朝日放送テレビ株式会社 様

放送業界の特殊な会計処理と多様な業務フローにフィットする新経理システムを構築
~管理会計の強化とグループ経営の高度化を見据えた、システム基盤の確立へ~

ABCの愛称で関西の人々に親しまれ、高校野球放送などで全国からも注目を集める朝日放送テレビ株式会社(以下、TV社)。老朽化した経理システムを刷新するため、株式会社富士通九州システムズ(以下、FJQS)のメディア業界向け財務・管理会計システム「Fine@MEDIA」をベースに新システム・ATLAS(Asahi TotaL Accounting System)を構築されました。

また、ATLAS構築プロジェクト(PJ)の推進中、新たに朝日放送グループホールディングス(以下、GHD)が発足し、放送事業をTV社と朝日放送ラジオ株式会社(以下、RD社)に分社化したのにともない、GHD本体のHD社とTV社・RD社でのATLASの3社同時稼働を実現しました。FJQSは複雑化していた業務フローと経理システムの再構築に貢献。さらに、管理会計を強化するデータ活用・分析、グループ企業共通のシステム基盤の確立に向け、サポートを続けています。

課題
効果
課題10年以上使い続ける現行の経理システムが老朽化したのに加え、機能追加を繰り返したことで業務フローとシステムが複雑化し、使いにくい。
効果基幹事業である放送事業を中心に、複雑化した業務フローを解きほぐして「見える化」し、現場業務にフィットする「わかりやすく、使いやすい」新たな経理システムを構築。
課題日・月・年次の支払・請求や予算・決算の管理だけでなく、実績データの管理・分析・活用によって管理会計を強化し経営を高度化したい。
効果当初は「朝日放送」1社の導入後にグループ展開を行う想定をしていたが、ホールディングス化にともない、新システムのHD社・TV社・RD社の3社同時稼働と安定運用を実現。マスタの共通化や各社のフレキシブルな運用、3社間取引の請求・支払が可能に。
課題連結決算だけでなく将来構想として、グループマネジメントを見据えた共通のシステム基盤の構築につなげたい。
効果管理会計を強化する新機能を搭載した新システムを運用フェーズへと移行。各事業の収支の明確化及び分析、グループ経営基盤としての機能のブラッシュアップを継続。
導入の背景

複雑な現場業務と収支・会計管理を「3Sのフロー」へ

時代のいまを映すニュースや、心に響くドラマ。多彩なバラエティー、情報、スポーツ番組の制作・放送に、イベント、コンテンツ配信などを手がける朝日放送テレビ。多角化による事業の幅広さに加え、多くのレギュラー番組、単発番組で個々に異なる広告収入、数多くの出演者の出演料や多岐にわたる経費の支払いなど、収支管理や伝票処理も複雑で特殊です。また、標準化できない業務が多いのも特徴です。

「2つと同じものがない番組制作は、すべて手づくり。原価をどう考え、会計処理はどうするのか。一般的な経理システムは業務実態に合いません。FJQSさんの『Fine@MEDIA』は放送業界で実績が豊富ですし、富士通グループの組織力も高く評価していました」
そう語るのは、経理局財務部財務課長 新妻 大輔氏。旧経理システムの老朽化を契機に、複雑化していた現場業務と収支・会計管理のフローを、3S化(シンプル、スリム、スピーディー)する新経理システム・ATLASの構築PJが始動。FJQSの管理責任者 鉄島 祥二は「Fine@MEDIA」をベースに見直し、ツールとして活用しながら、大規模に骨組みから「お客様と一緒につくる」システム開発をご提案しました。

「現場にフィットする新たなフローを確立しましょう、と。また、各事業の収支の明確化など、管理会計の強化を見据えたデータの管理・分析・活用につなげることも、大事なポイントでした」(FJQS:鉄島)

2015年6月にキックオフしたATLAS構築のPJは、優先順位をつけて3つのミッションを掲げました。(1)業務フローの見える化と再構築、(2)管理会計の強化、(3)将来構想として朝日放送グループ経営の共通システム基盤の確立、です。まず着手した新フローの構築は、申請書や決裁承認の動きを検証し、見える化。伝票の数や種類、承認印を必要最低限に減らし、申請・承認フローを社員に公開し透明化することも実現しました。

「何よりもATLASの業務フロー構築をするために、現状のフローを分析することで、課題や改善したい点を把握できたことが成果でしたね。一足飛びに変えられないこともありますし、今後どんなハードルを乗り越えればいいのか、進むべき方向性がより明確になりました」(TV社:新妻氏)

朝日放送テレビ株式会社
朝日放送グループ
ホールディングス株式会社
経理局 財務部
財務課長
新妻 大輔 氏
株式会社富士通九州システムズ
社会ソリューション本部
第三社会基盤ソリューション部
マネージャー(メディア)
鉄島 祥二
株式会社富士通九州システムズ
社会ソリューション本部
第三社会基盤ソリューション部
田村 裕宣
導入の効果

