社員が語る、富士通研究所の強さの秘密
「自由」「柔軟」「オープン」が優れた研究を生み出す

世界をリードする先端テクノロジーの研究・開発を行う富士通研究所では、約1,200名の社員が所属しています。一概に研究職といっても社員それぞれのバックグラウンドや目指す方向性は様々です。今回は富士通研究所の4名の現役社員が集まり、自身のキャリアや富士通研究所という職場について語りました。

2019年4月5日 掲載

社員座談会

MEMBERS

  • S.チョーダリー

    Choudhary, Shridhar

    ソフトウェア研究所 デジタルサービスプロジェクト

    「Nothing is IMPOSSIBLE, because the word itself says I’M POSSIBLE」。研究のすべてにおいて成功を導くのはとても難しいことですが、日頃から多くの方々と話をすることが、よりよい研究と新たなアイデアにつながっています。
  • 大堀 耕太郎

    Ohori, Kotaro

    人工知能研究所 発見数理技術プロジェクト

    「Today's Problems Come From Yesterday's Solutions」。多くの場合、自分の目の前で起きている問題の原因は、自分の見えないところにあります。新たに研究開発を始めるときは、社会を深く理解し、本質的課題を探すことに時間をかけるようにしています。
  • 牧野 拓哉

    Makino, Takuya

    人工知能研究所 ナレッジテクノロジープロジェクト

    Time is money. 仕事は極力定時で終えることを心掛け、その分限られた時間で効率的にアウトプットすることを心がけています。そして空いた時間はプライベートを楽しんだり、勉強したりしています。
  • 林田 尚子

    Hayashida, Naoko

    Sensecomputing研究センター

    「Don't spend time beating on a wall, hoping to transform it into a door」という言葉について、公私ともにふと考えます。壁を壊す力を身につけるか、ドアを探すか。壁と戦うのを趣味にする以外の方法を考えることも大事ですね。

研究者として数多くの選択肢がある

まずは皆さんの自己紹介を兼ねて、富士通研究所で現在どんなテーマの研究に携わっているのかを教えてください。

大堀

人工知能研究所の発見数理技術プロジェクトに所属し、数理技術をベースにしたAIシステム開発を行っています。最近注力しているのは、様々な社会課題を数理的アプローチで解決するものです。例えば、自治体の職員の方が苦労されている保育所入所選考や移住相談をAIで解決することにトライしています。

林田

Sensecomputing研究センターに所属し、人の五感、直感、錯覚、欲求、共感などの心理面をも含めた、人間らしい考え方や振る舞い、感じ方をICTが理解するための次世代コンピューティングの研究開発を行っています。人間同士の“共感”を機械に理解させたり、サポートさせたりすることを狙っています。

牧野

私も大堀さんと同じ人工知能研究所でナレッジテクノロジープロジェクトに所属しています。取り組んでいるのは、自然言語処理を中心としたデータモデルの構築・活用に関する研究です。例えば新聞記事を要約したり、特許の出願書類や学術論文などからキーとなる化合物の名称を抽出したりといった処理を自動化するものです。

チョーダリー

ソフトウェア研究所のデジタルサービスプロジェクトに所属しています。先の3名の皆さんと少し毛色が違っているのは、よりビジネスに近い領域において新しいデジタルサービスを創出しようとしていることです。社内外の様々なアイデアやテクノロジーを組み合わせ、実証実験を行うための基盤づくりを進めています。

富士通研究所の一角にある和モダンな一室に集まった4名。第五代社長 岡田完二郎氏の功績を展示した応接室を、和の文化・精神性と最新テクノロジーを融合した共創空間として改装し、様々な場として活用している

非常に幅広い分野にまたがる皆さんの研究ですが、どのような経緯から民間企業の研究者となる道を選ばれたのでしょうか。例えばアカデミックの世界で研究者になるという別の道もあったかと思います。

大堀

確かにアカデミックな世界で生きていきたいと考えるのは、多くの研究者にとっての主流かもしれません。実は私自身も大学で教員をやっていました。ただ、大学の教員というポジションは常に保証されているわけではなく、任期が切れるタイミングで富士通研究所のキャリア採用に応募して入社しました。当時、大学で共同研究を行っていた富士通研究所の方から、お誘いを受けたのがきっかけです。もっとも、民間企業に研究の場を移したからといって、将来の方向性まで決まってしまうわけではありません。富士通研究所から逆に大学教員に転身する方も珍しくなく、その時々で研究者としての選択肢はたくさんあります。

