Vol.1経営者からIT部門への期待の変化

ビジネスを支えるITからビジネスを革新するITへ

多くの企業で、ITへの依存度は高まり、既にIT抜きでの事業は成り立たなくなってきているといっても過言ではない中、安定したITサービスを継続的に提供すること、つまり、「ビジネスを支えるIT」の実現は、IT部門の第一義的な目的と言えます。
これを実現するため、従来からIT部門は改善を続けてきていますが、より低コストで、より安定したITサービスの提供への期待は更に高まり続けています。特に近年ではBCPや新たな脅威への対応等、従来より幅広く高度な技術・知識が必要となり、IT部門は日々進化し続けていくことが求められています。既にITは電気や水道と同じレベルのインフラとして「いつでも安く当然に使えること」が求められているのです。

一方で、IT部門が部門横断的な業務やデータの流れを把握していることを活かし、IT部門が主導して業務改革に取り組むケースが多くあります。また、近年のITの利活用はこれまでにないペースで進んでいます。クラウド技術の進化は新たなビジネスを生み出す原動力となり、ビッグデータの活用は社会的課題の解決や新たなビジネス機会を生み出す可能性を秘めています。
つまり、これからは「ビジネスを革新するIT」の実現が求められているのです。

IT部門変化の必要性

「ビジネスを支えるIT」のみならず「ビジネスを革新するIT」の実現。この期待にIT部門が応え続けるためには、IT部門が最適なIT業務プロセスを保有し、技術・ナレッジを蓄え、それを活用する多様な人材が揃って、はじめて実現可能となります。
しかしながら、全てを満たしているIT部門はほとんどなく、どのIT部門でも今後の課題になっていると思います。
実際の現場を見てみると、日々の運用業務に忙殺され、改革のための余力も無いどころか、変化するIT技術にも追いつけないという実情が散見されます。

IT部門の改革を実現するためには、まず現状を知ることからはじめなければなりません。
「現在のIT部門ではどんなことにリソースが費やされているのか」、「サービス単位のコストはどうなっているのか」といったことを明確にすることが重要です。
これらはIT部門の提供価値を判断するために最低限必要なことですが、それさえ把握できている企業は思ったより多くはありません。

こうした現実を踏まえ、次回以降、IT部門改革の取組みについて、具体的な検討を進めたいと思います。すでにこのテーマに取り組んでおられる企業も増えてきていますが、これから取り組もうとしている企業の方々にも、参考としていただければ幸いです。

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