Vol.2ITサービスマネジメントの重要性

ITサービスマネジメントの重要性

IT部門に求められることは、システムを安定的に稼動させ、事業環境の変化にも柔軟かつスピーディに対応する能力です。日々変化する事業に対し、必要なITサービスを、適正なコストで提供し続けることがミッションと言えます。しかし、少なからずシステムエンジニアという職種では、新しいシステムの構築や導入の華やかさに目が行きがちです。確かに新システムの開発は、巨費を投じる重大なイベントですが、経営トップや利用者にとって、それは手段に過ぎず、最大の関心はその活用性にあるでしょう。

真の事業貢献を目的としたITサービス提供のためには、この開発者と利用者のパーセプションギャップ(認識差)を繋ぐ機能が必要となります。設計、開発段階ではメンテナンスフェーズにおける柔軟性や経済性を見越した計画が求められ、また、保守、運用の段階では、常に変化するビジネスの要請をメンテナンス計画へとフィードバックできる仕組みが必要でしょう。設計時点で要求されるサービスレベルが、長年の利用期間を通じて変わらないとは限りません。サービス要求を常に把握し、コスト効果のある施策としてマネジメントすることが重要です。

開発者ー利用者間のパーセプションギャップ

『ITサービスマネジメント』とは、こうしたIT部門本来のミッションに立脚し、「サービス視点のプランニング」と「ダイナミックなQCDコントロール」を実践する仕組みです。

ある大手製造業のお客様では、IT部門の要員のほとんどが「プロジェクトマネージャ」の肩書きを持っていました。しかしクラウド時代に向けて、システムを「作る」ことから、「安価で安定的に提供する」ことへの機能変革のため、全ての要員を「サービスマネージャ」に変えていくことに着手しました。そして今では、ITサービスマネジメントを実現するための仕組みを次々に実装しています。

一般的にシステム利用にかかるコストは、利用期間トータルで見ると運用段階のコストが開発のそれを上回ります。つまりシステムの活用フェーズにおけるマネジメントが、システムのライフサイクル全体における効率化の鍵を握ると言えます。

ITサービスマネジメントの機能領域

ページの先頭へ