牧野

私は修士課程を修了した時点で新卒として民間企業に就職する道を選びましたが、やはり博士課程に進むべきではないかと迷ったのも事実です。そうした中で富士通研究所に興味を持ったのは、「博士号取得支援制度」という制度があると知ったからです。実際、この制度を利用し、現在も博士号の取得を目指しているところです。もちろん“二足のわらじ”を履くことには大変な苦労もありますが、上手く研究テーマを選べば、仕事の成果をそのまま論文にまとめて学位取得の近道になります。このメリットは非常に大きいと考えています。

チョーダリー

私は文部科学省の奨学金を受けてインドから留学生として来日したのですが、もともと日本企業で働きたいという強い思いを持っていました。そこで修士課程の1年目に富士通研究所のOBの方を通じてインターンを経験させていただき、大学院卒業後にそのまま入社するに至りました。このような経緯ですから、民間企業に就職することについては、まったく迷いも悩みもありませんでした。むしろ、研究職というよりもマネジメント志向の強い私のような人間にも門戸を広げ、チャンスを与えてくれる富士通研究所に入社できることに大きな喜びを感じました。

林田

私は博士課程まで進学し、博士号を取得して富士通研究所に入社しました。情報系の専門に進んだのは高等専門学校(高専)からで、その後大学でも、大学院でも、その時々で並列計算、モバイルコンピューティング、Computer Mediated Communication(CMC)と、インターネットの発展とともに、興味のある様々な分野に携わってきました。そんな背景もあって、チョーダリーさんと同じく民間企業に就職することに特に迷いはありませんでした。また、どんな研究ができるかということと同じくらい、どんな研究者・技術者と一緒に仕事ができるかということも、私にとっては重要なポイントだったので、例えばソフトウェアとハードウェアといった専門の異なるプロフェッショナルが一緒になって、実際のビジネスの現場で使われる製品やサービスを作り上げられるような民間企業というのは魅力的でした。

研究テーマはフレキシブルに捉え、研究者として生きる

前向きな気持ちで民間企業の研究者としての道を選ばれたということですね。ただ、そうした中でも多くの企業の選択肢があります。富士通研究所を選んで良かったと思えるのは、どんなところでしょうか。

大堀

現在の企業では「T型人材」や「π型人材」が強く求められています。T型人材とは、特定の専門分野を極めると共に、それを軸としてその他の幅広いジャンルに対しても知見を持っている人材を指します。π型人材はT型人材をさらに進化させたもので、2つ以上の専門分野に精通し、複合的な判断や調整を図ることができる人材です。研究者も決して例外ではなく、特に今後に向けては複数の専門分野を横断した知識と知見、経験を持つことが重要な要件となっていきます。そう考えたとき、富士通研究所では例えば隣の部屋を覗いてみれば、まったく違った分野の研究者がたくさん活動していて、ディスカッションも自由に行うことができます。そんなオープンな企業文化を持っているところが、富士通研究所の最大の魅力ではないかと思います。

実際に研究テーマを変えたりすることも可能なのでしょうか。

大堀

よくありますよ。自分の関心対象が変わって、もっとビジネス寄りのことをやりたくなった、あるいは基礎技術を極めたくなったといった際にも、フレキシブルに部署を異動することができます。現実問題として、様々な研究テーマに対するニーズも時代と共にどんどん変遷していきます。例えば今の世の中は第3次AIブームに沸いていますが、少し昔を振り返るとAI研究は低迷した冬の時代にありました。その意味で自分自身がより大きく活躍できる場を能動的に見つけ出し、チャレンジしていくことも、研究者が生き残っていく上では非常に重要な戦略となります。そして富士通研究所には、そうした研究者の思いに応えていく制度や環境が用意されています。実際、私の所属部署名は毎年のように変わっており、古巣の大学の研究室を訪ねて恩師に新しい名刺を渡すたびに、「大堀君、そんなに頻繁に変わって大丈夫なのか」と心配されるほどです(笑)

チョーダリー

そこは本当に富士通研究所ならではの特長ですね。グローバルで見ても、民間企業の研究機関では非常に稀なことです。原則として特定の研究テーマに特化した採用となるため、元々かなりのスキルと実績を有していないと入社できませんし、途中で研究テーマを変えることも容易ではないと思います。

大堀

もちろん時代がどう変わっても、ブレることなく1つの研究テーマに邁進していくタイプの研究者も重要であるのは言うまでもありません。富士通研究所は、その適度なバランスが取れているようです。

世界の研究環境を肌身で感じ、最先端を知る

研究職という仕事をする中で良いと思った制度はありますか。

林田

私の経験からは、富士通研究所の魅力の1つとして「海外派遣制度」をぜひ紹介したいと思います。毎年5~6名の研究者が各分野のトップレベルの研究室でビジティングリサーチャーとして海外で研究を行うことができる制度があります。私は2010年に応募して米国のカーネギーメロン大学に赴きました。当時所属していた部署の、次世代の研究の種を持ち帰ってくるというのが使命でしたが、海外に出ることには他にも多くのメリットがあります。

