループに加わることを決めたことは、とても喜ばしいことです。今後もInriaとInria財団とのコラボレーションの拡大を期待しています。

[富士通研究所 主任研究員 小橋博道のコメント]
Scikit-learnという世界にその名が知れ渡っているコミュニティにAdvisory Committeeとして参加できることは、本当に光栄です。コミュニティの持続的運営はもちろんですが、富士通のビジネスを通して得られた知見などの反映によるコミュニティ発展にも貢献していきます。

注釈

*1 Inria:デジタル科学技術を研究するフランスの国立研究機関
   住所: Domaine de Voluceau、 Rocquencourt-BP 105、 78153 Le Chesnay Cedex 、 CEO: Bruno Sportisse https://www.inria.fr/en/

*2 Gudhi:InriaのData Shapeグループ(グループ長: Frederic Chazal教授)が開発したTDAのOSS http://gudhi.gforge.inria.fr/

*3 Scikit-learn:OSSであり、AIと機械学習のデファクトスタンダードである https://scikit-learn.org

*4 Inria財団:非営利団体。社会に高いインパクトを与えるデジタル技術を重視したプロジェクトを支援・促進

*5 Scikit-learn consortium:https://scikit-learn.fondation-inria.fr/en/home/

本件に関するお問合せ

sklearncommittee@ml.labs.fujitsu.com

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