働き方改革の長時間労働規制で増えるハラスメント。企業のハラスメント対策は?
work style reform column職場におけるハラスメントの定義と現状

パワーハラスメント(パワハラ)やマタニティハラスメント(マタハラ)などは、社員にとって働きやすい職場を実現するうえで大きな障害になります。働き方改革では各ハラスメントの防止も施策の1つとされており、2022年からはハラスメント防止に関わる法令が中小企業にも適用されます。今回はハラスメント全般の情報や企業がとるべき対策方法についてまとめました。
ハラスメント防止対策も働き方改革の1つ
ハラスメント(Harassment)とは「嫌がらせ」や「いじめ」を意味し、相手に不快な感情や恐怖を与える言動のほか、尊厳を傷つける言動を指します。発言や行動する本人の意図は関係なく、相手が受け取った時点でハラスメントになることを理解しましょう。
ハラスメントの発生状況
職場における代表的なハラスメントである、パワーハラスメントの発生状況について2018年に厚生労働省が報告書をまとめています。同資料によると、都道府県労働局の相談コーナーなどに寄せられた「いじめ・嫌がらせ」の件数は年々増加しているとされます。2018年には過去最多の8万2,797件を記録しました。また、セクシャルハラスメントや妊娠・出産など女性がターゲットになりやすいハラスメントの相談件数も高い数値を維持し続けています。
■職場におけるセクシャルハラスメントなどの相談件数
ハラスメントの種類 | 相談件数(2019年度) |
---|---|
セクシャルハラスメント | 7,323件 |
妊娠・出産等に関するハラスメント | 2,131件 |
育児休業等に関するハラスメント | 1,677件 |
介護休業等に関するハラスメント | 832件 |
婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い | 4,769件 |
育児休業に係る不利益取扱い | 4,124件 |
育児休業以外に係る不利益取扱い | 1,457件 |
介護休業に係る不利益取扱い | 297件 |
介護休業以外に係る不利益取扱い | 240件 |
上記の表から介護休業や育児休業など、働き方改革で取得を促進している制度に対してのハラスメントも発生していることが明らかになっています。ハラスメントが常態化している職場での働き方改革の実現は困難であるといえるでしょう。対策をとらない場合、「人材定着率の悪化」、「企業のブランドイメージの悪化」、「業務効率の低下」といった経営上、避けるべきマイナス要素が発生する可能性が高まります。
ハラスメント防止措置の義務化は中小企業も対象
上昇し続けるハラスメントに対し、国は事業主による「パワーハラスメント防止措置」を義務化しました。中小事業主への適用は2022年4月1日からですが、それまでも努力義務が課せられており早急に対応する必要があります。まずは職場におけるパワーハラスメントの定義の3要素について把握しましょう。
■職場におけるパワーハラスメントの定義
- 1.優位的な関係(上司と部下、先輩と後輩など)を背景とした言動
- 2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 3.労働者の就業環境が害されるもの
パワーハラスメントの防止のために講ずべき措置
2022年4月1日から中小企業で義務化されるパワーハラスメントの防止措置は、予防策である「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」。窓口の整備が目的の「相談に応じて適切に対応するために必要な体制の構築」。発生後の対応を定める「事後の迅速かつ的確な対応」。その他「相談者のプライバシー保護」の計4つに分類されます。事業主はこれらの内容を把握して対策する必要があります。
働き方改革で生じる「時短ハラスメント」の対策方法
以前から問題視されていたハラスメントはもちろん、最近は働き方改革に対応するために社員に無理を強いる「時短ハラスメント」が増加しています。具体的には、業務が完了していないにも関わらず会社命令を重視して退社を強要。その結果、社員は自宅でサービス残業しなくてはならなくなるケースなどが該当します。最後に時短ハラスメントの予防策の代表例を紹介します。
時短ハラスメントの予防策1:業務量の調整
ノー残業デーなどを設けても、1人あたりの業務量や業務効率が適正化されなければ大きな効果は期待できません。制度を社員が守れず、時短ハラスメント発生のリスクが高まります。クライアントとの納期調整を含めて、個人・組織の業務負荷を目指すべき職場環境に適したものに改善する必要があります。
時短ハラスメントの予防策2:適切な労働時間の把握
社員から夜中にメールが届くなど、自宅で業務をしている気配がうかがえたら放置せずに確認し、適切な勤務記録を残すようにしましょう。まずは実態をヒアリングで調査し、必要に応じて勤怠管理ツールの導入をおすすめします。富士通エフサスが提供するFUJITSU Software TIME CREATORは、パソコンの強制シャットダウンやログの記録機能があり時短ハラスメントの対策に有効です。
時短ハラスメントの予防策3:管理職への対応
管理職によるチームや部署の働き方改革への貢献、マネジメントを評価する仕組みをつくることで、より能動的で健全に業務プロセスの改善を図りやすい環境を構築することが重要です。また、管理職のハラスメントに関する知識が不足している場合は、労働基準法について外部講習の活用により理解を深めさせることも必要といえます。
適切な働き方改革によって働きやすい職場の実現を
働き方改革に関する理解不足や周囲の理解が得られない無理な施策によって、時短ハラスメントが発生するリスクは高まります。2022年より中小企業にもパワーハラスメント防止措置が義務化されることを踏まえつつ、企業は早急にハラスメント全般における対策を計画に組み込むことが求められています。
普段はハラスメントの対策ができていても、直接顔を合わせないオンライン環境下で認識や意識が低下する可能性があり、今後はオンライン上におけるハラスメントの認識も必要です。Microsoft Teamsの録画機能やリアルタイム翻訳サービスのような議事録ツールを導入することで、「リモハラ」や「テレハラ」といったハラスメントの抑止効果につながります。
ハラスメント対策を実施し社員にとって働きやすい環境を構築することで、職場の働き方改革を実現させましょう。
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