グループ3社の同時稼働へ、マスタを共通化し「一元管理」を実現

晴天の霹靂――。順調なスタートを切ったPJは開発工程終了間近の2017年春、想定外の事態に直面します。朝日放送グループが翌春に朝日放送ホールディングスに生まれ変わることになり、テレビ放送事業とラジオ放送事業の分社化が決まります。それはATLASを「HD社とTV社、RD社で3社同時稼働する」という、新たな挑戦を意味していました。

「将来構想だったグループ経営基盤の確立が、最優先のミッションに変わった瞬間です。1年後のタイムリミットまで待ったなしで、しかも未知なる挑戦への新たなスタートラインでした」と振り返る新妻氏。分社化しても、経理スタッフは限られた人員のまま、3社分の経理業務を担当することになります。どうすればATLASで効率的に間違いなく管理できるか、現場のユーザーにとって使いやすいメニューになるか。FJQSのPJリーダー田村 裕宣が考え出したのが、勘定科目や取引先申請などのマスタを共通化する、一元管理です。「マスタを統一できれば、業務もお金の流れもひとつになって、管理会計にも役立ちます。そのために、マスタを管理する主幹会社を決めましょう、と提案しました」(FJQS:田村)。

最も事業規模が大きく、管理項目も多いTV社がシステム上の主幹会社となり、絶対的な共通項であるマスタを構築・管理し、TV社での登録内容をHD社やRD社に反映させる仕掛けです。同時に、取引先の登録などは各社の取引実態に合わせ、各社個別に登録内容を変更できるフレキシブルな運用も可能にしました。また、このマスタの共通化により、HD社・TV社・RD社間の受発注管理など、分社化で生じる3社間の請求・支払いを効率的に行う機能を構築することができました。

「マスタを3社で個別に管理していたら、大変なことになっていたでしょうね。組織体もシステムも変わって『何を、どうしたらいいんだ?』と現場の社員は不安だったはずですが、FJQSさんのおかげで、ホールディングス化後の申請手続のフローや考え方が徐々に定着しています」と新妻氏。2018年4月のホールディングス化とともに稼働したATLASは、現場の使い手の声に耳を傾けながら、さらに満足度を高めるブラッシュアップが続いています。

今後の展望

データを有効に分析・活用する「体力測定」の管理会計の運用を

3社同時稼働を実現し安定運用を続けるATLASは、もうひとつのミッションである管理会計の強化へと歩みを進めています。予算・実績管理や事業別収支を把握するための基本的な機能はすでに搭載しており、今後はその機能を使いながら、ATLASで蓄積しているデータの管理・分析・活用と最適な運用管理をめざしています。

放送・メディア業界だけでなくあらゆる産業で、管理会計の強化が求められており、必須の経営課題です。新妻氏はその本質を「正確でスピーディーな体力測定」に例えます。健康かどうか、強みと弱みは何か。経営の健康状態の現在地を知ることで、強みはさらに伸ばし、弱みは鍛え直すことに役立てることができます。

「経理システムは“紙と鉛筆”と同じぐらい、なくてはならない必要なもの。ATLASの名が愛着をこめて呼ばれるようになれば、嬉しいですね。現場の社員と管理部門の私たち、どちらにも本当の意味で役立つシステムになった証しですから。要望を伝えると必ず、もっとこうした方が…と逆提案してくれるFJQSさんとは、互いに顔が見えるよい関係を、これからも続けていきたいですね」と笑顔で語る新妻氏。その期待に、FJQS鉄島も「よいものをつくるだけでなく、さらによいシステムへと成長させることが、私たちの仕事です」と、持続的なサポートに固い決意で応えます。

「朝日放送グループ全体の経理システム」を体現する「ATLAS」というネーミングは、PJメンバーの互選で決まりました。英語では「地図帳」の意味もあるATLASは、紙と鉛筆のように不可欠なインフラとなって、グループマネジメントの未来図を描き出していきます。

左から、FJQS 鉄島・朝日放送テレビ株式会社 新妻 氏・FJQS 田村

朝日放送テレビ株式会社

事業内容放送法による基幹放送事業、一般放送事業他
設立2017年4月(前身の朝日放送からの分社化にともなう準備会社設立、2018年4月事業開始)
所在地〒553-8503 大阪市福島区福島1-1-30
代表者代表取締役社長 山本 晋也
ホームページhttps://corp.asahi.co.jp/ja/tv/index.html
概要1956年にテレビ放送を開始し、近畿広域圏を放送エリアにANNネットワークの在阪局として、『M-1グランプリ』『必殺仕事人』『パネルクイズ アタック25』など全国区の知名度を誇る番組を数多く制作。2018年4月、朝日放送グループHDの基幹事業である放送事業(テレビ放送免許・事業)を継承する新会社として発足しました。アニメ制作やライツ管理の放送関連事業、通販や不動産の放送外事業など幅広いビジネスを展開するGHD各企業と連携し、総合コンテンツ事業グループへの進化をめざしています。コーポレートカラーは、朝日のように陽が昇る鮮やかな「Sunrise Orange」。

[ 2019年3月28日掲載 ]

お問い合わせ

株式会社富士通九州システムズ(FJQS)
社会ソリューション本部 第三社会基盤ソリューション部
電話:092-260-6217
メール:fjqs-callcenter@cs.jp.fujitsu.com


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