JST ACT-X「数理・情報のフロンティア」領域の研究テーマに富士通研究所 研究員3名が採択

 

2019年10月8日

株式会社富士通研究所から若手研究員が、科学技術振興機構(以下:JST)の研究支援プログラム、ACT-X「数理・情報のフォロンティア」の研究テーマに応募し、池・早瀬・鈴木の3名のテーマがそれぞれ採択されました。2019年度 ACT-Xへは170件の提案があり、30名(30テーマ)が採択されましたが、一般企業からの採択は当社のみでした。
JSTでは、文部科学省の選定した戦略目標「数理科学と情報科学の連携・融合による情報活用基盤の創出と社会への展開」、「Society5.0を支える革新的コンピューティング技術の創出」にもとづき、CREST・さきがけ・ACT-Xなどの研究支援プログラムを実施しています。その中でもACT-Xは、独創的・挑戦的なアイデアを持つ若手研究者を見いだして育成し、研究者としての個の確立を支援する個人型研究です。
今回募集された研究領域「数理・情報のフロンティア」では、数学・数理科学と情報科学を融合により、未来を切り拓く若手研究者を支援し、AIやビッグデータ解析などデータ駆動型のアプローチだけでは困難な実社会の問題解決や付加価値創造に向けた、新たな基盤技術の創出を目的としています。

人工知能研究所 オートノマス機械プロジェクト 若手研究員3名人工知能研究所 オートノマス機械プロジェクト 若手研究員3名

採択テーマ紹介

採択されましたテーマと研究員を紹介します。

「幾何的アプローチによる革新的なデータ解析の研究」 池 祐一

Topological Data Analysis(位相的データ解析 以後:TDA)は、「柔らかい」幾何を用いてデータ解析を行う手法です。現在のTDAには複数のパラメータを持つパーシステントホモロジー*1の情報を有効活用できない・データの曲がり方などの情報を捉えられないという課題があります。本研究では、上記の課題の解決を目指して、新たな幾何的視点によるデータ解析の基礎構築に取り組みます。

◆抱負
層理論は純粋数学における強力な道具で、数学のあらゆる分野に応用があります。この研究では、層理論の視点からデータ解析分野にアプローチして、新たな解析手法の創出に挑戦したいと考えています。純粋数学と情報科学の両方に関わる広い研究の中で新しい発見ができるように、様々な研究者と協力して研究に取り組んでいきます。

*1 パーシステントホモロジー:データの点群のおおまかな形を連結成分の個数や穴の個数といった指標でマルチスケールに表現したもの。

池 祐一 研究員池 祐一 研究員

「自由確率論による深層学習の研究」 早瀬友裕

データを用いて機械に学習能力を持たせる統計的機械学習は、深層学習の進化により様々な分野へ実用化されています。深層学習では、簡単な変換を積み木のように積み重ねて統計モデルを作ります。しかし、大量に積み重ねるうちに不安定になる現象(勾配の発散・消失問題)など、従来の統計モデルにはない現象が起こります。新現象を新たな知識とするためには体系的な理解が必要ですが、深層学習の統計モデルは複雑で高次元のため、理論的取り扱いが困難です。そこで本研究は現象論的にアプローチし、新現象の発見、複雑・高次元モデルに有効な体系的数学理論(自由確率論)による理解、アルゴリズム創出を相互に行き来します。生成モデル・強化学習の高速化・安定化への適用も狙います。

◆抱負
近年、面白い関連研究(平均場理論*2)が進み、新たなるチャレンジが求められているこの好機を逃さず取り組みます。自由確率論を基盤として新しい高次元モデルの深層学習を透明に理解することで、従来の確率統計学だけでは見えてこなかった新たな科学の地平を見すえ、追究していきます。

*2(ニューラルネットワークの)平均場理論: 深層学習におけるパラメータの統計性に注目して大雑把な性質を調べ、深層学習の理解やモデル設計の提案・アシストをする理論

早瀬友裕 研究員早瀬友裕 研究員

「モデルベースト制御による理論保証を伴う深層学習ロボットの研究」 鈴木彼方

ロボットの実運用分野では、深層学習技術により高度なロボット動作生成が可能になっています。しかしその一方で、訓練データ領域外の未定義動作について、学習器はその生成結果を保証することが困難です。本研究では、モデル化された制御器のダイナミクスを学習器の内部表現に組み込むことで、学習能力と出力結果保証を両立する手法の確立を目指します。

◆抱負
ロボットの実環境への応用には未だ多くの課題があり、ハード・ソフトの様々な側面から取り組まれています。本研究では、学習ベースト手法とモデルベースト手法を組み合せ、実環境でのタスク遂行を見据えた、より柔軟な動作学習手法を提案していきたいと考えています。また、本研究がロボットのみならず、深層学習の制御応用おける新たなアプローチとなれるよう、取り組んでいきたいと思います。

鈴木彼方 研究員鈴木彼方 研究員

今後

富士通研究所は、社会の実課題解決に向けて産官学連携を通し、AIやビッグデータ解析などのデータ駆動型アプローチや数理科学と情報科学の連携・融合を強化します。そして、新たな基盤技術創出や付加価値創造へ挑戦していきます。

本件に関するお問合せ

actx2019@ml.labs.fujitsu.com

このページをシェア

  • facebook
  • twitter
  • LinkedIn
  • LINE
  • Weibo

富士通研究所についてもっと詳しく

ページの先頭へ