具体的にはどんなメリットがありますか。

林田

カーネギーメロン大学というと、ロボットと並んで経営管理の大学院も有名です。せっかくの機会なので、講義を担当されている先生と交渉し、いくつかのクラスへ出席させていただくことができました。経営管理のクラスは、とても衝撃的でした。授業中にビジネスデザインの一環として、大学内の売店を講義出席者でのぞきにいき、改善ポイントをチームでまとめたことがありました。衝撃の1つは、ネットの中の統計情報ではなく、実際の現場の観察に基づくビジネスデザインアプローチができる力を持った彼らが米国ビジネスをリードする立場につくのだということ。もう1つはこのクラスに参加している学生が経営管理を専門とする学生だけではなくデザイン系やエンジニアリング系などの他の専門分野の学生が含まれていて、それぞれの専門性を活かしたチームで働くことができるスキルや人脈をグローバルな世界の人材たちは大学時代に形成しているということです。このままではとても日本企業は世界市場で勝つことができない――。そんな危機意識を持てたことも私にとっての大きな収穫でした。

牧野

私もいつか海外派遣制度に応募したいですね。現在は博士号取得支援制度を受けている最中なので、しっかり学位を取得してからになりますが、一度は米国のハイレベルな研究動向を肌身で感じて持ち帰りたいと思います。また、海外に行かないまでも、林田さんのような経験者のお話を聞くだけでも大きな刺激を受けます。

多様性を尊重し、シナジーを発揮してきた強みをさらに伸ばす

民間企業の研究所でありながら、一人ひとりの研究者が一定の自由度を保って活動する社員。その多様性を受け入れる柔軟性を備えた組織。双方に魅力がある中で皆さんは、今後に向けてどのようなスタンスで研究活動にチャレンジしたい、あるいは富士通研究所を盛り上げていきたいと考えていますか。

牧野

先に述べたような自然言語処理を中心としたAIのデータモデルでイノベーションを起こすことが私のモチベーションとなっていますが、様々なメディアや展示会などで公開できる成果も着実に増えており、自分なりに大きな手応えを感じています。一方、チームとしての活動に責任を持つ立場になったことも自覚し、要素技術に近視眼的にとらわれるのではなく、より大局的な視点から自分たちはどんな価値を世の中に提供すべきなのかを熟慮し、社会貢献を目指していきたいと思います。

チョーダリー

新しいデジタルサービスの展開に向けて、多くのお客様と実証実験を進めると共に、様々な課題を明確化しつつあります。ただ、そうした中で、私が今最も懸念しているのはICT技術者とビジネス現場の間に存在している意識の格差です。このギャップを埋めないことには革新的なデジタルサービスを前進させることはできず、それこそが今後の私自身に課せられた使命だと考えています。そのためにはプロジェクトマネジメントの能力をもっと高めていかなければなりませんし、富士通研究所と富士通本体の事業部門との間の橋渡し役なども積極的に担っていきたいと考えています。

林田

私の携わっている研究テーマは、人にとって望ましい次世代のコンピュータの姿を探求するものともいえます。そのため、人の研究という側面も持ち、学際的なアプローチが欠かせません。社内外の多様な人たちとつながりを持ち、組織を超えて柔軟にチームをつくることで、一人の専門性だけでは成し得ない価値を生み出していくことは、今後、研究所の中でも多くの分野で重要になってくるかと思います。これを実現するには、一人ひとりに何でもできることを求めない、ということが大事だと思っています。それぞれの強みを活かして、チームとして機能する、そういった研究環境を目指せると良いと思っています。

大堀

林田さんの素晴らしいご意見に賛同します。私も昨年に幹部社員として組織を牽引する立場になりましたが、自分の直轄チームだけを見ても、先端の基礎研究で競い合って論文を書きたい人、応用技術を研究したい人、ビジネス実践を推進したい人など、様々な目標を持った研究者がいます。そうした多様性を尊重して受け入れ、シナジーを発揮してきたのが富士通研究所に他なりません。「この研究しかできない」「自分の道はこれしかない」という思い込みはもったいないですし、またそうした考えに共鳴してくださる研究者を求めています。
デジタルトランスフォーメーションと呼ばれる社会全体の変革が急速に進んでいく中で、その強みをさらに活かした新しい富士通研究所のダイナミズムを皆で確立していきたいですね。

ありがとうございました。

研究所の歩みと受賞歴がわかる展示ホール。これまでの偉大な功績に現役研究者たちの背筋がのびる

このページをシェア

  • facebook
  • twitter
  • LinkedIn
  • LINE
  • Weibo

富士通研究所についてもっと詳しく

ページの先頭へ