プレスリリース
2022年3月15日
富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
ReRAM(抵抗変化型メモリ)では最大メモリ容量となる12Mビット品を開発
~ 新聞紙で約90ページ分のテキストデータを6平方ミリメートルの小型パッケージに格納可能 ~
富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社は、ReRAM(Resistive Random Access Memory) (注1)としては最大メモリ容量となる12MビットReRAM「MB85AS12MT」を開発し(注2)、今月からサンプル提供を開始しました。(図1)本製品は、12Mビットのメモリ容量を約2mm x 3mmの小型パッケージに格納した不揮発性メモリです。読出し電流が平均0.15mAという非常に少ない電流のため、補聴器やスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスに最適です。(図2)
MB85AS12MTは、1.6V~3.6Vのワイドレンジ電源電圧で動作する12Mビットの不揮発性メモリです。現在量産中の8Mビット品と同じWL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)を採用し、同一パッケージサイズ、同一バンプ配置でありながらメモリ容量を1.5倍に拡張しています。つまり、約2mm x 3mmの小型パッケージに新聞紙で約90ページ分のテキストデータを記録できるメモリです。SPIインターフェースのメモリに使用される8ピンSOPと比較すると、WL-CSPでは実装面積を約80%削減することが可能です。(図3)
図3:実装面積比較(SOP vs. WL-CSP)
本ReRAM製品は、他の不揮発性メモリと比べると読出し電流が非常に少ないことが特長です。10MHz動作時の最大読出し電流は1.0mA、5MHz動作時においては平均読出し電流は0.15mAに抑えられています。したがって、読出し時の消費電力を抑えることができるMB85AS12MTを使用することで、初期設定データをメモリに書き込んだあと頻繁にデータを読み出すような電池駆動のアプリケーションでは、電池の消耗を最小限にできます。そのため、補聴器やスマートウォッチといった小型ウェアラブルデバイスに最適です。
もし、小型デバイスを開発中のお客様がEEPROMやフラッシュメモリの使用で以下のような課題をお持ちの場合には、当社のReRAMによって解決できる場合があります。(図4)
図4:お客様の課題の解決案
ケース1
- 課題:ReRAMを使用したいが、メモリ容量が8Mビットでは足りない
- 解決案:8Mビット品と同じピンアウトの12Mビット品を使用
- 効果:最終製品の機能向上
ケース2
- 課題:メモリの実装面積が限られているので、パッケージサイズを大きくできない
- 解決案:小型・大容量のReRAMにより、最小限の実装面積でメモリ容量の拡張が可能
- 効果:高機能化と小型化の両立
ケース3
- 課題:従来の不揮発性メモリでは、消費電力の削減が難しい
- 解決案:低読出し電流のReRAMにより消費電力の削減が可能
- 効果:電池寿命の延長(電池交換の回数を削減)
富士通セミコンダクターメモリソリューションでは、頻繁なデータ書換えが必要なアプリケーション向けに大容量のFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)(注3)製品の開発を続けています。それと並行して、データ読出しを頻繁に行うアプリケーション向けのメモリ開発も進めており、今回の12MビットReRAM製品の発表に至りました。
当社は、今後ともお客様の要求に応える低消費電力のメモリ製品の開発を続けていきます。
主な仕様
製品名 | MB85AS12MT |
---|---|
容量(メモリ構成) | 12Mビット(1.5Mワードx 8ビット) |
インターフェース | SPIインターフェース |
動作電源電圧 | 1.6V~3.6V |
動作温度範囲 | -40℃~+85℃ |
読出し保証回数 | 無制限 |
書込み保証回数 | 50万回 |
パッケージ | 11ピンWL-CSP |
低消費電力 | 読出し電流(平均)0.15mA(5MHz動作時)
読出し電流(最大)1.0mA(10MHz動作時) 書換え電流(最大)2.5mA(10MHz動作時) スリープ電流(最大)8µA |
注釈
- 注1ReRAM:抵抗変化型メモリ
金属酸化物薄膜にパルス電圧を加えることで大きな抵抗変化を生じさせ“0”と“1”を記憶する不揮発性メモリ。 - 注2本製品は、ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社(旧パナソニック セミコンダクターソリューションズ株式会社)と共同開発したReRAM製品。
- 注3FeRAM:強誘電体メモリ
強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用したメモリ。電源を切っても内容を保持する。データの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといったROMとRAMの長所をあわせ持つ。
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